子どもの頃に、ずっと
慣れ親しんでいた
故郷の川
その土手道には
サイクリングロードが
随分と早く、整備されたんだ
国内初だったらしい
昭和40年代始めだ
自分は、思春期で
鬱な頃だったから
他人と関わるのが
嫌で、嫌で、嫌で
一人でいたいんだけど
振り解けない鬱屈を
取り敢えず、吐き出したい
だらけ切った身体を
もっと、苛むんだと
そんな思いも
いつも、いつも
抱き続けていた
だから、耐えきれなくなると
帰宅部で、早々と帰る
そんな夕方には
平日でも、人影もない
そのサイクリングロードは
最高の場所だった
ふと、走りに行くんだ
思い切り走った
全速力だ
誰もいないんだから
遠慮は、いらない
兄貴のお古の自転車
でも、内装三段だから
まあまあだ
母子家庭なんだから
我が儘なんて言えない
家の前で、漕ぎ出す
坂道だけど
最初から、思い切り漕ぐ
疾走になる
別に、怖くない
たまに、ひとと行き合うけど
知らんぷりだ
飛び去ってくれる
それが良い
どうしようもない
やつなんだなって
自分でも、分かるよ
でも、他人なんて
あっと言う間に
飛び去ってくれれば
一瞬の残像でしかない
きっと、自分も
誰にも、関わりたくない
こんな、自分は
人々にとっては
一瞬の残像で
飛び去って
忘れ去られるんだ
自分の為にだけ
存在していて
でも、人々にとっては
存在していない
そんな、自分が良い
自分は、それで良い
坂下の角を曲がれば
しばらく走ると
もう畑道になる
これで、他人とは
行き合う事は、ない
凄く、解き放たれた
そんな気持ちだ
社会のくびきから
今の自分は
凄く、自由だなって
その時には、きっと
ちょっと、のんびり
走っていたのだろう
やがて、土手道へと
息を切って、上って
土手道には、川風がそよぐ
気持ち良いなあ
少し、海方向に行くと
さっき帰ってきた
通学路の橋だ
渡ると、突き当たるのが
サイクリングロードだ
夏場には、まだ黄昏にも
灼熱は、残っているから
あんまり、長く
走る気になれない
短い海方向へと
走ってしまう
ちょっと、走れば
もう、河口で
その向こうは
太平洋へと、広がる湾だ
サイクリングは
そこで、終わってしまった
だけど、秋には
山側へと走る
そこからは、延々と
上流へと遡れるんだ
JRの鉄橋、国道の橋
大動脈も、潜れるし
遮るものなんて
なんにも、ないんだ
ただ、秋の日暮れは
あっと言う間で
この人気のない
街灯もない
川沿いの道では
あまり長居も出来ない
結局、日没に追われて
必死で、家路を走る
やがて、冬になると
また、夏と同じだ
橋から先には
海方向に、行くしかない
寒風が、吹き荒んで
すぐ、日暮れになる
あんまり、走れないんだ
河口からは、大海原
寒風は、鋭く
この身体を、切り裂いた
それは、それで良い
だらけた自分には
ちょうど、良かった
でも、春になると
どんどん、日が長くなる
故郷の、巨大な霊山からの
颪の風も、徐々に緩んで
それでも、頬には冷たいけど
明るさを増した道は
長い山側へと、辿れる
走って行く距離も
どんどん、伸ばして行った
そうだった
そんな時になると
鬱屈していた気持ちは
知らず、躍動していて
自転車を漕ぐ脚を
どんどんと、急き立てた
このサイクリングロードを
どこまでも、行ってやろう
思う間もなく
ただひたすら
漕いで、漕いで
疾走していた…
…でも、今は湖畔だ
この歳を重ねた自分が
この湖畔を
疾走していた
to be continued
午前中は、こんな風に。少し、日も透けていましたが。昼下がりの今は、もっとどんよりです。当地の今朝の最低気温は、空港観測値で、18.3℃でした。その後、午前中早くに、22.7℃迄、上がりました。ただ、そこからは、日差しもなく、21℃前後のまま。午後も、上がらないようです。ただ、高齢者には、この程度が、ちょうど良いですね。
昨日は、将棋の藤井三冠が、棋戦のJT杯で快勝、完勝。アベマネットTVで、堪能しました。今朝は、チラ見ですが、大リーグの大谷選手が、ホームランは、出ませんでしたが、三塁打2本に、3打点の活躍。今のマイフェイバリットの二人の活躍で、気持ちの良い日に、なっています。