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日記、日々の想い 

いぬとおばさん、こころのぐるーみんぐ



 あれって、やっぱり、おばさんの方が、グルーミングされてたのかな、とか、思っちゃうんですよ。おばさんは、とにかく、わんこのグルーミングには、熱心でした。用事が無ければ、或いは、寝なくても良ければ、一日24時間で、27時間は、最低やっていた気が、します。
 それって、どうなんでしょうかねえ。だいたい、一日は、24時間ですよ。27時間は、無いんです。人間だって、寝る時間だって、ご飯だって食べるでしょう。用事だって、あるでしょう。まあ、おばさんも、さすがに、ご飯も食べてたし、用事にも出掛けたし、まあ、多分寝てもいたんでしょう。寝る間も惜しんで、隙を逃さず、わんこをグルーミングしそうな気配は、ありましたが。
 でも、わんこだって、そんなに、ひまじゃないんでよ。ご飯を、食べて。たまに気が向けば、番犬だって、することだってあります。たいがい面倒だから、やっぱり寝てますけど。それで、散歩があります。あっ、これは、おばさんが、一緒です。でも、別に、いぬ的には、おばさんは一緒に来なくたって、良いんですよ。それでなくても、おばさんは、あっち行っちゃダメ、こっち行っちゃダメって、ウザいだけなんです。散歩に、おばさんは、要りません。いぬ的には。
 だいたい、16時間ですよ。16時間。いぬに、必要な睡眠時間です。忙しいんです。寝るのに。残りの僅か8時間で、おばさんまで、構ってあげなくちゃなんない。ああ、忙しい!わんこたちのこころのこえです。叫びなんです。
 きっかけは、おばさんが、色々に企みます。お父さんにも、子どもたちにも、省みられることのないおばさんは、暇な時は、とことん暇です。わんこたちに、どうやって取り憑こうかとか、考えを巡らせる時間は、あり放題です。他に、考えることないのかよ、と思います。
 「あっ、今日は、狼爪ね。切ってあげなくちゃね。伸びちゃったし。ふたりとも。」ここで、もうおかしい。わんこたちは、いぬなんですから。二匹と言って下さい。「ほらっ、しろから。」ひぃ〜っ!「上手く出来ないじゃない!大人しくして。」ひぃ〜っひぃ〜っ。別に、泣いてますけど。しろは、手の掛かることなんか、してないですよ。わざと出来ないふりして、長く、しろを触ろうしているのは、おばさんですね。ぱちんっ!なんか、先に、丸い穴のある歯がついてます。いぬの爪切りです。ひぃ〜っ。本当に、痛いんですかね。
 でも、そう泣かれると、おばさんの本能は、全開です。「しろちゃん、お耳も、掃除しとかないとね。」えっみみ!まずいっ‼︎泣かなきゃ良かった。しろのこころのこえです。おばさんが手にした凶器、耳かきに、しろは、必死で逃れようとしますが。スリーパーホールドです。何で、プロレスを見ないおばさんが、知ってるんでしょうか。プロレス技。
 おばさんの顔は、加虐の悦びに歪んでいます。「だめよ、しろっ!じっとして。」「しろは、中耳炎なんだからね。さっ、耳かき。」ひぃ〜っ。こちょこちょ。ひぃひぃ。「あっ、おくすりもね。」耳の薬のスポイトを、差し込みます。ひぃ〜っ。「はいっ、終わり。じゃあ、ご褒美!良いこと、してあげるね。」えっ、終わりじゃないのかよ⁉︎終わりって、言ったじゃん。しろのこころのこえ、ふたたびです。
 こちょこちょっ!ところが、おばさんの手管は、多彩です。まず、腋の下。しろは、バンザイして。お腹、丸出しです。おばさんの手は、お腹にも、滑って行きます。ひぃ〜っひぃ〜っ。しろは、もう息も絶え絶えです。おばさんの加虐の悦びの表情には、深い満足の思いも滲みます。それは、しろを、完全に支配していると言う深い満足の思いなのです。完全に、恍惚に身を委ねるしかなくなったしろですが、ここで、どんでん返しが、あります。
 そう、また、裏返されるのです。しろの首輪の下、首筋を、こちょこちょっ。ここが、実は、しろの最大の弱点です。裏返されて、立たされたしろですが、また、へたり込みます。ひぃ〜っ。こちょこちょこちょっ。おばさんの加虐には、きりがありません。しろは、もう、へたり込んで、目も瞑って、快感に身を委ねるしかないのです。やっと、おばさんのいぬに対するグルーミングの自己満足は、そこで、終わるのです。確かに、しろは、快感に身を委ねていましたが。これって、おばさんの究極の自己満足なんじゃないでしょうか。お父さんと子どもたちに、省みられことがなくなったおばさんに、身を預けて、おばさんの思いのままになるいぬたちを、支配していると言う、おばさんのこころの自己満足。究極の癒し。
 これで、やっと終わります。終わってたんです。でも、今は。もう一人。あたし、いぬだから、一匹なんですけど。ちびの、やばいと焦るこころのこえです。せっかくお兄ちゃんに、かまけてたんだから、もう良いでしょう。でも、わんこが、倍のふたりになったら、おばさんの欲望は、三倍に、なってしまったようです。お兄ちゃんを、あんだけいじめてたんだから、もう良いでしょうよ。と、ちびが思っても、おばさんのこころの暴走には、歯止めは、ありません。
 「さっ、ちびちゃん!逃げないの。痛くないから。」いや、じゅうぶん、いたいんですけと。ちびのこころのこえ。でも、いくら逃げようとしても、鎖があります。目一杯逃げましたが、あえなく逮捕です。抱っこです。
 押さえつけられて、剥き出しの脚。狼爪です。ぱちんっ。きゃい〜んっ。ちびなので、ひぃ〜っとか、情けない泣き方は、しません。一応、誇り高い秋田の血が、入ってます。でも、きゃい〜んっ。えっ、やっぱり情けない泣き方?
 「じゃあ、お耳ね!」ちびは、もう、恐怖にすくみます。あたし、お兄ちゃんじゃないんだから。お耳、悪くないんだけど。いくら、ちびがこころで叫んでも、虚しいです。おばさんの顔には、邪悪な快感の笑みが、浮かんだままです。こちょこちょっ。きゃい〜んっ。泣きますが。おばさんは、おかまないし。「もう、片方もね。」きゃい、きゃいんっ。「さっ、終わった!」でも、ちびちゃん、毛が厚いからね。」「ブラッシングもしようか!」さあ、ブラッシング。ちょっと、毛が、薄くなったしろのブラッシングは、今日は遠慮したおばさんですが、毛並みが暑苦しいちびには、容赦なしです。でも、ちび、意外と気持ち良い?ごしごしっ。ふんっふんっ。鼻を鳴らします。毛がいっぱい抜けます。冬毛です。きりがない。おばさんの加虐の欲望も、いぬに向けられたまま。きりがない。「さあ、もう良いか!」「じゃあ、ご褒美ね。」えっ、まだ…でも、ちょっと、やってもらいたいかも。
 やはり、腋の下。こちょこちょっ、たっぷり。ふんっ。ちょっと、ちび、鼻を鳴らします。こちょこちょっ。お腹も。たっぷりと。裏返し。いや、表返しか。ちびを立たせて。首筋の脇から。首根っこを。こちょこちょっ。ちびもうっとり。はいっ、ふたり出来上がり!いや、二匹でしょ。
 こうして、おばさんのいぬを、グルーミングすると見せかけた、自分のこころのグルーミングは。ちびが、来て。二倍、いや、三倍になって、暇さえあれば、繰り広げられたのです。



 
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