KAIGAN

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文京区をめぐる冒険×小石川植物園其ノ弐

2004-07-25 22:53:17 | Adventure
(前回の文京区をめぐる冒険×小石川植物園其ノ壱続き)
ネコバスと別れた僕は、植物園北側に広がる草原へとやって来た。

開放的な空間。小石川植物園は都会のオアシスと言っていい。
平日の午後とあってか、ここ草原に僕以外の人間はいない。
この場所を独り占めしている。凄く贅沢なことだと思う。
いつまでもここにいたいと思った。ネコバスがちょっと羨ましくなった。

  
キマダラセセリとシロツメクサ。    ベニシジミとハルジョオン。他にも多数の蝶が舞っていた。

時刻はとっくのとうに1時を回っていた。
腹ペコだ。お昼ご飯にしよう。僕は草原に腰を下ろした。

靴を脱いだ。靴下も脱いだ。そして地面に寝っ転がった。
草が適当に茂っているから、背中が痛いということはない。
6月の太陽が僕を照らす。熱いくらいの太陽光線がちょうどよかった。
ときどき吹く心地よい風が、初夏の高原を思い起こさせた。

瞳を閉じた。このまま深い眠りに落ちてしまいそうだ。
僕はただ呼吸だけをしている。ゆっくりと時が過ぎてゆく・・・。

ふいに僕は体を起こした。
背後に何かの気配を感じたからだ。
周りを見渡してみる。特に変わった様子はないようだ。

だが違和感は拭えない。
もう一度、あたりの様子をうかがってみる。

!?

ここから20mほど離れた場所。地面近くで何かが動いている。
黒っぽい色した、サッカーボール大の、丸っこい何かが確実に存在している。
目を凝らしてみたが、正体が何なのかよく分からない。
でも、何かの動物であることは間違いなさそうだ。とりあえずネコではない。
丸っこい何かは地面に顔を埋めたままだ。このままでは種類を特定できない。
さて、どうしたものか。

近づこう。接近して正体を暴いてやろう。
僕の決断は早かった。未知のものに対して、好奇心が刺激されないはずがない。
立ち上がると僕は裸足のまま、目標へと一直線に近づいていった。

相手に気付かれないようにゆっくり進む。
右手にはカメラを持った。準備は万端だ。
目標はじっとしたまま動かない。
これからの展開を予想する。抜かりはない。

残り15m。
なんとなく回想してみる。
最初丸っこい何かを発見した時、ヘビだと思った。
大蛇がとぐろを巻いているのではないかと。
今でもヘビが正体の第一候補であることは変わらない。
もしヘビだったらどうしよう。
確実に僕は襲われる。カメラは武器にはなり得ない。
助けを求めても、周りには誰もいない。そしたら僕は死ぬのか。
死ぬとしても毒はすぐに中枢神経に達するから、楽に死ねるんじゃないか。
嫌だ。僕はまだ死にたくない。恋だってたくさんしたい。
不安感が増してきた。

残り10m。
プラス思考をしてみる。
もしかしたら、丸っこい何かは新種の生物かもしれない。
新種の生物を発見すること、それは多くの少年の夢、憧れ。
ネコバスが証明してくれたように、純真な子供の心を持つ僕にとってもそれは例外じゃない。
新種の生物を発見したら、それに名前をつけることが出来る。
発見者である自分の名前はもちろん、
小石川植物園で見つけたんだから小石川の文字もどこかに入れないといけないだろう。
生物の特徴を示す単語も含めると、かなり長い名前になりそうだ。

ん?もしヘビ説が合ってるのだとすれば、丸っこい何かはツチノコかもしれない。
これはかなり凄いぞ。新聞社やテレビ局の取材依頼が殺到するだろう。
文京区から億単位の賞金が出るかもしれない。柳の下の二匹目のドジョウならぬ
小石川植物園の二匹目のツチノコ効果で、全国から人という人が押し寄せるに違いない。
経済効果は計り知れない。関連グッズはバカ売れソールドアウト。ツチノコ景気の到来だ。
入場料収入が飛躍的に増大するからには、東大側から感謝状と入学資格が送られるだろう。
ツチノコ発見の記事を書いたら、憧れのDPZのトピックにて紹介されるかもしれない。
ツチノコの本を執筆したら、全世界のUMAファン必読の書にもなりかねない。印税はいくらだ。
さらには“ツチノコフィーバー”で流行語大賞も獲得。その勢いはとどまることを知らない。
あっ、でも新種の生物を発見したら、捕獲後、
標本にするためにその生物を殺さないといけないと聞いたことがある。
それは絶対に避けたい。地位も名誉もお金も、僕には必要ない。
どうしよう。もし本当に新種の生物だったら困ったことになったぞ。
過剰なまでの期待感が増してきた。

残り5m。
急激に緊張が高まる。
かなり近づいてきた。目標までもう少しだ。
僕の心の中では相変わらず期待と不安が葛藤している。
でも、もう覚悟は出来た。正体をこの目で突き止めるだけだ。
たとえどんな結果が僕を待っていようとも、もう恐れない。
ここまで来たんだ。引き返すことは出来ない。
カメラを持つ右手に汗を握った。

残り4m。
さらに緊張が高まる。

残り3m。
存在など信じていない神にご加護を求める。

残り2m。
一度瞬きをして冷静になる。

残り1m。
心臓が破裂しそうだ。
ここまでわずか数十秒のことなのに、
既に何時間も経過しているような錯覚がある。
兎に角、逃げられることなく目標に近づくことが出来た。
体勢を低くして、カメラのシャッターボタンに手をかける。
そして、いよいよ丸っこい何かの正体が明らかになる。



↓↓↓↓↓↓



キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

ウ、ウサギだ!!

丸っこい何かの正体はウサギだった。
植物園にウサギ。ちょっと待て。この組み合わせは絶対におかしい。
ネコが存在していても、ある程度は理解できる。でもウサギは次元が違うのではないか。
こんな場所でウサギに出会えるなんて、想像もしなかった。

今僕の目の前には野生化したウサギがいる。
理由はともかく、その事実を真摯に受け止めなければならない。
でも、ヘビやツチノコの類じゃなくて本当によかった。
だってウサギは可愛い。異論はないだろう。
とりあえず逃げる様子はないので、写真を何枚か撮らせて頂いた。

  
横から。ネコバス去って、また一難 ぶっちゃけありえない♪  正面から。まつげが超カワイイw

  フラッシュのせいでレッドアイ
顔のアップ。結構迫力があるのね。 土の地面に移動したウサギ。なにやら穴を掘っているが・・・。

なぜ土を掘っていたのか、その理由は分からなかった。
けれど、そんなことはどうでもいいような気さえする。
カワイイしぐさを見ると、何でも許してしまえる。早くもウサギ魅了されてしまった。

ウサギはもちろんこちらの存在に気付いている。
必要以上に近づくと、逃げられてしまう。近づく、逃げられるの繰り返し。
まぁ逃げるといっても数mなので、しばらく観察を続けることにした。

するとウサギはなにやら植物を食べているらしいことが分かった。
僕と同様、食事中だったのだ。なんだか妙に親近感が湧く。
そして、ウサギが食べていたのは普通の雑草だと判明した。
具体的に言えば、オオバコやイネ科植物の穂の部分になる。
もしかしたら餌付けが出来るかもしれない。これは願ってもないチャンスだ。
そう思った僕はイネ科植物を採取し、腕を目一杯ウサギの口元に向け伸ばした。

  
「イネ科植物、食べてみる?」     やった!食べてくれたよっ!!

最初は無反応だったけど、安全らしいことが分かると食べてくれました。
このあとオオバコを与えてみましたが、オオバコも同様の結果に。
食欲旺盛で、バクバク食べてました。信用してもらえて、とにかく感動(T_T)
エサを食べている間、ウサギの体に触れることにも成功。
ちょこっとだけだけれども、撫でることが出来ました。やったね。
ウサギとコミュニケーションが取れたことは本当に嬉しかったです。

食後の後は、軽い休憩をはさんで運動でしょう。
種目は鬼ごっこに決定。当然、僕がウサギを追いかけました。
結果はもちろん僕の惨敗です。ウサギ速いよ。脚力凄いよ。
でも安心しました。悪い人間が来ても、その脚があれば大丈夫!
君にかなう人間なんていやしない。君が小石川植物園で最速だよ。
あっ、でもネコには・・・。

不安になったので、生垣の向こうで作業中のおじさんにウサギのことを大声で尋ねてみた。
質問1「なんでウサギがいるんですかー。」
回答1「誰かが置き忘れてしまったようです。」

質問2「いつ頃からウサギはいるんですかー。」
回答2「うーんと、2年前ぐらいかな。」

ウサギは飼い主に置き去りにされてしまったらしい。
なんと悲しい別れ方だろう。僕には決して真似できない。
そもそも小石川植物園は、ペット持ち込み厳禁のはずだ。無責任な飼い主、許すまじ。
とりあえず2年間、ウサギはこの土地で暮らしている。
植物園側はウサギの存在を黙認しているようだ。まずはそのことを歓迎したい。
多くの植物園関係者の方々から愛されているのだろう。本当に素晴らしいことだ。
今はただ、これからもウサギが健やかに育ってくれることを願うばかりである。
それじゃウサギくん、さようなら。また会おう。僕は小石川植物園を後にした。

小石川植物園では意外な出会いがありました。
植物よりも、それに集まる昆虫を求めてやって来る人も中にはいるし、
ネコバスやウサギもいるしで、小石川植物園というよりも小石川動物園といった感じがします。
いずれにしも素晴らしい場所であることには変わりありません。
動物たちに会いに、必ずまた訪れよう。そう強く思いました。

もっとこの場所にいたい。
凄く楽しかっただけに、別れる時は本当に辛かったです。
でも行かなければなりません。僕にはまだ目的地があります。
文京区をめぐる冒険、次回は紫陽花を求め白山神社を訪れます。
☆★☆それでは次回もお楽しみに☆★☆

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きゃわいい★ (tricoo)
2004-07-27 14:43:40
うさぎ~~~



かわいいですねぇ...



文京区イイ!!



もう,行くしかないですネ!
返信する
Unknown (Bake)
2004-07-27 23:29:08
ずいぶんとひっぱられました(^-^)



捨てウサギですか…。

以外と丈夫なんですね、ウサギ。



井の頭公園のあたりにもウサギいますよね。

夜にウサギを見ると、暗闇で目が光るんです。

穴掘りウサギの写真のように…。

で、ぎらぎらとみんなで(沢山いる)私を

見るんですね。



以来ちょっとウサギこわかったりします。
返信する
うさぎかよ! (はたぼー。)
2004-07-28 00:13:51
あぁ、驚いた(^^)

けど、可愛いのに置いていかれたなんて。

小石川植物園がそれだけ良いところだったのでしょうか?(いや、そういう次元ではない)

私、子供のころにウサギ飼ってました。飼ってもらってたのか、正確には。情操教育のために。

けど、ある日突然小屋からウサギの姿が消えました。

小屋の匂いが原因でうちの亡くなった父親がよそに引き取らせたって知ったのは最近です。ウサギがいなくなったときの私は、なんかうまい理由(これが今ひとつ思い出せない)を吹き込まれて納得したらしくて。大人なんて嫌いよ(笑)飼ったら最後まで責任持ちたかったなあ。
返信する
ウサギがいるとは... (too.cheap.jp)
2004-07-28 14:21:45
TBありがとうございました(^^)



小石川植物園にウサギがいるとは...

しかも、ノラだとは...



うーん、またいきたくなってきたっす。
返信する
かわいい~ (REI)
2004-07-29 01:05:27
野良ウサギがいるなんてビックリ。

ちゃんと冬も越えてるんですねぇ。動物の生命力に感心しちゃいました。



それにしてもオメメクリクリでかわいいねぇ。

また会いに行ってあげて下さいね♪

返信する
目が…… (ハンバート・ハンバート)
2004-07-29 01:41:50
う、ウサギの目が妖しく輝いてますがな! こ、こえ~。

それにしても、小石川植物園ってとても面白そうですね。

なにげに自宅から近いので、今度行ってみます。
返信する
あれは (ナツ)
2004-07-30 02:16:18
赤く光るウサギさんの目、あれは宝物でも掘っているときのような目ですね!!

でも、長いまつげはホントにラブリーですね☆

2年間も一匹で強く生きているのですね。

ナツもネコバスとウサギさんに、会いに行ってみたくなりました。

返信する
コメント、ありがとうございます (タツヤ)
2004-07-30 12:56:56
返信遅れました。ごめんなさい(^_^ヾ

>tricooさん

ウサギ、本当に可愛かったです。

文京区、いいでしょう。

京都に行ってる場合じゃありませんよ。

そうだ、文京区に行こう(笑)

ぜひ機会を見つけて足を運んでみて下さいね☆



>Bakeさん

たしかに前置き、長かったですね(^_^;)

ウサギ、元気いっぱいでしたよ。

本当に足が速かったです。勝てませんでした。

井の頭公園にもウサギが!?

動物園から逃げ出して来たのでしょうか。

たしかに暗闇で光る目は怖いですね。

でも自分はカッコイイ!って思ったりして。

いや、でもたくさんあったら怖いです(-_-;)



>はたぼー。さん

ウサギです(笑)

変な期待を煽ってしまったでしょうか。

はたぼー。さんのウサギ物語、切ないですね。

純真な子供を騙すなんて簡単なことなのでしょう。

嘘も方便。賢い大人になりたいなって思います(^_^ヾ
返信する
返信の続きです (タツヤ)
2004-07-30 13:15:11
>too.cheap.jpさん

小石川植物園には、なんとノラ兎もいたんです!!

おそらくほとんどの方は気付いてないんじゃないかと思います。

でも2年前からいるということなので、きっと隠れファンがいますね。

ハイ、自分も隠れファンになりました。

って、全然隠れてませんが(-_-;)

too.cheap.jpさんも是非また小石川植物園を訪れてみて下さい。

まだ何か新しい発見があるかもしれません。本当に楽しみ♪



>REIさん

野良ウサギ、自分もビックリしました(^_^;)

植物園にウサギ、まずあり得ないですよね。

それに冬もちゃんと越してるのかぁ。凄いな。

私が会った時は、既に夏毛だっと思います。

オメメパッチリなウサギに、また会いに行きたいと思います!



>ハンバート・ハンバートさん

目がカワイイじゃなくて、怖いですか・・・。

あの写真は載せるべきではなかったかもしれません。

一応補足しておくと、フラッシュを

たいたせいで赤目になってしまったんです。

小石川植物園、まだ行かれたことがないのであれば、

ぜひ一度足を運んでみて下さい。きっと虜になります(笑)



>ナツさん

そうか!宝物を探していたのか。

一体どんな宝が小石川植物園に埋まっているのでしょうか。

こうなったら、ここ掘れウサちゃんで・・・(待て

1匹で生きてるって凄いことですよね。

ウサギは寂しくなると死んでしまうと聞いたことがあります。

そうならないように、また会いに行きます。

ナツさんも東京にいらした際は、ぜひ行ってみて下さい。

最寄り駅は、丸の内線茗荷谷駅、もしくは都営三田線白山駅です。

徒歩10~15分ほどで到着します(爆)
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