もう30年前のことです。
今思えば笑えます。
友だちにも親戚にも告げ口して、今は笑い話になっています。
だけどそのときは、おめぇ!一回、誰かにどつかれてこい!
と真剣に私の内からの怒りが湧きました。
深夜に産気づいた私は徒歩三分の病院へ夫と一緒に行きました。
必要な持ち物はカバンに入れて準備していました。
看護師さんが
「何分おきに陣痛が来るか計っておいてください」
と言い、部屋を出て行った。
ハイと返事をしたものの、え~~~と、時計は?・・・自分の腕を見るとしていない。
夫に聞くと、夫も時計をしていない。
持ち物で時計を準備していませんでした。
「時計忘れた!詰め所に行って借りてきてー」
深夜だし、時計を借りるってどうだろう、貴重品になるし・・・とか思いながら夫に言いましたが。
夫もそこらあたりを気にしているようです。
すると、
「だいじょうぶ僕は 一分 がだいたいわかる」
「?」
「カウントで一分が数えられるから、まかせといて」
さっさと借りてきて・・・と思ったが、陣痛の痛さでどうでもよくなり、もう~まかせた!
何分たったころか、私の体中は汗まみれだった。
「今何分たった?」
横の椅子を見ると、呪文みたいに 25~26~と数えていたようなきがするが、でも今はあきらかに眠っている。
私の声で目を覚まして、
「・・・うん、まだ15分ごろ」適当なことを言う。
「寝てたでしょ!」
「寝てない!」
「うそ、寝てた!私が苦しんでいるのに!」
「起きてた、ちゃんと数えてた!」
もう口げんかも疲れてぐったりしていると、1~2~3~・・・数える声がする。
と、声が途切れた。
寝がえりしながら夫を見ると、口が天井を向いて寝入っている。
自分の数える声で寝たのだ。
羊か!
心の底から怒りが湧いて 「今何分!!」と強めに聞くと、
ハッと起きた夫が、「・・・うん、15分!」
自分は真剣に数えてた風を装いながら言うのです。
腹立つこと、このうえなし!
この、「今何分?」と「うん?15分」がしばらく続きました。
今思うと、なんだかどっちもどっちで若かったのだね。
朝も過ぎて昼前に息子が生まれました。
しんどかったです。
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