カバー3曲めは、藤山一郎さん「青い背広で」です。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-33417.html
Kiinaのキラっキラの歌声をぜひお聴きになってみてください!
https://m.youtube.com/watch?v=TgatzIg4Ux0&pp=ygUP6Z2S44GE6IOM5bqD44Gn
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/35773/
Kiinaがカバーした懐メロの中でもダントツに好きな曲です。曲というよりも、この時のKiinaの歌声が。
歌い出しからの、溌剌とした躍動感。「赤い椿で♪」からのサビの部分の透きとおる高音に彩りを加える甘やかな響き。微かに滲む哀感。
この歌声の色合いは、この時代のKiinaにしか出せないものだったと思います。
歌詞をよく読んでみれば、何とも不思議な内容です。
「駅で別れて 一人になって あとは僕等の 自由な天地」
僕等って、僕とだれ?駅で別れたんじゃないの?
「涙ぐみつつ 朗らにうたう」
????悲しいの?嬉しいの?
矛盾が沢山ある歌、でも、そこに魅力を感じるのです。
そうしたら、疑問を解き明かしてくれるエピソードをある本で発見しました。
作詞の佐藤惣之助さんは大変お酒がお好きな方で、ある時仲間の皆さんとお座敷で飲んでいて、いい加減にお酒が回ったところへ藤山一郎さんが遅れて参加された。
グリーンのジャケットを着ていらしたのを見て「お!ピンちゃん(藤山一郎さん)、いい色のジャケットを着てるねえ」と、そばにあった紙にサラサラ書いたのが「青い背広で」の歌詞だったのだそうです。
酔った勢いで書いた詞なら、矛盾も納得できます。
もうひとつの私の中での謎〜「青い背広って、郵便局員さんか町役場の人の制服っぽくない?」も解決しました。
この「青い」は、ブルーではなくてグリーンのことだったんですね?
藤山一郎さんは慶應ボーイでお洒落でいらしたから、グリーンのジャケットなら分かります。
この曲の歌詞全体に流れる整合性、一貫性のなさ。
だからこそ、まさしくこれは「生命(いのち)の春」〜青春の歌そのものなのでしょう。青春というのは、そもそも矛盾だらけなんですから。
色々な方の「青い背広で」を聴いてみましたが、哀しいほどの透明感で青春の煌めきを表現できているのは、2005年のKiinaの歌声だけだと私は思いました。
だいぶ前に「きよし節」にこの曲をリクエストして採用されたことがありましたが、たぶん私の「好き!」の気持ちはKiinaには充分に伝わらなかったと思います(笑)
私の一方的な偏愛です。