猫崎半島からさらに沖へ。
水深は約40m。
周囲は何も無い、ただ潮が流れるだけの青い海。
そこに突如、大きな一枚岩がそびえ立つ魚達の楽園がある。
それがスリルと興奮のビッグポイント、オヤマグリ。
通称ナナヒロ。
遮ることなく対馬暖流から直接流れてくる栄養分豊富なプランクトン
が集結し、それを狙うスズメダイ、アジ、イサキ、タカベ等小型種の
数千匹単位の超大群。
そしてその小型種を狙うカンパチやヒラマサ、ハマチ等の大型回遊魚
の数百匹の群れ。
彼らが捕食に向かう時は、その波動が伝わってくる。
魚の世界における弱肉強食の壮大な世界が、毎日のように繰り広げら
れている。魚達にとっては当たり前のことなのだが、私達ダイバー
にとっては、心臓の鼓動が高まるまさに圧巻シーンだ。
マダイや二ザダイ、タカノハダイ、キジハタ、カサゴ、オコゼ等の
根付きの生物もみんなビッグサイズ。
そしてここの楽しみはワイドな世界だけではない。
超小型の生物達にとっても、ここの入り組んだ地形や割れ目が
楽園なのだ。マクロな世界も相当面白い。
ここではミナミハコフグやキンチャクダイは普通種、ミノカサゴやキハッソク
、チョウチョウウオなんかもいる。
舞鶴、越前、隠岐、名立たる日本海のビッグポイントを潜ってきたが、
生物の密集度ではここが間違いなく一番だと思う。
そんなオヤマグリに100本以上のメンバーだけで行って来た。
過去、ポイントまでは行くが、潮流が強くてポイント変更する事も
多い。正直どのダイバーをも優しく迎えてくれるポイントではない。
しかし、いつもは超慎重派の私が、今日ばかりは激流の海になって欲しい
と願う。潮が流れれば、魚達がさらに活発化し、大型の回遊魚に
出会える確率も高くなるからだ。
船は私達サンマリンメンバーのみ。
潮流2ノットまでは迷わずEN、3ノットでも透明度によってはGOと
心に決めて、入念に準備をした。
私達ダイバーの泳力なんて自然の力には全くかなわない。
それは身をもって経験してきている。
逆に、知恵と対策で自然の強さに相対する手段もある、
ということも学んでいるのだ。
ポイントに近づくと、外洋の何も無い青い海に黄色いブイが見えてきた。
この下にオヤマグリの根があるという目印。
このブイが水面から見えるということは潮が動いていないという事。
流れている時はブイが水中に引き込まれて沈むのだ。
船を係留し、ポイントチェックにスタッフ茶藤氏をENさせた。
案の定、流れが全くないとの報告。
それからは緊張していた気持ちをリセットして、
平和なオヤマグリを楽しむことにした。
夏のような強い日差しの中、自然とメンバーも笑顔になる。
一気に緊張感が解けた私達は、青い穏やかな海に溶け込むように
思い思いのスタイルで15mまで潜降していった。
アンカーから上を見上げれば船の底が見える。
透明度は15~20m。

大きなやつらに狙われないと判断しているのか、
小さな生物達がリラックスしているように見えたのが印象的だった。
ここはさんご礁域か?と思わせるほど、ソラスズメダイの群れ
が青い海に色を添える。

ミナミハコフグ(y)には3個体出会った。
香住では1年に1回出会えるかどうかのレアものだ。
しかも安心したかのように、全員が岩の外に出て遊んでいた。

結婚時期を迎えたヘビギンポも幸せそうだ。

明るく平和な楽園・・・そんな珍しいオヤマグリだった。
身体中の窒素と疲れをしっかり抜きながらゆっくり浮上するメンバー。
さすがに上級者達。浮上の速度が遅く、安全停止のホバリングも
申し分ない。

大物には出会えなかったが数千匹の小型種との出会いは十分楽しめた。
こんなオヤマグリも悪くないものだ。
今回は上級者ばかりだったが、今日の海況なら
基本スキルが身に付いた初心者の方でも十分楽しめる海だ。
ぜひまたいつか初心者の方もこの海に案内したいと
思いながら2本目の海に向かった。
※撮影K野氏。
シーアンドシー・DX1G
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