今朝の、空港観測値の最低気温は、9．0℃です。そこそこ、冷んやりです。ただ、よく晴れて、１０時前には、２０℃を、超えました。風は、久しぶりに、微風です。素晴らしい春の日で、コロナ禍もあり、人それぞれでしょうが、行楽日和、洗濯日和と言う感じでしょうか。自分も、軽く、買い物位には、出掛けようかと、思っています。
自分は、色々と、迷走した後、近隣の空港で、端っこですが、簡単な接客の仕事に落ち着いて、何とか勤め上げました。早朝から、深夜迄働く拘束時間の長い仕事で、一日で、二日分働く感じですね。で、フルタイムの正社員契約なんですけど、実質、週三日だけ勤務すれば良いのです。警備員さんとか、タクシーの運転手さんみたいに、２４時間拘束されての隔日勤務ではないので、翌日まるまる空きます。それで、あれこれ、家計を助けて貰っていた妻に、申し訳ないと思い、家庭の買い物は、自分が、一手に引き受けることにしました。ちょっと、勝手なことをしていたので、せめてもの罪滅ぼしですね。ついでに、料理は、出来ないけど、皿洗いとか。庭の手入れは出来ないけど、草むしりとか。洗濯もなるべく。そんなこんなで、少なくとも、日常の買い物は、それなりに、マスターになりました。だから、自分が、基本一手に続けてきました。それで、今日も、行こうかな、となっています。
何故、そんな週三日の仕事を、探し出してきたかと言うと、ちょっと、芝居道楽に嵌って、両立出来る仕事を、何とか、と思ったからです。まあ、芝居道楽と言っても、舞台をやったことは一回あるだけで、あとは、映像に出演するのが、主です。ただ、人材派遣的な通行人エキストラではないので、たいした回数の出演経験が、ある訳ではありませんでした。何しろ、いい歳をした中年になって、役者の端くれを始めようとした訳ですから。
長いバブル崩壊後の低迷する経済の中で、一応定年迄勤めるつもりでいたアパレル商社の希望退職に応じて、辞めたことが、最初のきっかけですね。窓際的な職場ですけど、職場の長として、昇進したかたちだったんですが。もう、良い加減、会社員生活に、うんざりしていたんです。
もともと、会社員はどうしても、なりたくなかったんですけど、恋人もいて、流れで結婚してしまい、追い詰められて、就職したって感じでした。だから、違和感満載のまま、馴染めない宮仕えを続けていた訳です。一杯退職金を、積み増しして貰って、早期退職とか、二度とない機会だと思ったのです。生き直しのね。
それで、一年失業保険で遊ばせて貰って。ダイエットしました。１７４cmで、暴飲暴食で９１kgになってしまっていた体重を、６３kg迄に落としました。減食ではない食習慣の改善と、徹底した運動と言うアナログな努力で。やれば、出来るな、とは思いました。生き直せるかな、と。
葛飾北斎が、子どもの頃から、好きでした。「BiｇWave」は、やっぱり、凄いですね。あまり、叙情的じゃなくて、ある種の宇宙観みたいなものを背景に描いているのが、とにかく好きです。ただ、合わせて好きなのが、９０才迄描き続けて、まだ上を求めたまま、亡くなったその姿勢ですね。後ろ向きで、せいぜい斜め前位しか見れない。そんな自分が、前向きさが好きって、おかしいですが。自分が、出来ないから、余計憧れるってのも、あります。
あと、伊能忠敬と言う人も、尊敬してます。人生五十年の時代に、大店の主人としての人生を、全うします。ただ、その五十年を経てから、江戸に出て、天文学を学び直し、全国を歩測し尽くして、初めての近代的な日本地図を、作った人です。北斎と共通するのは、その頃の中年の自分より、更に後の年齢になって、世界的に評価される偉業を、成し遂げたことです。そんな話を、知っていた自分は、流されるままに生きているような人生を、もう一度生き直せるのでは、と。まあ、錯覚でしょうが、思っていました。そこで、些細なことですが、ダイエットの成功です。自分にも、少しは、まだ何か、爪痕を残せる機会が、あるのでは、と思いました。
ただ、一年経って、再就職は、します。何とか、ありついたのが、マンション管理会社の管理組合対応の仕事です。まあ、また接客業の一種ですね。しかも、契約社員。ただ、この会社、丸の内の大家さんの子会社、実質孫会社ですが。オフィスが、高層化される前の東京駅前の、サラリーマン憧れの建物で、働くことが出来ました。新、の方です。再就職先としては、体裁的にも、悪い仕事じゃなかったんですけど。でも、また、接客業です。都心の高額マンションの我儘な顧客対応です。ああ、もう、良い加減、こう言うの良いよ、と思ってしまいました。ふと、シニアのタレントスクールに、通い始めたんですね。若い時に、目指してた訳じゃないんですけど。会社員になりたくなくて、劇団スタイルのそんなスクールに受かって、通おうとしていたことが、ありました。でも、末っ子でしたが、母親は寡婦です。真っ当なＯＬになっていた恋人もいました。これ以上こんなことやっていて、良いのかと悩んで、諦めた経緯が、ありました。
スクールは、一応、演技指導もあり、楽しくなってしまいました。契約社員は、会社に引き止められましたが、こっちから、契約更新を蹴っ飛ばしました。無謀の極みですね。そこから、思い込みの自分の生き直しが、始まりました。今、振り返ると、ただの迷走だったな、と。でも、色々、臆病な自分なりの精一杯の無茶をして、楽しい思い出は、出来ました。また、そんなエピソードも、書けたら良いな、と思っています。あっ、北斎や、伊納忠敬の話もね。
