アルバム・カバー曲4曲めは、植木等さんの「ハイそれまでョ」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=nHKp-d1JWd4
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/221011/
1962年(昭和37年)公開のクレージーキャッツ映画「ニッポン無責任時代」の主題歌としてリリースされた「無責任一代男」のB面に収録されたのが「ハイそれまでョ」でした。
冒頭のムード歌謡調からロックンロールへの転調、最後の捨て台詞とエンディングの嘆き節まで、1曲の間にクルクルと変化する曲調を希代のエンターテイナーたる植木さんが見事に歌いこなしてらっしゃいます。
1番ではキャバ嬢に貢ぎ、2番では車の営業マンの口車に、3番では見立て違いの妻選び。
「ハイそれまでョ」と捨てられた男の悲劇を、植木さんが歌うから聴く人は他人事の喜劇として大笑いしていられたのでしょう。
どれも今でも3面記事に載っているような出来事ですが、この曲が発表された60年前より遥かに多種多様な歌手がひしめいている今の音楽界で、ではこの歌を植木さんのように歌える表現者がいるだろうか?と考えた時、探し出すのは難しいような気がします。
東京国際フォーラムのスペシャルコンサート2日めがちょうどアルバムリリース初日(1日めがフラゲ日)で、さっそくKiinaはこの曲をセットリストに入れて披露してくれました。
冒頭の男前なムード歌謡調も、途中からのコミカルな歌いぶりもツイストも、照れなしでこなす大熱演でしたね。
ただし歌い手が元々が男前過ぎたのが欠点と言えば欠点だったかな?(笑)
ある意味、「スーダラ節」より更に難しい挑戦だったかもしれません。
この曲はツアーコンサートのセットリストにも入れてくれていて、変幻自在コミカルなKiinaも見られてファンは大喝采でした。
植木さんが映画化を熱望され、降旗康男監督がメガホンを取って製作された「本日ただいま誕生」という映画があります。客の入りが悪かったのかあっという間にお蔵入りになって幻の作品と言われたそうですが、1979年の公開当時、どういうきっかけだったか私はこの映画を観ていました。
「クレージーキャッツの面白い人」ではなく、本来の非常に真面目なお人柄の植木さんを初めて目の当たりにした映画でした。