アルバム10曲めは、藤山一郎さんが1936年(昭和11年)に発表された「東京ラプソディ」です。Kiinaの初カバーは2005年の「演歌名曲コレクション5〜初恋列車〜」でした。
https://m.youtube.com/watch?v=b_u1wRD4wFI
2014年ver.はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=iM3njFb8Xb0
「演コレ5〜初恋列車」は初めて買ったKiinaのアルバムでしたから、2005年ver.の「東京ラプソディ」も数え切れないほど繰り返し聴きこみました。
今改めて聴いてみると、2014年ver.の丹念な歌い方に比べて若さに任せて勢いだけで歌ってしまっていた部分も確かに感じられます。
この2枚の違いががはっきり分かるのが、2014年ver.の歌詞の3行め。
「待つは君ひとり」と高らかに歌い上げた後の「君ひとり」を、語気を和らげてそっと語りかけるように歌っています。2番、3番、4番も同様です。
こうして全体の流れの中に強弱と硬軟を織り混ぜたことで、Kiinaの「東京ラプソディ」の歌唱により深みが出たように思います。
何というか、「ただ明るく楽しく生きている人だけじゃなく、色んな人生を生きる人をすべて包みこむ。それが東京という街なんだ」というニュアンスが、この明るく軽快なリズムの歌の奥に見えてくるような気がするのです。
この2014年ver.は今年出された「カバー・セレクション」にも収められているので、きっとKiinaご自身も歌い直しに納得出来ていたのではないでしょうか。
歌詞の中に描かれた情景は古くなっても、「東京ラプソディ」は昭和、平成、令和という時の流れを超越した永遠の「東京讃歌」だと私は思っています。