春、冷んやり晴れた朝…

枝が、揺れている
かなり、激しく
今朝は、風が強い
この家を護る
あの木の
生い茂った枝も
ゆさゆさと、揺れている
たわわな葉っぱは
でも、てらてらと
一枚、一枚
光り輝いている
それを、少し遠く
見つめている、おまえ
そうだな、こうして
いつも通りだ
リビング、ソファに
ただ、だらっと
寝そべっている
それだけだから
あの葉っぱの
透明な煌めきも
ガラス戸
レースのカーテン
そして
冷んやりはしているけど
柔らかくもある
この部屋
この空気
その、何重もの
フィルター
それを、通しているから
なんだか、ちょっと
濁っているようで
少し、滲んだ景色
凄く、優しい
今朝の冷気は
季節の逆回転みたいで
昨日の雨と、強風に
吹き払われた
今日の、あの大空は
春霞は、なくて
降り注いでくる
その陽光は
美しく、透き通って
凍りを、孕んでいるから
老いさらばえた
こんなおまえが
晒されていれば
きっと、突き刺さってくる
身体の芯まで
その冷気の刃
切り裂かれている
のだろうね…
でも、ご褒美かな
こんなあばらやでも
しっかり、守られて
寝そべって
何重ものフィルター
緩々と、優しく
この陽光
あの光の透明
ゆったりと、感じながら
穏やかに
包まれている
今のおまえ…