アルバム5曲め。KIINA.はちあきなおみさんの「かもめの街」に挑戦しました。↓
歌詞は歌ネットより。
KIINA.は昔からこの歌が大好きだったそうです。
私も大好き!
大好きな人が大好きな歌をカバーしてくれるのは嬉しくもあり、少しだけ怖い気も。
夜の仕事に生きる女性の孤独感と人生への諦観がこの曲のテーマですね。
この曲の歌詞で一番胸に響くのは、2番の歌詞の「いろんな人が居たし いろんな人が居なくなった」というフレーズです。
夜通し酔っぱらい達の相手をして、疲れた心と体をタバコで紛らわせていたら、ふと「そういえば、あの人もこの人もいなくなった…」と感傷的になったのでしょう。
そして港で鳴き騒いでいるカモメも、それぞれがひとりぼっちなんだなぁと。
KIINA.はとても丁寧にすべてのフレーズに思いを込めて、しかもそれを過剰に露出することなく音にしてみせています。
特に「いろんな人が居なく」の後、ほんの少しだけ溜め気味に「なった…」と呟きのように歌う部分など、繰り返し何度でも聴きたいくらい見事です。
そしてサビの盛り上がりから最後の「あ〜あ〜」のため息まで、ちあきさんへのリスペクトを込めて、でもちあきさんとは違う「かもめの街」の心象風景が、KIINA.の筆と絵の具で見事に描かれています。
⭐️昨日書き忘れましたが(めちゃくちゃ眠かったのです)、「かもめの街」はアルバム「カバー・セレクション」にも収録されていますね。
今朝起きてからサブスクで「かもめの街」を検索したら、創唱のちあきさんと杉本先生のセルフカバーの他にも何人かカバーされていました。
やはり歌唱力に自信のある方が揃っていましたが、自信があるだけにドラマチックというか歌に感情をこめすぎている印象が。
KIINA.は恐らくレコーディングに際して「サラッと歌うように」と杉本先生からアドバイスをいただいたのではないかと思います。
主人公の女性は、あまり幸せでなかった自分の人生をどこかで受け入れている。それが「ドンブラコ」という言葉で表されているように思います。
「ドンブラコ」と感情過多はマッチしないのです。
サラッと歌っていながらそこに歌の世界が鮮明に見えてくるというのは、本当の歌唱力がないと出来ないこと。
若い頃ではなく今のKIINA.だから歌えたのだと思いますし、KIINA.ご自身も会心の歌唱だという自負があって、「カバー・セレクション」に入れたのかな?と思います。