「股旅演歌名曲選Ⅱ」4曲目です。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-31123.html
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/57621/
昭和12年、上原敏さんの歌唱でリリースされました。
「妻恋道中」、というより創唱者の上原敏さんに格別の思い入れがあります。
東海林太郎さんと同じく秋田県のご出身というだけでなく、私の祖父、父、私ら兄妹と同じ中学(旧制)・高校の同窓に当たる方だからです。
福岡と違って滅多に有名人など出ない土地柄のせいか、母が親戚でもないのに「あの歌は上原敏が」と親しげに話題にしていたのを覚えています。
上原さんは大学を出て一般企業に就職してから、縁があってレコードデビュー。「妻恋道中」は、元々は作詞の藤田まさとさんが東海林太郎さんのために用意された曲だったそうです。
この曲を始め多くのヒット曲をお持ちで、Kiinaも「流転」と「裏町人生」をアルバムに収録していますね。
とても真面目なお人柄で、戦時中積極的に戦地慰問をされたそうですが、30歳を過ぎてからご自身にも召集令状が届き(秋田県職員のミスで別人と間違えられたそう)、内地勤務を勧められたのを「国民の務めだから」と断ってニューギニアに赴き、昭和19年に戦死されたそうです。
上原さんは元々浪曲にも親しんでいて小節が回せたそうですね。そう言われてみると、同じ道中ものでもクラシック畑ご出身の東海林太郎さんの朗々とした「旅笠道中」と上原さんの「妻恋道中」とでは少し雰囲気が違う気がします。
Kiinaの「妻恋道中」は歌い出しから最後までの流れに無理がなく、特にサビの部分からの声の響きと小節回しがとても心地良いです。
この曲に限りませんが、Kiinaがデビューした23年前はリアルタイムで上原さんや東海林太郎さんの歌声を耳にされた方が沢山いらっしゃったでしょう。
そんな懐かしい曲の数々を若い声で再現してみせたことに、この2つのミニアルバムの意味があったのかもしれません。
Kiinaは、この時から既にとても上手いけれど、その上手さをこちらに押しつけてこない。それが23年経った今でも変わらないところにKiinaの凄さがあるような気がします。