自分は、このコロナ禍にあって、脚の具合もあり、年金だけの生活を余儀なくされていて、生来の引きこもり性向を拗らせ、日常の買い物以外は外出もせず、人付き合いもまったくしていない。僅かな外出時のマスクの正しい着用はもちろん、手洗い等も、テレビの報道などを参考にかつてなく丹念に、神経質に行ってきた。
そんな自分だから、緊急事態宣言など、発出されようが、されまいが、あまり、感染リスクは変わらないとも思った。また、どうしても、不要不急な会食でもしたい、仲間と騒ぎたいと言う人々は、止められないし、自分のような引きこもり体質の人間が、そんな人たちを何とか止めようと言う政策に、積極的に賛同するのも、ちょっと気が引けた。
自分は、集まってわいわい騒ぐのを好む人たちとは、実生活では、関わらないようにすれば良いと思っている。その程度のことは、自分にとっては、苦にはならない。
それに、何より、その昨年末の時点で、英国で、変異種による、以前に勝る感染爆発が始まっていた。経済的理由から、国は、海外との出入国を閉めていなかった。閉めても、緩い規制基準しかない日本では、やがて、感染力が大幅に強いとされる変異種の流入は避けられないとも、思っていたからだ。その変異種が流入すれば、ゆるゆるの緊急事態宣言などでは、到底感染抑止は、望めない。宣言中に、変異種による感染の爆発的な再拡大などが始まれば、もう宣言など永遠に解除出来なくなるのでは、と思ったからだ。
ただ、都知事主導であるかのように、特定地域の緊急事態宣言は、発出された。宣言の発出によって、政府にも責任を持たせ、国費も引き出そうとする都知事の底意も感じたが、それはそれで、自治体の首長としては、あるべき狡猾な強かさだとも思った。そして、宣言の発出後は、自分の予想とは、違い結構な効果が出た。発出は、正しかったとも思った。首都圏以外の地域の期間の終了を待たない宣言の解除も出来る程には、改善されたのだ。しかし、せっかく効果のあった宣言の施行だったのに、栃木以外の解除は、たかだか一週間前だった。飲食業等の被害のあった業種の救済と言うことなのだろうが、僅か一週間の前倒しをするくらいだったら、もう少し我慢をして貰って、もう一息感染抑止をして、全国一斉解除で良かったのでは、と思ったからだ。
しかし、その後の首都圏の、中途半端な宣言延長も、賛同出来なかった。首都圏は、確かに、下げ止まりと再拡大の気配があったから、仕方がない側面もあった。ただ、変異種の流入を防げなかったこともあり、それは、想定出来た事態だったのではないか。しかも、変異種の本格的な感染状況への影響は、まだこれからだろう。こんな中途半端なことをやっていては、それこそ解除の時期を失してしまうと思えたのだ。五輪の日程を進めたいが為の中途半端な延長の実施の底意も見えた。
そして、案の定の現状だ。言わないこっちゃないと、強く思う。本来、変異種による第四波の危険性は、専門家などからは、かなり以前から、指摘されてきた筈だ。かと言って、中途半端な緊急事態宣言を何度も再発出していくことなど、無意味にしか思えない。海外ほどの蔓延状況になったこともなく、海外のような厳しい人権を規制する国家的な措置を国民が望まないなら、飲食店への救済措置を、より具体的な感染症対策の設備投資の補助に切り替えて行く、とか。感染症蔓延被害の焦点になりつつある高齢者施設に対するよりきめ細かいチェックと補助を行う、とか。変異種の炙り出しの機能を、充実、迅速化する、とか。
緊急事態宣言下で、少し余裕が出来ていく状況で、行政が、実行しなければならなかった施策は、簡単に分かった事で、実施も進められたことだと思う。そもそも、少し先見性があったら、昨年の緊急事態宣言の解除後の十分あった時間の中で、いくらでも、着手する余裕はあった筈だ。その点で、政府も、すべての自治体も、その怠慢の責任は重いと思う。はっきり言って、若くて、発信力があって、実行力があるかの如くで、人気が高い大阪府知事でさえ、殆ど実効性のある成果は、出せていないように思える。ワクチン接種も時間は掛かりそうだし、本当にどこまで抑止効果があるのか、まだ分からない。五輪が、茶番のように行われる。既成のワクチンは、あまり効かない変異種が次々と現れて、感染爆発が、世界各地で、断続的に繰り返し起こり続ける。そんな暗い未来しか見えない。