「ほらそこに何か付いてるよ」とわたしの胸のあたりを指さして言うので、「そうそう、これはビーズでここは刺繍」とセーターの刺繍のところを、真面目に答えましたで、台所へ行こうと後ろを向くと「あ、背中になんか付いてる」とまたまた夫が言う聞こえないふりで無視毎年毎年、四月一日に『何か付いてるよ』とか、『ほら蜘蛛がここに!』とかさ、もうちょっとなんかあるでしょわたしもなんか言おうとちょっと考えて、閃いたので台所から出てきて「わたし妊娠した」とこっそり言ったそしたら意表をつかれた鳩みたいにぽけっとしていました