「三味線旅がらす」がKiinaファンの間でも人気が高いのは、松井先生の歌詞だけでなく水森先生のメロディーと伊戸先生のアレンジの三者のバランスが絶妙で、結果として「理由は分からないけど、何だか聴き心地が良い」からではないでしょうか。
もちろん、Kiinaの歌唱もです。
力を入れ過ぎたり張り上げたりする箇所がなく、どこまでも自然体で歌っているので何度繰り返し聴いても疲れないのです。
※イントロのメロディーが秀逸です。
マイナー調でどこか哀愁を感じさせるけれど、同時に華やかさもあって、最初の一音から惹きつけられます。これからどんな物語が始まるのか?という期待感を持たせてくれます。
※それと「エー チントンシャン エー チントンシャン」から「気まま向くまま」への音の流れが素晴らしい!
素人がプロの作曲家の大先生を褒めるのもなんですが、ここが大好きなので、毎回聴くたびに「水森先生、よくぞ!」とうなってしまいます。
※そしてアレンジですが、この曲は一見地味なようでいてよくよく聴いてみると実に多種多様な楽器が使われていますよね?
メインは三味線と笛ですが、鉦や鈴や太鼓、その他名前のわからない楽器まで邦楽で使われている様々な楽器を総動員して演奏を飾りたてています。コンサートで大宮さんが千手観音のように鳴り物を操っている姿が目に浮かびます。
江戸小紋のように一見地味なようでいて、実はとても凝っている。まさに江戸の粋に通じますね。
※KiinaのMVも大好きです。
縞柄の着流しの艶やかさ。
番傘の下で物言いたげな視線の色っぽさ。
スタジオ撮影であまりお金はかかっていなさそうですが、CGで雨粒が下から上に昇っていくシーンも凝っていますね。
こんな男前で色っぽい新内流しさんが本当にいたら、江戸中の娘たちがハーメルンの笛吹きみたいに後ろから随いていくんじゃないかと。
確かDVDが発売された時に、Yahoo掲示板にそう書いた記憶がありますσ(^_^;)
股旅演歌というジャンルの曲が今でも沢山作られているのか、他の歌手の方にとんと関心のない私には事情がよく分かりませんが、作詞・作曲・編曲・歌い手の四拍子が極めて高いレベルで揃った「三味線旅がらす」は、股旅演歌のひとつの完成形としてもっと評価されてもいいように思います。
もうちょっと続きます。