2014年前半のアルバムとして5月21日にリリースされたのは、「大利根ながれ月」をタイトルとした「演歌名曲コレクション」シリーズではなく、過去にカバーした昭和の名曲をピックアップして歌い直しをした「昭和の演歌名曲集」でした。
村田英雄さんの「無法松の一生〜度胸千両入り〜」のDVD付きの初回限定盤とhttps://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COZP-925-6.html
通常盤https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-38564.html
の2タイプです。
「デビュー15周年ということで、特別にコンセプトアルバムとして」「デビュー以来カバーさせていただいてきた名曲を、15年経ってあらためて歌ってみたいという思いがあり」とKiinaは説明していますが、その割に「選曲はスタッフの皆さんにお任せして」という、私の中ではいまだに「なぜ、この時期に?」が今ひとつ謎な(笑)存在のアルバムです。
ところで、このアルバム発売の直前、Kiinaは突如としてある悪意の元にハラスメント加害の糾弾を受けるという災禍に見舞われました。
これからいよいよ15周年に向けて様々なイベントが繰り広げられるという出鼻を狙われての、まったくの青天の霹靂でした。
事実は当事者にしか語れません。いちファンとして私がここで言えるのは、「僕は潔白です」とファンの前できっぱりと明言したKiinaの声をこの耳で聞いたこと。どこよりもスキャンダルを嫌うNHKが、少なくとも東京の本局は一切Kiinaの出演オファーをキャンセルしなかったこと。つけ加えるならば、ほとんどのメディア、特にディープな情報に詳しいその筋のメディアが、一様に「長良会長という後ろ盾を失ったタイミングを狙って、彼は陥れられたのだ」と報じていたことです。
「そういう魑魅魍魎の世界できよしくんは14年戦ってきたんだ」と、ただ慄然とするばかりでした。
このブログのこのコーナーで取り上げるのに相応しくない案件ですね。ただ、この15周年という年にKiinaと共にいたファンは、大晦日の紅白でKiinaが確かにNHKホールのステージで歌うのを見届けるまで、ひとりひとりが自分の出来ることでKiinaを守るために戦っていた。2014年はそんな年でしたということを、ほんの少しだけ書き記しておきたかったのです。
というわけで、本題に戻ります。
このアルバムは全曲歌い直しのカバー曲目で構成されていますので、最初にカバーした時の音源と聴き比べようと思います。
1曲めは、村田英雄さんの「無法松の一生〜度胸千両入り〜」です。
最初の収録は2001年の「演歌名曲コレクション 大井追っかけ音次郎〜青春編〜」。初めてのフルアルバムでした。Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=SpCJphFxqR8
単なる上手い下手ではないのです。歌声の一発めで、この若者には無限の可能性と輝かしい未来が約束されていると確信させてくれる、そんな煌びやかさがあふれています。
確かに、歌の主人公である松五郎の片恋の悲しさや切なさの表現は足りないかもしれませんが、声の持つ魅力、若駒が野を駆けていくような爽快さが心地よくて、何度も聴いても惚れ惚れする気持ちが枯れていきません。
こちらはは2014年盤です。↓
https://m.youtube.com/watch?v=-4kjN3UgiWY
2001年盤よりキーを半音下げテンポも少し落とした分、落ち着いた大人の無法松になっています。Kiinaも「今回の方が、主人公のイメージに合った男の渋さなど、歌に表情が出せたと思います」と自己評価しています。歌い方にも村田さんの雰囲気がどことなく感じられますね。
確かに落ち着きと威厳のある無法松なのですが。
でも、2001年盤のあの八方破れな無法松は、23歳の時のKiinaだけにしか歌えなかっただろうと思うと、やはりたまらなく愛おしく感じられるのです。