リュミエール兄弟やデヴィッド・リーン、アンドレイ・タルコフスキー、スタンリー・キューブリック監督などへの感謝の念を捧げる冒頭から映画愛がいっぱい。
「ニュー・シネマ・パラダイス」のような作品と思ったら、確かにそういうところもあるけど、感動的に盛り上げるというよりは、映画の仕組みそのものに恋しているような映画少年の想像力と創造力が描かれているところが秀逸、具体的な年代は描かれてないけど、映画館の映写機がデジタル映写機に入れ替わる時期という設定で、どこか懐かしさを感じさせる作品だった。
3000人ものオーディションで選ばれたバヴィン・ラバリくんの、映画初出演とは思えない自然な演技や、チャイ売りで生計を立てたりのインドの暮らしぶり、舞台になったグジャラート州の風景なども見どころ、主人公の少年のお母さんが作る手料理やお弁当が美味しそうでインド料理が食べたくなった。
インドに根付くカースト制度や身分の違いが描かれていたのも印象的、歌に踊りににぎやかな“ボリウッド”映画とはひと味ちがうインド映画として楽しめた、と言いたいところだけど、朝からバタバタしていて疲れが出たせいか肝心のラスト近くで意識が遠のいてしまって残念、機会があればまた見たいかも。
☆あらすじ☆
インドの田舎町で暮らす9歳の少年サマイは、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。厳格な父は映画を低劣なものと考えているが、信仰するカーリー女神の映画だけは特別だと言い、家族で映画を見に行くことに。初めて経験する映画の世界にすっかり心を奪われたサマイは再び映画館に忍び込むが、チケット代を払えず追い出されてしまう。それを見た映写技師ファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引き換えに映写室から映画を見せると提案。サマイは映写窓から見る様々な映画に圧倒され、自分も映画を作りたいと思うようになる。
※映画.comより
キャスト
バビン・ラバリ
リチャー・ミーナー
バベーシュ・シュリマリ
ディペン・ラバル
ビーカス・バータ
監督
パン・ナリン
原題 Last Film Show
112分
G
ヒューマントラストシネマ有楽町1 16:30〜観客5割程/161席
