藤の実しづかに垂れてをりにけり
一群のねぢ花湖の風の中
プラタナス空に高々夏来る
波美し汽船は遠し夏夕べ
栃若葉そのさみどりのみづみづし
泰山木王冠のごとかぐはしき
夏椿息づきながら落ちにけり
樫若葉唇にあて吹きにけり
唇(くちびる)
花了へし樹々は万象みどりなる
大銀杏万緑の空高く聳ゆ
初蝶の日をほぐごとく白々と
葉桜や日燦々と空あをし
はざくらやひさんさんとそらあおし
若竹の青百幹の中にわれ
濡れている泰山木の花ま白
濡れてをるざくろの花のあかあかと