「股旅演歌名曲喫茶」5曲目です。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-30920.html
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/57617/
創唱者は東海林太郎さんです。
個人的に、この曲は股旅もの中の最高傑作だと思っています。名曲故にこれまで名だたる名歌手の方たちが歌ってきました。
でも、優劣とか誰が一番とかではなく、私はこの22歳のKiinaが歌った「名月赤城山」が一番好きです。
推測するに、レコーディングに当たってKiinaはおそらく誰のどんなストーリーは一応教えてもらったでしょうが、その国定忠次が実際にはどういう人物だったのか、どんなことをやらかした果てにここまで追いつめられたのか、よくはわかっていなかった気がします。
股旅を「弱きを助け強きをくじく勧善懲悪の世界」と思っている人ですから。
それだからこそKiinaの歌唱は余計な解釈をまとわないで、国定忠次という個人を超えた人間そのもののの哀しさが伝わってきます。自分の欲のために何人も殺してきた忠次の過去は、Kiinaの歌の世界には存在しないかのようです。
それが正しい歌い方なのかどうかは分かりません。でも、今日の「歌謡スクランブル」で東海林太郎さんの「名月赤城山」を聴いて、どんな名歌手の方の「名月赤城山」よりも、この時のKiinaの「名月赤城山」が一番東海林さんの歌唱に近いんじゃないかと感じました。
「好き」の理由を語ればそういうことになるのでしょう。
本当は理屈抜き、皮膚感覚でKiinaの素直な歌いぶりが好きなだけなのだと思います。
蒼い月の下に立つ、透明な「名月赤城山」です。