「靳・演歌名曲コレクション3-みれん心-」後半のカバー曲1曲めは「酒は涙か溜息か」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=XusfamjzTh4
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/209670/
あれ??
「靳・演歌名曲コレクション」のカバー曲のコンセプトは「昭和30年代以降の作品を中心に」だったはずですが、この曲は1931年(昭和6年)の作品ですよね?
まあ。「演コレ」の時に拾い残していた、ということでしょうか。
この曲の発表当時、作曲の古賀政男さんは大学を出たて、作詞の高橋掬太郎さんは北海道で新聞記者、創唱者の藤山一郎さんはまだ東京音楽学校に在籍中でした。そんな若い3人による人生を嘆き諦めた内容の作品ですが、折しも世の中は昭和恐慌の真っただ中。我が身に置き換えて聴く人が多かったのかレコードは飛ぶように売れたそうです。
この曲のもうひとつの特徴は、藤山一郎さんが初めてクルーン唱法(マイクのそばでささやくように歌う唱法)を用いたことにあります。
藤山さんは音楽学校在籍当時から「将来のクラシック界を背負って立つ逸材」と嘱望されていたほどの歌唱力を持つ方ですが、敢えて声を張り上げず、この悲しい歌詞の曲を感情過多にならずに歌っています。
大ヒットした要因はその歌い方にもあったのかもしれません。
歌詞自体は七五調の短い文節で構成されているため、Kiinaも「文字数が少なくてびっくりしました」とお話ししています。「それがメロディーに乗ると深いなあと感じます。古賀メロディーってやっぱりすごい」と。
一見単調に思える曲にいかに深みを持たせるか。難しい曲ですが、Kiinaは極力演歌調の節回しを避けてストレートに声を出しつつ、そこに感情も乗せることに成功しているように思いました。
Kiinaの歌声がしみじみと心に沁みてきます。
シンプルであるが故に、歌手の本当の実力が試される怖い曲だと思いました。