炭素は宇宙で水素とヘリウムに次いで3番目に蓄積された安定元素である。従って、宇宙における物質形成の早い時点から炭素と水素の結合した分子が存在したと考えられる。炭素と水素で作られた分子を炭化水素と呼ぶ。炭素が分子を形成する場合には、炭素の 2s 軌道と 2p 軌道が混合して混成軌道と呼ばれるものに変化する。炭素ー炭素の結合には、単結合、二重結合、三重結合があり、それらの結合形成には、炭素原子の 2s 軌道と 2p 軌道にある電子軌道の混合によって形成されたそれぞれ sp3 sp2 sp と呼ばれる異なった混成軌道が使われる。炭素ー炭素結合の中心的役割を果たすのはσ 結合と呼ばれる結合でこの結合が分子の骨格を形成する。炭素の原子軌道のうち混成軌道の形成に関与しなかった p 軌道に存在する電子は、2本目、3本目の結合を形成し、この結合は π 結合と呼ばれる。 . . . 本文を読む
核融合が起こる星(恒星)の環境では原子は単独で存在している。しかし、宇宙空間に放出され、ある程度冷えた環境で複数の原子が遭遇すると、希(貴)ガス元素を除いた元素では、複数の原子で構成された分子を形成する。原子を構成する電子は、エネルギー順位持った電子殻に付属した小軌道(原子軌道)に存在する。分子の形成に関与するのは最も外側の殻に存在する電子である。宇宙における元素合成の初期から存在する水素と炭素がメタン分子を形成する際には、炭素には4個の最外殻電子が存在するので、その電子を4個の水素原子とそれぞれ2個ずつ共有して希ガス元素のネオンの最外殻電子と同じ8個にして安定化するように分子を形成する。 . . . 本文を読む