《作家・中條ていの連作短編集「アイミタガイ」を黒木華主演で映画化し、親友を失った女性を中心に思いがけない出会いが連鎖していく様子を描いた群像劇。梓の恋人・澄人を中村蒼、亡き親友・叶海を藤間爽子が演じ、草笛光子、田口トモロヲ、西田尚美が共演。「台風家族」の市井昌秀が脚本の骨組みをつくり、2020年に他界した佐々部清監督が温めていた企画をもとに、「彼女が好きなものは」の草野翔吾監督がメガホンをとった。》
これは親友を亡くした主人公、娘を亡くした父母、そして自分のピアノで若者たちを戦争に送り出したことで自分を責め続ける独り暮らしの高齢婦人、それぞれの心に空いた穴が塞がって前に進む様子がアイミタガイ=相身互いという言葉をモチーフに紡がれていて、“誰かを想ってしたことは、巡り巡って見知らぬ誰かをも救い、やがて自分の元に返ってくる”様子が優しく描かれていて何度も目頭が熱くなった、三重や愛知を中心に行われたロケ地の風景も見どころ。
ウェディングプランナーとして働く主人公の梓を演じた黒木華さん、そんな彼女に純粋に思いを寄せる男性を演じた中村蒼くん、独り暮らしの高齢婦人役の草笛光子さん、そして梓の祖母役の風吹ジュンさん、梓の親友である叶海を演じた藤間爽子さん、その両親役の田口トモロヲさん、西田尚美さんなどそれぞれが役にしっかりハマって、特にピアノを弾く草笛光子さんに見惚れてしまった!
他人を撮る時はひと声かけて欲しかったとか、中学生時代からの親友なら顔や名前くらい知ってるはずだとか、偶然が重なりすぎるとか、うっかりすると考えてしまうけど、この作品に関しては細かいことを気にするのは損するタイプの映画かも、この世は善人ばかりでないことは知っているけど、今は善人だけの世界を信じてみたい気分というようなセリフを田口トモロヲさん演じる、叶海の父親に言わせている場面があったけど、その後の行為も含めて、まさにこの作品の核心に触れているところだと思った。
☆あらすじ☆
ウェディングプランナーとして働く梓は、親友・叶海が亡くなったことを知る。恋人・澄人との結婚に踏み出せずにいる梓は、生前の叶海と交わしていたトーク画面に変わらずメッセージを送り続ける。同じ頃、叶海の両親である朋子と優作のもとに、とある児童養護施設から娘宛のカードが届く。そして遺品のスマホには、溜まっていたメッセージの存在を知らせる新たな通知が入る。一方、金婚式を担当することになった梓は、叔母の紹介でピアノ演奏を依頼しに行ったこみちの家で、中学時代の叶海との記憶をよみがえらせる。
※映画.comより
キャスト
黒木華
中村蒼
藤間爽子
安藤玉恵
近藤華
白鳥玉季
吉岡睦雄
松本利夫
升毅
西田尚美
田口トモロヲ
風吹ジュン
草笛光子
監督
草野翔吾
105分
G
T・ジョイPRINCE品川8 16:15〜観客15人程/210席

