「第59回全国高等学校演劇大会(長崎大会)」
最優秀賞
大阪市立鶴見商業高等学校 「ROCK U!」趙 清香作
正直に書きます。
見終って、私は困っていました。感想が何も見当たらなかったからです。
「私はどうやって生きたら良いの?」
「私は私として堂々と生きたい」
この主題のお芝居は毎年必ずあります。
しかも、このお芝居。最初と最後はエネルギッシュだけど、韓国人云々の他に意外性は特に感じない・・。表情は豊かだな、とは思いましたが・・。
そこで、しばらく寝かせる事にしました。お芝居を記憶でリピートして、気付かなかった何かや、自分の気持ちの変化が出て来るのを待ったのでした。
結果。
「XXはXXだけのもんや!」
突然のテンションMAXに、目が点になる。セリフも全部は聞き取れず、かろうじて「XX」という単語だけが解る。で、頭の中でリピートすると↑こんなセリフ。
「私の居場所はどこ?」
「私を私と認めてくれる場所はどこ?」
韓国人であるという事実も、異国に住む外国人・母国に住む日本人の違いだけではすまない。
思考まで統制しようとする朝鮮学校から、(自由と言えば聞こえは良いけど)だらけた日本の公立学校へ転校し、全くのゼロから自分を探して行くスナ。
スナの後を追って来たにも関わらず空回りし、何を探しに来たのかも解らない(ように見える)ミレ。でも、スナの言葉にハッとする。
「自分で選んだんだ」
辛い。悲しい。イライラする。乱暴になる。あきらめる。無気力になる。無闇に明るい。
でもその根底には、「答えを見つけ出したい」という渇望がある。
それを忘れてしまうのが大人なのだ。
「そんなの解ってる。誰だってそこを通ってくる。だから? 大人にならないとね」
でも。
誰だって、初めて高校生になる。初めて思春期を迎える。そして悩む。
毎年一緒じゃ無いんだよ!
生徒達の真剣さに気付いて、担任の先生は初めて自分にカツを入れる。
「パン!!」
始まりの音が響く。
生徒達の自分へのいらだちと決意は熱を帯びて、叫びと音になって教室に響き渡る。
未完成な部分も含めて「今の私達を見て!!!」という強い気持ちを感じました。
感じるのが遅くてごめん。「在日韓国人」についての葛藤も差別も、関東の田舎に住む私には何もピンと来るものがない。本当にごめん。
でも、久しぶりに考える宿題をもらった。ありがとう。
逆に、完成度が高くて意外性だらけ(そう)で観たかったのが、長野県丸子修学館高等学校「K」、それから東京公演にはならなかったけど、栃木県立さくら清修高等学校 「自転車道行曽根崎心中」でした。
感想は以上です。審査員の先生方、お疲れ様でした!
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