やめられません。どうしてくれますか?
[ニュー速VIP]同窓会で久しぶりに会った憧れの彼
↓の書き込みから始まる。コレ自体はどーってコトない話。
うわっ。気が付くと別の人が続き書いてるッ。気が付かなかったYO
スレ立てID:+s4JDnXs0
つづきID:s7SHTAuI0
あっとゆう間に落ちちゃったんで,オレのために抜粋して保管。
ついでに気になったので,途中のやり取りの抜粋。
山月記ってどんなんだっけ??
…調べてみる…
こんなのらしい。
ははぁ。ID:s7SHTAuI0さんの言いたいコトは分かりますデスヨ。彼の告白が,李徴の告白"臆病な自尊心と、尊大な羞恥心"が出てくるあたりのくだりに被る感じね。ちがうかな。
スレ立ってから約3時間,レス付け始まってからは2.5時間ぐらい。すっげ。
最後に
同意。
[ニュー速VIP]同窓会で久しぶりに会った憧れの彼
↓の書き込みから始まる。コレ自体はどーってコトない話。
1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 14:39:41 ID:+s4JDnXs0
昨日中学の同窓会に行った。
オープンに片思いしてた彼も来ると聞いて、そりゃあもう心臓バクバクでしたよ。
ちょっと早めに会場に着いて、懐かしい級友と当時の話で盛り上がってた。
もちろん彼のことも話題に出てきて、
「もし今彼女いなかったらどうする?」
「もちろん押して押して押しまくるさ!」
なんて話をしていたら、
「おい、おまえの憧れの○○が来たぞ」
と、入り口付近でだべっていた男子から報告があった。
口から飛び出そうな心臓を何とか押さえつつ入り口に注目していると
体重は確実に100キロ超えているであろう男性が、のっしのっしと腹の肉を揺らしながら入ってきた。
当時細身で爽やかで清潔感があった彼の面影は、頬肉にめり込んだ顔のパーツだけ。
髪の毛はポマードなのか洗ってないのか知らないけど、固まっていてギトギトだった。
当時の私の気持ちを知っている彼は、私を見るなりにやっと笑みを浮かべて真っ先にこっちにやってきた。
それまで一緒にキャッキャと喋っていた私は勿論、級友も目を丸くしたまま絶句。
なんとかショックを押さえて彼と話をしたものの、テンションが低い私の態度を「憧れの俺様と会えて緊張している」と勘違いしたらしい。
「彼氏はいるのか」としつこく訊いてくるし、当時私の気持ちを知っても興味無さげだったのに
「すごく綺麗になった」とか「本当は俺も好きだった」とか言ってくる。
やたらとくっついてきて肩に触ったりとかスキンシップを計ってきたけど
きついこと言って追い払うわけにもいかず、触れられるたびに寒気連発。
なんとかさりげなく逃げかわしながら、級友とのお喋りを楽しんだ。
どうにか無事に同窓会はお開きとなり、私は級友にガードしてもらいながら小走りで会場の外へ。
早歩きをしながら喫茶店に向かっていると、突然背後から肩を鷲掴みにされた。
後方から耳元にかかる、荒く生ぬるい息。肩を掴むやたらと肉厚な手。
恐る恐る振り向くと……。
17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 14:57:18 ID:+s4JDnXs0
肩を掴んでいたのは、案の定彼だった。
びっくりして思わず「ちょっと何よ!?」と声を荒げてしまった。
彼はタオルハンカチで首筋に伝う汗を拭き取り、小鼻をふかふかさせて息をしながら
「これから遊びに行こう」と誘ってきた。
私は顔を引きつらせて無理矢理笑みを作りながら早口で
「今から女同士で2次会する約束してるから!」
と断わったんだけど、
「じゃあ俺もついていく」と言い出して、こっちの言い分を聞き入れてくれなくなった。
27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 15:04:35 ID:s7SHTAuI0
私は疲れていた。
2週間前の土曜日に男に告白されて、5日前に振られた。
だからこそ今日を少し期待していたのに。
期待してはしゃぎ過ぎた自分がバカみたいだ。恥ずかしい。
男たちなんてみんな、その女とやれるか、落とせるかしか考えていないいんだ。
32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:12:21 ID:s7SHTAuI0
「ねぇー、待ってよ」
うるさい、鏡と半年くらい睨めっこして、げっそり痩せてきてよ。
私の綺麗な思い出を返して。
私は振り返らずに夜の街を急ぐ。
あああああ、せっかく実家に帰ってきたのにこれだもんな。
見慣れた看板とネオン、少し変わった店並み、いつかの通学路……
「ねぇってばぁ」
その道を「アコガレ」の彼と歩いている。
6年前の自分がこの光景を見たらどう思うだろう?
37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:23:49 ID:s7SHTAuI0
「どこまで行くんだよぉ、みんな駅のほうに行っちゃったよ」
中学の頃、体育のマラソンで一番早かった彼が、今はヒールの私相手にぜぇぜぇしている。
情けない情けない情けない!このまま夜通し歩き続けて、減量させようかしら。
「どこに行くんだって」
「家 に 帰 り ま す」
強く言い過ぎたかもしれない。商店街の人通りが少し静かになる。
「あぁ、実家に今いるの?どうりで駅に向かわないと思った。
俺も実家なんだよ、一緒に帰ろうよ」
だめだこの男、ちっとも分かってくれない。
地元、それは懐かしむには良い所だけれど、実際に住むには辛すぎると思った。
39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 15:27:11 ID:hNlJrSaZ0
1以外のvipperが書いた続編が意外に面白い件について
うわっ。気が付くと別の人が続き書いてるッ。気が付かなかったYO
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つづきID:s7SHTAuI0
42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:34:57 ID:s7SHTAuI0
「俺さ、こないだ行ってた大学辞めてさ、いや、こないだっても2年前のことなんd(ry……」
身の上話なんか聞きたくないのよ、この糞ニート。
私は彼の方を見ないことにした。姿かたちはおぞましくなっても、声だけは昔のままだ。
多少こもってる気もするけど、細かいところは自分を騙しだまし歩いてゆく。
あと少し、家に帰るまでの辛抱だもの。
45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:38:54 ID:s7SHTAuI0
そうして、私たちは河川敷に出た。ここまでくれば学校から家まで後半分。
中学の頃は、夕方になると部活帰りの学生がが沢山いたものだ。
その中には私もいたし、素敵なころの彼もいた。
あの頃の彼とあの時間にここを歩きたかった。
……私、後ろ向きになってる。
「でさぁ、ねぇ、聞いてる?」
「ん?」
我に返るのに時間がかかった。出来れば帰りたくなかったから。
「なぁに」
「実家にいるって、お前は今何やってるの?」
48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:43:26 ID:s7SHTAuI0
「お前は今何やってるの?」
こんな時に。私は、私は、私も!
「家事手伝いよ。放っといてよ、私のことなんて」
「いや、ごめん」
なんなの、このブサイク。
見るからに女とペラペラ話し続けられるタマじゃないじゃない。
ヒッキーのくせに、ニートのくせに、キモメンのくせに、
あの時に振り向いてすらくれなかったくせに……
52 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:49:21 ID:s7SHTAuI0
お前は今何やってるの……
「お前は何になりたいの?」
「将来のこと?」「うん」
「さぁ、普通に大学出て、就職して、普通に誰かのお嫁にでも行くんじゃない」
「普通だなー、俺は普通にはなりたくないな」
中3の2月、何気なく彼と交わした言葉が今になって痛すぎる。
彼は悪いほうに普通じゃなくなった。文字通り最低。
私は、普通にすらなれなかった。
彼と変わらないじゃんか。
55 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2005/05/26(木) 15:54:06 ID:s7SHTAuI0
無言vs無言。私のせいだ。
いつも、自分の嫌なところに触れられるとカッとなって。
この間の男に振られたのだって。けど、あれは。
男なんて、付き合うまではみんな優しすぎる。
必死にアバタをエクボに見ていたと思ったら……
ああ、もう!
「何か、しゃべってよ」
60 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:15:24 ID:s7SHTAuI0
「あのさ、何で大学辞めたかって話しなんだけど」
うん
「俺、実は中学校の頃から小説書いててさ、
笑うなよ真面目に話してるんだから
高3の夏に受験前だし、才能もないし、諦めようと思って
締めの一本を書いたんだ、短編なんだけど」
諦めが早いのね。イサギがいいのか。
「まあまぁ、自分の才能については話しても分からないだろうから止しとくけど、
とにかく、絶望していたんだ。自分の才能にね。で、最後の一編を出したのさ」
うん
「そしたらだよ、意外や意外、賞をもらっちゃったんだよ!」
62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:22:17 ID:s7SHTAuI0
すごいじゃん!
「いや、街で出してるふるさと文学賞みたいなもんだから、大したもんじゃないよ
五千くらいから一番になったって、本当に物書きになりたい連中は出品しないからね」
でも……
「まぁ、最後まで聞きなや。
んで、俺は俺の才能をもう少し信じてみようと思った。
街の文学賞とはいえ、選ばれたんだからね、まだ行けると思うさ。
だから大学に入ってずっと小説ばかり書いていたよ、大学にも行かずに」
66 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:26:51 ID:s7SHTAuI0
「それがよくなかったんだろうね。
大学の掲示にはいつも俺の名前が貼られてたらしい。
『単位不足、出席するように』って。
俺は俺で、小説を一本大きな賞に当てることばかり考えてたからさ、
俺が文学界の寵児になりゃ、学校だって黙る、黙らせてやるって。」
暗くてよく見えないけど、彼の声は、あの日の彼の声のまま、
暗がりの土手に空しく響いている。
71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:34:00 ID:s7SHTAuI0
「結果は分かりやすかったよ。
俺は学校を辞めた、「自主退学」でね
周りの連中には、大学行かなくても小説書けるって今更気付いたわ、
なんてうそぶいたりして。
みんなは皆で、初めこそ温かく見ていてくれたのに、
だんだん俺を気違いみたいに、近づかなくなっていったよ。
そりゃそうだ、みんなが歩んでいるのは、俺にはもう取り戻せない
素敵な『普通の人生』なんだからね」
76 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:45:36 ID:s7SHTAuI0
震えた声を途切れさせて、彼は土手を駆け上がっていった。
私はその後ろを追いかける。
土手の上に立った彼に私が追いついたとき、
彼は対岸のネオンに照らされ、その醜悪な体を風に晒していた。
「あれが、東京なんだよな。川一本はさんだだけの向こう岸なのに」
彼の目がきらきら光っているのは、きっと明かりのせいなんだと思う。
きっと、私たちにとって、対岸の明かりは眩しすぎるのだ。
彼がポツリとつぶやく。
「俺は、モノを書いて飯を食って行きたかったんだ」
(もう十分食べてるよ、アンタ)
「もう十分、肥えちまったけどな」
彼は大声で笑い出した。
「ねぇ、笑うとこじゃないでしょ……」
私は今日一番、哀しくなる。
83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 17:10:03 ID:s7SHTAuI0
気がつくと、私は彼の胸に飛び込んで泣いていた。
分厚く湿った脂肪に私は、この間の彼にはなかった苦しみと不幸とを思う。
この人は、自信がないんだ。だから、自分を拒むものが耐えられない。
この柔らかさは、人を寄せ付けないための壁。
情けない情けない情けない!……私たち。
しばらくすると、彼の笑い声は次第に嗚咽に変わり、
うなだれたまま、私たちは泣き続けた。
84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 17:23:05 ID:s7SHTAuI0
お互い皺くちゃになりながら、土手を下る。そろそろ帰らなければ。
「ねぇ、まだ夢を叶えたいの?」
「うん」
「そう」
街燈が照るほど、私たちには濃い影が降りる。
私たちは眩しすぎる世界では目がくらんでしまう。
しかし、明かりがなければ、何も見えない。
「今日はお前に会えて良かった。
おれ、もう一度学校に行くことにしたよ」
「ううん、それでいいと思うよ」
「お前は」
「アタシは……やり直すつもり。
何か分からないけど、やり直す。
頑張ります」
そっか、と彼はため息をつき、
「俺もやり直すよ。何だかよく分からんけど!
まずは痩せる!痩せなきゃ新しいものが喰えないからな!」
私はまた涙ぐみそうになる。けれど彼は……
――今のは笑うところだぞ――
あぁ
85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 17:23:54 ID:s7SHTAuI0
この人のことを、これからもブサイクだと思うことはあるだろう。
けど、負け犬の傷の舐めあいと思われてもいい。ブサイクだと思われてもいい。
私は、私たちは、あんまり目に見えるものにとらわれ過ぎた。
私たちは、もっと強くなれる。なるんだ。
ねぇ、
「そういえば。街の文学賞ってどんなの書いたの?
一度、読んでみたい」
彼は照れくさそうに答えた。
「この街の文学賞だよ。内容は片思いする中学生男子のハナシ」
そこまで言うと、彼は夜の家路を走り出した。
私は、私はのろまな憧れの彼の背中を、追いつかないように追いかけながら、
少しだけ、やり直せそうな気がしている。
――終わり――
あっとゆう間に落ちちゃったんで,オレのために抜粋して保管。
ついでに気になったので,途中のやり取りの抜粋。
67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:28:52 ID:s7SHTAuI0
山月記っぽくなってきてしまったww
続けますか?
はい
いいえ
68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:29:44 ID:nVgub/3L0
はい
69 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:30:48 ID:qBl/oCrk0
>67
> はい←
> いいえ
70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:32:24 ID:tgYs4prW0
[> はい
山月記ってどんなんだっけ??
…調べてみる…
こんなのらしい。
ははぁ。ID:s7SHTAuI0さんの言いたいコトは分かりますデスヨ。彼の告白が,李徴の告白"臆病な自尊心と、尊大な羞恥心"が出てくるあたりのくだりに被る感じね。ちがうかな。
スレ立ってから約3時間,レス付け始まってからは2.5時間ぐらい。すっげ。
最後に
75 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2005/05/26(木) 16:43:19 ID:NVvJnE7r0
s7SHTAuI0の続編が普通に面白い件について
同意。
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