おまえ
気持ちは、もっと
弱かった
だからだろうか
弱いものに
当たり散らした
例えば、近所の野良とか
追っかけ回す
カラスに石を投げるとか
そして、虫を潰す
弱いくせに、酷薄
そんなサイコな子どもも
夕焼け小焼け
学校の帰り道
道端に捨てられている
そんなこいぬにだけは
違う思い入れをしていた
何でだろうか
泣いて、縋ってくれる
弱くて、酷薄な
どうしようもない
そんなおまえでも
だから、だろうか
あんなに
弱いおまえより
もっと弱いいのちに
優しくなれないおまえ
そのおまえが
優しく…とは違う
弱いおまえを
重ねていたのかも知れない
こいぬは、おまえだった
でも、連れ帰っても
うちの子には
きっと、してくれない
そんな気はしていた
だから、道端
捨てられたこいぬ
その泣き声が聞こえると
必死で走り抜けた
でも、それでも
痛かった
いつも、痛くて痛くて
もう、耐えられなかった
そんな感じだったか
おまえは
こいぬを見ないように
でも、傍に立ち止まって
見ないようにしたままだけど
とっても、ゆっくり歩いた
ついて来てくれる
ついて来て、くれたら
多分、運命だ
そう、泣き声はついてくる
消え入りそうだけど
振り向いていた
ふたりの運命…