救急車だ…

あれっ❓
救急車だ❗️
目が覚めて、ぼんやり
表通りだ
どこの病院に行く❓
いや、分からない
どこのひとだろう❓
たまに、そうだな
サイレンを消して
この住宅地の中に
そっと、入って来て
止まっていたりする
今の時代には
それが、普通なのかな
だから、一筋先でも
いや、裏の家でも
いやいや、向かいの家だって
知らず
止まっていたりする
そっと、乗せて
そうっと、出て行く
なんとなく、気配だけ
感じる時は、ある
そして、今
表通りのサイレン
ただ、鳴り始めて
直ぐ、遠ざかって行く
どこのひとだったのかな
他人事だけどね
でも、きっと
そのひとにとっては
凄く、おおごとなんだよな
一生が、左右される
いや、一生が終わる
ただ人々には
おまえにとっても
あのサイレンは
ただの遠い音
不気味に、連想はしても
やっぱり、他人事だよ
ただ、遠ざかって行く
でも、そう思っていて
おまえも、そう思っていて
いや、そうじゃない
そう、分かる
この右脚だ
言う事を、聞かない
若い時の大怪我
頭の上
けたたましいサイレン
乗せられていると
こんな音なのかと
ぼんやり、思ったかな
でも、切れそうな息
人口呼吸器
喘いで、ただ喘いでいた
薄れそうな意識
あの時だけ、だけどね
でも、あの事は
あったかも知れない
別のおまえを
今のおまえに
変えたのだろう
サイレンは
知らず、消えている
でも、あのサイレン
救急車の中で
おまえは、闘っていた
おまえに残された

このおまえ
そのおまえを
他人頼みだけではない
おまえ自身が
おまえを
救う為に…