ひと肌脱ぐブログ~行政書士古川事務所~

相続遺言・交通事故・後遺障害認定・許認可・民事法務(契約書・離婚協議書・内容証明作成など)

自筆証書遺言の「検認」って省略できないんですか?

2018-11-30 19:38:13 | 行政書士業務関連
こんにちは。行政書士古川事務所です。

自筆証書遺言の「検認」手続きについてお問合せをしばしば受けるので、Q&A方式でまとめてみました。



Q.そもそも検認ってなんですか?

A.ザックリ言えば、自筆証書遺言を家庭裁判所に提出して、本人が書いたものかどうかを出席した相続人等で確認する作業です。(R2.2.5追記。偽造や改変が行われていないかをチェックするものではなく、裁判官がその場で判断するものでもありません。別途遺言無効確認の訴えなどによることになります。)。出席者の人数にもよりますが、あっけないくらい短時間で終了します。(R2.2.5追記)


Q.遺言書作ったら相続人全員に見せてサインもらっておくつもりです。ならば検認はいらないでしょ?

A.やはり保管中などに改変される危険は拭えませんから検認は必要です。民法は検認を義務付けていて、違反すると5万円以下の過料に処せられる可能性があるのですよ。


Q.5万円くらいなら払ってしまえばいいじゃないか!検認の手間と時間考えたら安いもんだ!

A.いやいや、遺言書に沿って土地建物の相続登記をする際には検認済証が必要です。また、銀行預金を解約する際にも遺言書と検認済証の提示を求められるようです。全国銀行協会の方針では、検認済証を確認することになっています。


Q.じゃぁ、やはり検認なしで済ますということは無理ということですね。

A.ってか、もし相続人の誰かが「この遺言書は検認受けてないから、遺産相続は無効だ!」とごね始めたらどうするんですか?遺言書作ったがためにかえってトラブルが大きくなりますよ。せっかく遺言書作るなら最後の詰めまできっちりとしてください。
どうしても検認を避けたいなら、平成32年7月に施行される自筆遺言保管制度を利用されたらよいでしょう。それまでの間は自筆証書遺言をとりあえず作成して、万一に備えておいてください。まぁ、思い切って公正証書遺言を作成してしまえば、費用は掛かるが問題は一挙解決するんですけどね。





                                            おしまい。

お金をだまし取られた!→警察に訴えた→お金は返ってくるの!?

2018-10-23 23:18:52 | 行政書士業務関連
こんばんは。古川事務所です。

ちょっと読者の皆さんにお聞きします。
たとえば、
あなたが詐欺にあってお金をだまし取られたとします。
それに気づいたあなたは警察に訴えました。
捜査が始まって、詐欺師は逮捕され、最終的には裁判所で有罪判決を受けました。
詐欺罪で有罪判決まで受けたのだから・・・だまし取られたお金は返ってくると思いますか?

答えとしては、
⇒⇒⇒⇒⇒ 基本的には、返ってきません!

確かに、刑を軽くしてもらうために、詐欺師が弁償してくることもありえます。
しかし、
基本、お金を取り戻すには、だまし取った相手方に対して、民事上の請求(返還請求の訴え)を別途行う必要があります。

刑事法上の有罪判決っていうのは、詐欺師のその反社会的な行いに対し、
刑罰というお灸をすえ、もって、改心させ、社会復帰させることが目的なのです。
というわけで、被害者に損害を回復させるという目的はございません。


結論。
警察に訴えたら財産的問題が解決するわけではありません。
弁護士などに相談して、民事上の手続きをとるなどしてください。


では。

家族信託について

2018-09-04 09:47:15 | 行政書士業務関連
こんにちは。行政書士古川事務所です。

最近、ちまたの金融機関でも「遺言信託」ということばを目にするようになりました。
この「信託」っていうのは、実はとても使い勝手が良いのです。
今までの遺言、後見制度ではカバーしきれなかった当事者の思いを、結構かなえられたりするのです。
(ちなみに信託銀行の信託は、今から述べる「信託」とは別物ですからご注意を。)


たとえば、
ご自身が亡くなった後は、自宅はご子息に住んでもらい、ご子息が亡くなったら次は甥御(おいご)さんに住んでもらいたいと思っている場合、
今までの「遺言」ではご子息に住んでもらうことはできたけれども、その次に甥御さんに住んでもらうよう指定することは基本的にできませんでした。
(もし、遺言のみで思いをかなえようとするならば、ご子息も一緒に「相続した自宅は私(ご子息)が死んだら、〇〇(甥御)に相続させる」旨の遺言を作る必要がありました。しかし、遺言は撤回自由ですから、ご子息が心変わりして遺言を撤回するかもしれないという不安要素はぬぐえませんでした。)

ところが!信託を使えばできちゃうんですね。
((^^)親族間でもめるもめないは度外視すれば。)



また、お子さんに二人のご兄弟がいて、仮に弟さんが知的障がいをお持ちだったとします。
親御さんとしては、弟さんに自宅を残して住まわせてあげたいと思うでしょう。

そのためには、今までなら、
例えば、お兄さんに自宅を相続してもらう、その上で弟さんをそこに住まわせるという条件付きの遺言をする、
いわゆる負担付遺贈をすることが考えられました。
でも、
「兄弟は他人の始まり」なんて言葉もあります。仮にお兄さんが弟さんを疎ましく思い始めたらどうでしょう?
弟さんは下手をすれば、家を追い出されるかもしれません。

じゃあ、「遺言」で弟さんに自宅を相続させたらいいじゃないか!とお思いになるかもしれませんが、
弟さんが知的障がいをお持ちなら自宅の維持管理はできないでしょう。
となれば、成年後見制度を利用する必要が発生します!
⇒後見人候補者・診断書書いてもらうお医者さん探して…⇒裁判所に申立して・・・
(;´∀`)もう、身内同士でぎくしゃくするだけで鬱陶しいのに、その上どんだけ時間と手間かかるねん!
実際無理(;´∀`)!
となるわけです。

そこで「信託」を使います!!
これも一例ですが、
お兄さん(受託者)に自宅を維持管理してもらう。
その一方で、自宅に住むのは弟さんとする(受益者)、という信託契約を結んでおくのです。
そして、お兄さんは、維持管理に尽力してもらう分だけ親御さんから多めに財産を相続してもらう・・・
等の手法が考えられるのです。


信託は考えようによってはいくらでもバリエーションがあります。
なので、どんな場面でも都合よく使うことができるようにも思われます。

しかし、まだ制度自体ができて間がないので議論が未成熟なところがあったり、
他の法律との整合性をとったり、信託そのものの中身を矛盾なく作る必要もあり、
難易度が高いが故の危険性もはらんでいる、という側面も否めません。
信託利用時は公正証書を作成する場合が多いと思われますが、
実は・・・公証人の先生も信託にはイマイチ詳しくなかったりする・・・のだそうです。
ですから、信託は従来使われてきた「遺言」や「後見制度」では足りない部分を補充する程度に利用するのが、
目下のところbestだし、これからそうなっていくものと思われます。



信託の概要についてはこちら(一般社団法人信託協会パンフレット)をご覧ください。


古川事務所では、遺言相続業務において信託も考慮しながら、
お客様のご意思に沿う解決を目指します。


今日はこれにて。

事故直後の現場検証には立ち会うこと。

2018-08-07 20:27:37 | 行政書士業務関連
こんにちは。
行政書士古川事務所です。

本日のお題は、事故った直後に行われる警察の現場検証についてです。
110番通報をしたら警察官が現場に駆け付け、当事者双方から事故当時の様子を聴きながら現場検証が行われますよね。
でも、事故の当事者であるにもかかわらず、用事があってすぐに家に帰らなければならないとか、待ち合わせに間に合わないなどの理由で検証に立ち会わずに現場を後にしてしまう方がいるようです・・・。

実際にあった話ですが、
その方は事故でケガを負ったにもかかわらず「家族が返ってくるから、一旦帰宅します。すぐに現場に戻ってきて、現場検証に立ち会いますから!」と相手方と警察官に言い残し現場を離れたそうです。
しかし、、、
その方が現場に戻ってきたときには、お相手の言い分だけを聴いて既に現場検証は終了。その方に不利な内容の検証調書が作成されてしまっていた・・・とのことです。
調書が一旦作成されてしまったら、書き直してもらうことは困難です。
「私がいなくても警察官が中立な立場で公正に現場検証してくれる大丈夫!」との思い込みは禁物ということです。
警察官だって忙しいのです。(※なかにはあとからこちらの言い分を聞いてくれるやさしい警察官もいるそうです。H31.1.27追記)
ですから、事故で救急搬送されて立ち会えなかった等やむを得ない場合以外は、必ず現場検証に立ち会って、自分が体験したことを語るようにしてくださいね。



今日はこれにて。

自社駐車場内での物損事故~警察届出について

2018-06-04 10:29:54 | 行政書士業務関連
こんにちは。古川事務所です。

先日、知り合いから「勤め先の会社駐車場で、出入り業者の車が接触して駐車場のポールが壊れた。警察に届けなければいけないの?」とのお尋ねがありました。いわゆる物損事故ですね。

「基本的にはお相手が存在する事故の場合、後々のトラブルを避けるために警察に届けた方が良いです。でもお相手が取引先ということなら、まず上司に相談してみてください。」とお伝えしました。

◆私有地内での事故は基本的に道路交通法の適用がありません。よって、道路交通法上の届出義務もありません。
しかし、
・相手がトンズラしてしまって連絡が取れない
・相手が「壊したのは私ではない」と責任のがれをする
などのおそれはあります。
ですから、
⇒⇒⇒⇒⇒

・警察に連絡しておくのが無難です。
・すぐに警察官がやってきて事情を聴いてくれます。お互いのどことどこがぶつかったのかを照合して、
 証明書等を交付してくれます。
それから、
・相手の氏名住所連絡先・車のナンバーや免許証の内容をメモしておきましょう。
・お相手の携帯連絡先を教えてもらい、その場で電話をかけて本当につながるのかを確かめてみましょう。

ただ、お相手が大切な取引先で警察を呼んで心象を悪くしたら困るということなら、そこは会社・上司判断でお願いします^^; 


◆今回の事故では、「防犯カメラに事故が記録されているから証拠はある。警察に届け出なくてもいいんじゃないの?」とのご質問もありました。
しかし、
・防犯カメラの録画データは、大体2週間で上書き消去されてしまうことが多い。
・任意保険会社としては、録画データを取得するならば別途調査会社などに委託することになりますので、それだけ時間がかかり ます。その間に、録画データが消去されてしまったり、保険金支払いがスムースに行われなかったりする危険が生じます。
なので、もし、警察に届出しない選択をしたならば、防犯カメラ映像の保存をおねがいします(防犯カメラ映像を携帯動画撮影してもらっても結構です)。


◆ぶつけた側としては・・・
任意保険(対物賠償)で修理する場合、保険会社から事故証明等の提出を求められることがあります。ですから、ぶつけてしまった側としては、「けっこう派手に壊しちゃった。修理費用高そうだな・・・保険で修理するかも」と思ったら、最初から警察に届け出ておく方が無難です。後日になって警察に届け出ると、再度現場に行く手間(しかも警察やお相手の都合に合わせなければならないかも…)がかかりますから。


今日はこれにて。