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日記、日々の想い 

初めてのお散歩、しろ

 しろ、の初めてのお散歩は… 結構、早かったと思う。何しろ、…大きかったら。雑種の割に。
 妻は、「この子、絶対、大きくならないから。大丈夫よ!」と、言うのだが。うーんっ。何か、おかしい。二か月で、こんな?これじゃあ、近所の小型犬の成犬と、あんまり、変わんない。「だって、お母さん、小さかったよ。」「会長さんだって、大丈夫だって言うし。」あっ、会長さんは、子どもの通う空手少年団の父母会の会長さん。ずっと年上の子のお母さんだ。まあ、信じるしかない。
 庭を、ちょろちょろ、走らせていた訳だが。こんな走れるなら、問題ないな、と。だいたい、自分も、気が早い。しろが、我が家に来る前日に、色々と、犬用品を、ホームセンターで、買い込んだ。そして、首輪と、リード。首輪は、細くて可愛い子犬用。首輪と言うより、ネックレスを、少し太くした感じだ。リードも、子犬用の、細いやつ。まだ、子犬が、我が家に来る前だ。どんな犬か、大きさか。まったく分からないのに、我慢出来ない。
 さあ、出掛けるか。しろに、初めての首輪。これからは、ずっと、付けたままだ。嫌がらない。リードをつけて。「さあ、出掛けるぞ!」もちろん、子どもは、二人一緒。
 会社が、休みの日だから、しろが来て、二週間目の土曜日だったか。素晴らしい五月晴れの日だった。しろの毛並みが、艶々と輝いていた。後々、いつも、散歩の途中で、「まあ、綺麗なわんちゃん!」とか、よく褒められたりした。
 まず、角地を一軒抜けると、調整池に、突き当たる。500軒の分譲住宅が、幹線で四分割された一角にあるが、分譲住宅の調整池は、一か所だけだから、それなりに大きい。この辺りで、しろが、ぐいぐいと引っ張り始めた。想定外。角を曲がって、調整池沿いの道に、出た途端だった。
 突っ込む。調整池沿いの縁石。くんくんと、嗅いでいる。犬は、他の犬のおしっこや、こんもりの跡を、嗅いて、ライバルの情報を得る。犬は、近視だが、聴覚と、嗅覚は、人間の比ではない。特に、嗅覚だ。みんなに、知られていることだが。
 くんくんすると、またくんくん。何か、隈なく拾って行く。前の飼い主さんの家では、まだ、外の散歩は、させていないと、聞いていたのだが。いきなり、こんなに嗅ぎまわるって、本能かな。
 調整池沿いに、四角を曲がって、大通り方向を目指す。ご近所さんだ。「まっしろだね。何ヶ月?」まあ、正直、ご近所付き合いなど、面倒臭くて、一切しない。自治会も、妻任せ。でも、こんなことが、あるんだな。犬がいると、他人との壁が無くなるのか。「2か月です。」「えっ、ずいぶん大きいな!」ほらっ、やっぱりだよっ。そうだと思った。この犬、絶対大きい。
 しろ、あっち、くんくん、こっち、くんくん。子どもたちは、自分としろの周りを、ぐるぐると纏わりつく。隙あらば、ちょっかいを出したそうだ。しかし、今日のしろは、動きが、早い。捕まらない。
 調整池、一周出来るかな。最後は、子どもの抱っこかなと思っていたが。しろは、真っ直ぐ。あれっ、大通りに行っちゃうよ。仕方がない。短い緑道を抜けて、大通りの歩道。自転車レーンもあって、とても広い。並木、植え込みがあって、その外に、また歩道、そして、車道だ。ニュータウンの自慢の道。しろは、植え込みに突っ込む。
 やっぱりね。そこは、犬の匂い満載だ。隠れられるから、おしっこだけじゃなくて、わんこのこんもりポイント。しろは、夢中。しばらくして、前へ。我が家のある分譲住宅の西北の区間は、終わる。大通りの四角。渡ったら、当分、帰って来れないな。と、思ったら、しゃがみ混んでしまった。やはり、クルマが、前を通るから、怖かったか。
 ちょうど良い具合に、ギブアップしてくれた。大通りを、渡ったら、帰ってくるのが、面倒だ。さあ、子どもたちの取り合い。そりゃ、お兄ちゃんが、勝つよな。抱っこ。勝ち誇るお兄ちゃん。弟に、ふんっ、て。
 帰り道。恨めしそうな弟。歩道から、緑道。泣きべそ気味の弟。我慢の限界。「お兄ちゃん、ずるいぞ!」「何がだよ!」「しろは、ぼくのいぬだ!」「違うよっ。うちのいぬだ!」もみ合いに。「ぼくが、貰ってきたんだ!」弟、泣きながら。
 仕方がない。ここは、父親の出番だ。「お兄ちゃんなんだから!」取り上げて、弟に渡す。そっとね。落とさないように。兄は、不貞腐れて、走り始めた。
 調整池沿い。金網に、囲まれていて、かなり深い。今は、水が余りない。殺風景な池だ。弟は、しっかりと抱き締めている。誰にも取られない。顔を寄せて、すりすり。しろも、お兄ちゃんに抱かれるより、まったり抱かれている。兄弟喧嘩に、さっきまでは、きょとんとしていたけど。やっぱり、貰われてきた時、弟に、ずっと抱かれてきたから。本当のお兄ちゃんだと、思っているのかな。
 兄は、我が家の向かいの角地にあるゴミ置き場の仕切りに腰を掛けて、待っていた。どうってことないよ、と言う感じで。我々が追いつくと、また、走り出す。我が家だ。兄は、先に玄関に駆け込んだ。「ただいまっ!」「お帰りっ!」中から、妻の声。
 
 
 
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