2001年6月、初のフルアルバム「大井追っかけ音次郎〜青春編〜」がリリースされました。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-31460.html
デビューして1年4か月。他の新人歌手なら、まだまだキャンペーンでCDを手売りしている時期ですね。
初のフルアルバムだというのに、今まさにヒット街道爆進中の「大井追っかけ音次郎」本編は収録されていないという、ちょっと不思議なアルバムです。
歌詞はうたマップより。
https://www.utamap.com/showkasi.php?surl=F08601
「大井追っかけ音次郎」本編より、歌詞に織りこまれた細工が更に凝っていると言ったらいいのでしょうか、松井先生の職人技が存分に発揮されている印象です。
3番の歌詞に出てくる「仁吉」とは「吉良の仁吉」のことですよね。
「花の渡り鳥」の追分三五郎にしろこちらの吉良の仁吉にしろ、かつて浪曲や講談や戦前の映画で大衆に知られた侠客の名前が、今の時代に作られた作品であっても「当然知っていること」として組みこまれているのは、「股旅演歌とはそういうもの」というお約束になっているからでしょうか。
私は吉良の仁吉の名前は若い頃から漠然と知っていましたが、追分三五郎はまったく知りませんでした。
「大井追っかけ音次郎〜青春編」は、作詞された松井先生が亡くなられる少し前に、お見舞いに伺ったKiinaに先生が「僕は『大井追っかけ音次郎』は青春編が好きです」とおっしゃったと、Kiinaがお話ししていたのが印象に残っています。
Kiinaは本当に松井先生のことが大好きでしたね。若いKiinaに対しても、いつも敬語で接してくださったと。
人としての正しいあり方を、言葉ではなくたたずまいで示してくださったんでしょうね。