アルバム・カバー曲3曲めは「青い山脈」です。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=sl-b1hs9tQ4
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/158084/
弾むようなリズム。希望に溢れた言葉の数々。廃墟から立ち上がり、古い因習を打ち壊して前へ進もうとする再生の歌であり、戦後日本のシンボルとも言える曲です。
キラキラと明るく爽やかなKiinaの歌声は、他のどんな歌手よりもこのハレの歌に相応しいと思います。
大きな歌謡イベントのフィナーレで全員で歌われることの多い「青い山脈」ですが、創唱者の藤山一郎さんの後を継いでセンターでこの歌を歌えるのはKiina以外にはいないと断言したいです。
大御所や大先輩方の集うイベントで、実際にはKiinaはいつも端っこの方で歌っていたかも知れません。でも、私のイメージの中では「青い山脈」の絶対的センターはKiinaです。
Kiinaも「レコーディングも楽しく爽やかに唄えました」とお話ししていますが、その楽しさが音源からも伝わってきますね。
この歌は、よく知られているように石坂洋次郎さんの同名の小説を原作とした映画の主題歌として、昭和24年に発表されました。ちょうど今期の朝ドラでは服部良一さん(がモデルの羽鳥さん)が主人公の音楽上のパートナーとして登場していますね。「ぼくの音楽人生」という自伝で、服部さんがこの曲の制作秘話を語ってらっしゃいます。
沢山の劇場音楽を掛け持ちで担当されていた服部さん。梅田劇場から京都の大映撮影所に移動する電車の中で、車窓から見た六甲山の山並みに俄かに曲想が浮かび、鮨詰めの電車の中で五線譜は書けないので、手帳にハーモニカの略譜を数字にして書き留めたのだそうです。
石坂洋次郎さんは青森県弘前市のご出身で、原作の小説は東北の女学校を舞台にしています。映画「青い山脈」には東北と関西の山並みのイメージが混在していることになりますね。
映画も主題歌も大ヒットしましたので、エピソードも沢山あるようです。
ひとつは、18歳の旧制高校生役で出演されている池部良さんは、南方から命からがら復員された元中尉で、撮影当時の実年齢は34歳だったとか。
もうひとつ、映画監督の今井正さんは何故かこの主題歌がお気に召さず、録音にも立ち会わなかったそうです。
あるアンケート調査で「日本人の最も好きな曲」にダントツ1位で「青い山脈」が選ばれ、服部さんは「歌そのものが独り立ちをし、これだけ広く日本人に愛されているのだとすれば、作曲家冥利というものだろう」と書いていらっしゃいます。
日本人の国民歌のような「青い山脈」。この歌をに何かしらの思い出を持つ方も多いのではないでしょうか。
余談ですが、戦前石坂さんは秋田県横手市の女学校で教師をされていたことがありました。母の話では、その頃に奥様が不倫をしたとかしなかったとか。「だから石坂洋次郎は秋田県に良い印象を持っていないんじゃないだろうか」と、同じ秋田県とは言え北と南でもの凄く離れているのに、まるで近所の知り合いの噂話のように「青い山脈」の歌が流れるたびにヒソヒソと同じ話を繰り返していました。
なので、困ったことに「青い山脈」→石坂洋次郎さん→奥様の不倫、の図式が頭に焼きついて離れませんσ^_^;