小学校の四年位
秋の遠足だったかな
秋は、故郷の
低山に、登る
K山塊と、名前が
ついていて
峰が、いくつか
連なっている
低学年の
最初の遠足も
その山塊で
隣町にあって
学校からも、我が家からも
いちばん近い
神社のある山に登る
でも、四年生では
ずっと、長く歩く
その手前の山から
幾つか、峰を越えて
山頂の平な山迄、行った
遠いけど
そこは、故郷の市域
平らな頂上は
レストハウスもある
公園が、整備されている
かなり、広い
どうして、そんなに
広いかと言うと
故郷の街にあった
巨大な海軍火薬廠
首都を、守る
軍港の、数多の軍艦に
弾薬を、供給する
そんな工場
その空を、守る
高射砲陣地が
ここには、あったからだ
山頂を、切り崩して
ならして、平らにしたらしい
だから、その地方を
ぐるりと、俯瞰出来る
最高の眺望の
場所でもあった
ただ、広い山頂は
二段になっていて
10m以上ある
崖に、隔てられていた
そして、公園として
綺麗に、整備されているのは
上段の頂上だけだった
まず、そこで
お昼のお弁当
母さんが、握ってくれる
お稲荷さんと、干瓢巻き
ゆで卵を、つけてくれる
母さんの定番で
世間でも、定番
酢飯は
傷みにくいからね
でも、普通のお弁当を
持って来る子も
少しは、いた
卵焼きに、赤いウインナーとか
あっちの方が
なんだか、楽しいそうだな
ちょっと、羨ましかった
でも、ゆで卵は好きだし
お稲荷さんも、干瓢巻きも
みんな、好き
だから、我儘なおまえも
文句は、言わなかった
あと、水筒には、麦茶だ
食べ終わって、休み時間
お腹いっぱい
苦しいけど、でも
我慢出来ないよね
わぁ〜いっ❣️
みんなで
思いっ切り、遊ぶ
あっ、先生の声だ
「お〜いっ、集まれ❗️」
そして、出発
先生が、先導
舗装された道路を
ぞろぞろと、降りて行く
一学年は、7学級
学級ごとに、連なって行く
大行列だ
そして、下段の広場
整備は、されていない
だだっ広い、空き地で
土埃が、舞っている
舗装は、されていないけど
駐車場に使われていた
まだ、そんな時代だ
空き地の隅っこに
ぼつんと、バス停
野晒しのベンチ
それだけだった
そのバスは
市のターミナルから
だけど、滅多に来ない
先生は、でも
崖沿いを、歩く
人の手で、切り崩されていて
でも、擁壁などない
そんな時代だったんだな
地層が、剥き出しの
そんな、怖い崖だ
なんか、崩れてきそうだ
先生が、立ち止まる
その先に
大きな横穴
振り返る先生
防空壕、だったんだって
高射砲陣地の
兵隊さん用だ
だったんだってさ…
なんか、怖かったな
奥は、結構深そうだ
でも、入り口は
そんなに大きくない
草ぼうぼうだけど
確か、掘っただけ
剥き出しの、殺風景
入り口なんて言えない
危うげな、横穴だった
そんな記憶…
でも、高射砲陣地だよ
コンクリートで
補強された
ちゃんとした防空壕
だったのかも、知れない
でも、印象が
そうじゃなかった
こんな穴に
隠れるのって
そんな思いで
おまえが、ここに
逃げ込めって
言われたら
どうしようって
そんな生々しい
暗黒の穴の恐怖
それが、きっと
粗末な心象として
焼き付けられたのかも
知れなかった…
ただ、殺風景なだけの
だだっ広い駐車場には
バスが、7台も
並んでいた
帰り道は
バスで、帰れる
でも、まただよ
路線バス用の
古いバスだ
観光バスなんかじゃない
この県央のバス路線を
独占している
大きな、地元のバス会社だ
でも、この会社は
春の、遠いの遠足の時だって
路線バス用のバスだった
故郷の県は
観光地も、多いから
近隣の街の学校は
みんな綺麗な
観光バスで
遠足に、来てるのにね
おまえたちだけは
みすぼらしい、路線バス
まあ、でも
古いバスだから
座席は、横並びに4列
全員座れるし、仕方がない
防空壕の見学を、終わると
そのバスに、乗り込む
今日は、峠を
幾つも、越えたから
みんな、疲れている
バスの座席は
全部、2人掛け
仲の良い子を
他の子に取られて
あんまり話さない子と
隣りだったら
ちょっと、やだな
そんな、心配をしながら
お互い、探り合いながら
座席に、倒れ込む
なんとか、仲良しと
一緒に、なれた
でも、今日は
おしゃべりは
もう、しないよ
うるさいと
先生に、怒られるし
何より、今日は
凄く、疲れた
いっぱい、歩いて
登って、疲れたけど
それだけじゃない
あの防空壕
真っ暗な、深い穴
大人たちから
聞いていただけの
知らない
大昔の戦争
でも、ああして
その傷痕は
しっかり、残っていた
おまえが見た
初めての、防空壕
凄く、生々しくて
子どものおまえは
とにかく、気持ちが
どんよりと、沈んでいた
多分、珍しく
バスで、眠り込んだと思う
嫌な夢を、見ただろうか…
秋の遠足だったかな
秋は、故郷の
低山に、登る
K山塊と、名前が
ついていて
峰が、いくつか
連なっている
低学年の
最初の遠足も
その山塊で
隣町にあって
学校からも、我が家からも
いちばん近い
神社のある山に登る
でも、四年生では
ずっと、長く歩く
その手前の山から
幾つか、峰を越えて
山頂の平な山迄、行った
遠いけど
そこは、故郷の市域
平らな頂上は
レストハウスもある
公園が、整備されている
かなり、広い
どうして、そんなに
広いかと言うと
故郷の街にあった
巨大な海軍火薬廠
首都を、守る
軍港の、数多の軍艦に
弾薬を、供給する
そんな工場
その空を、守る
高射砲陣地が
ここには、あったからだ
山頂を、切り崩して
ならして、平らにしたらしい
だから、その地方を
ぐるりと、俯瞰出来る
最高の眺望の
場所でもあった
ただ、広い山頂は
二段になっていて
10m以上ある
崖に、隔てられていた
そして、公園として
綺麗に、整備されているのは
上段の頂上だけだった
まず、そこで
お昼のお弁当
母さんが、握ってくれる
お稲荷さんと、干瓢巻き
ゆで卵を、つけてくれる
母さんの定番で
世間でも、定番
酢飯は
傷みにくいからね
でも、普通のお弁当を
持って来る子も
少しは、いた
卵焼きに、赤いウインナーとか
あっちの方が
なんだか、楽しいそうだな
ちょっと、羨ましかった
でも、ゆで卵は好きだし
お稲荷さんも、干瓢巻きも
みんな、好き
だから、我儘なおまえも
文句は、言わなかった
あと、水筒には、麦茶だ
食べ終わって、休み時間
お腹いっぱい
苦しいけど、でも
我慢出来ないよね
わぁ〜いっ❣️
みんなで
思いっ切り、遊ぶ
あっ、先生の声だ
「お〜いっ、集まれ❗️」
そして、出発
先生が、先導
舗装された道路を
ぞろぞろと、降りて行く
一学年は、7学級
学級ごとに、連なって行く
大行列だ
そして、下段の広場
整備は、されていない
だだっ広い、空き地で
土埃が、舞っている
舗装は、されていないけど
駐車場に使われていた
まだ、そんな時代だ
空き地の隅っこに
ぼつんと、バス停
野晒しのベンチ
それだけだった
そのバスは
市のターミナルから
だけど、滅多に来ない
先生は、でも
崖沿いを、歩く
人の手で、切り崩されていて
でも、擁壁などない
そんな時代だったんだな
地層が、剥き出しの
そんな、怖い崖だ
なんか、崩れてきそうだ
先生が、立ち止まる
その先に
大きな横穴
振り返る先生
防空壕、だったんだって
高射砲陣地の
兵隊さん用だ
だったんだってさ…
なんか、怖かったな
奥は、結構深そうだ
でも、入り口は
そんなに大きくない
草ぼうぼうだけど
確か、掘っただけ
剥き出しの、殺風景
入り口なんて言えない
危うげな、横穴だった
そんな記憶…
でも、高射砲陣地だよ
コンクリートで
補強された
ちゃんとした防空壕
だったのかも、知れない
でも、印象が
そうじゃなかった
こんな穴に
隠れるのって
そんな思いで
おまえが、ここに
逃げ込めって
言われたら
どうしようって
そんな生々しい
暗黒の穴の恐怖
それが、きっと
粗末な心象として
焼き付けられたのかも
知れなかった…
ただ、殺風景なだけの
だだっ広い駐車場には
バスが、7台も
並んでいた
帰り道は
バスで、帰れる
でも、まただよ
路線バス用の
古いバスだ
観光バスなんかじゃない
この県央のバス路線を
独占している
大きな、地元のバス会社だ
でも、この会社は
春の、遠いの遠足の時だって
路線バス用のバスだった
故郷の県は
観光地も、多いから
近隣の街の学校は
みんな綺麗な
観光バスで
遠足に、来てるのにね
おまえたちだけは
みすぼらしい、路線バス
まあ、でも
古いバスだから
座席は、横並びに4列
全員座れるし、仕方がない
防空壕の見学を、終わると
そのバスに、乗り込む
今日は、峠を
幾つも、越えたから
みんな、疲れている
バスの座席は
全部、2人掛け
仲の良い子を
他の子に取られて
あんまり話さない子と
隣りだったら
ちょっと、やだな
そんな、心配をしながら
お互い、探り合いながら
座席に、倒れ込む
なんとか、仲良しと
一緒に、なれた
でも、今日は
おしゃべりは
もう、しないよ
うるさいと
先生に、怒られるし
何より、今日は
凄く、疲れた
いっぱい、歩いて
登って、疲れたけど
それだけじゃない
あの防空壕
真っ暗な、深い穴
大人たちから
聞いていただけの
知らない
大昔の戦争
でも、ああして
その傷痕は
しっかり、残っていた
おまえが見た
初めての、防空壕
凄く、生々しくて
子どものおまえは
とにかく、気持ちが
どんよりと、沈んでいた
多分、珍しく
バスで、眠り込んだと思う
嫌な夢を、見ただろうか…