まあ、でも、しろが、来たばっかりは、自分が、お風呂に入れたりした訳です。と、言っても、バケツですね。最初から、犬のシャンプーは、買って来てありました。まず、庭のホースで。水を、掛けて、と… 嫌がりますね。何度やっても、無理。そこで、こっちも、アタマを使います。子犬ですから、バケツで、OK。
水を、張ってと。抱き上げて、いきなり、ザブンって。しろ、パニくり。這い出そう、と足掻きます。ばしゃんっ!バケツを、ひっくり返してくれます。まあ、でも、何とか、です。シャンプー。泡立てて、こすります。ひぃ〜っひぃ〜っ。嫌がります。でも、からだ中ごしごしされると、目を細めて。かいか〜んっ、て感じで。泣き止みます。ふんっふんっ。シャンプーが、鼻に、入ったか。でも、基本、しろは、あちこち、からだを、ごしごしされるのが、大好きみたいです。
田舎の室外犬ですからね。田んぼ道の草むらに突っ込んだりもします。ダニやノミもの格好な住処なんです。毛並みがね。だから、しょっちゅう、痒がっています。下手をすると、ノミは、飼い主も、貰いかねない。獣医さんに、良く効く内服薬も、処方して貰うようになって、根絶的な駆除も出来るようになりました。でも、皮膚炎も起こさせない為にも、ブラッシングだけではなく、おふろも必要です。我が家の場合、シャンプーではなく、お風呂でした。中途半端に、洗うのではなく、ザブンッと、豪快に。
ただ、バケツを、使ったのは、ほんの最初だけ。犬は、どんどんと、大きくなってしまいます。ここで、幼児用の、でも、子どもだは、使えなくなったあの丸いビニールプールの再登板です。ただ、しろは、お風呂は、まったくダメでした。お風呂と言っても、水風呂ですけどね。とにかく、ひぃ〜っひぃ〜っ、です。世も末と泣き叫んで、逃亡を、図ります。水が、苦手だったんだと思います。泳がしたことは、無かったけど、泳げなかったのでは、と思ってしまいます。犬は、犬かきで、泳げるのは、当たり前なんですけどね。
お父さんが、苦闘としていると、当然、お母さんが、しゃしゃり出て来ます。「もう!」みたいな。「おんなじじゃん!嫌がってるよ。」しかし、お母さんは、強引です。自分の思う通りにならないおとこ軍団に対する怨念を、しろに、すべてぶつけているかのようです。首根っこを、抑えて、有無を言わせません。逃亡を図り、泣き叫んでいたしろも、観念します。シャンプー、ごしごし。この時点で、しろは、うっかり、目を細めてしまいます。図に乗るお母さん。「ほらっ!」お父さんを、一瞥。お母さんの昂まるごしごし、こちょこちょ攻撃は、ツボを、知り尽くしています。もう、しろは、お母さんの思うがままです。悶えて、ひぃ〜っひぃ〜っ。咽んで、思わず、悦びのため息…
「さあっ、おみず!」プールの水で、じゃぶしゃぶ。更に、ホースの水を、掛けられながら、ごしごし、こちょこちょ。時々、ひぃ〜っとか。少し,抵抗の泣き声。でも、お母さんの攻撃は、止まりません。最後に、バスタオルで、ごしごしっ。それで、ちょっと,こちょこちょっと。ひぃ〜っ。一声、泣きますが、「はい,出来上がり!」もう、しろは、疲れ切って。まったり。抱き上げるお母さん。ぺろっ。
もう、お母さんの専権事項になりました。しろは、毎回泣き叫びます。でも、結局、お母さんに、押さえつけられて、ひぃ〜っ。じゃぶじゃぶで。ひぃ〜っ。ごしごしで、ひぃ〜っ。こちょこちょで、ひぃ〜〜っ… 毎回、お母さんに、虐め尽くされて。最後は、昇天します。まったり。べろっ。
やがて、お母さんは、知らないうちに、家の内風呂を、使い始めました。ビニールプールと違って、深いお風呂。お風呂の残り水を、洗う前に、しろ用に使うのです。しろの、逃亡の望みは、完全に断たれました。しろは、どんどんと大きくなって、ビニールプールなら、逃げ出せましたが、ホーローの滑る深いお風呂では、そうもいきません。お母さんの企みは、息子たちに、手伝わせて、実行されていたようです。
たまたまの休みに、自分も、覗いたんですけど。しろは、息子に抱き抱えられた瞬間に、背後に控えるお母さんの邪悪な企みに、気づきます。でも、しろも、大きくなりましたが、お兄ちゃんたちは、もっと、大きくなっています。うっかり、抱き止められて、抱え上げられてしまえば、もう、万事休すです。いくら足掻いても、泣き叫んでも、お兄ちゃんに抱き締められたまま。お風呂です。後ろには、残酷な薄ら笑いを浮かべる、お母さん。いつものお母さんの、虐待が、始まるのです。しろは、更に泣き叫び、抵抗しますが,お母さんのこちょこちょ攻撃には、うっとり。結局、身悶えてしまいます。邪悪なお母さんに、虐められた挙句に、しろは、喜悦してしまうのです。そんなお母さんに思うようにされながらも、最後は、お母さんを、ぺろっ。としてしまう、しろ。お母さんと、しろのお風呂は、傍目で見ると、ちょっと歪んでいたのです。
ただ、お母さんは、しろで、知り尽くした犬を虐待し尽くすコツを、しっかりと、身につけていきました。我が家では、最後は、二匹の犬が、代わる代わる、阿鼻叫喚と、被虐の喜悦の中、お母さんのお風呂の虐待に、身を委ねるように、なっていきました。
*一応、これは、景品です。だから、一点物で、ビニール袋に、入ったままです。悪しからず。