「群青の弦」Aタイプのカップリング曲は「鼓」です。KIINA.の歌唱はこちら↓
歌詞は歌ネットより。
こちらも岡千秋先生の作曲ですが、作詞はかず翼先生です。
恋の未練を断ち切るために、月の下でひたすら鼓を打ち鳴らし続ける。
いったいどんな女性なのでしょうね。
鼓と言っても芸道物ではなく、嗜みとして鼓を打つ女性の姿が目に浮かびます。小津安二郎の映画のような静かな世界。
そんな題材なので、KIINA.も敢えて感情過多にならないように抑え気味に歌っている気がします。歌の途中に挿入された鼓の音色が効果的です。
鼓というテーマでもうひとつ浮かぶのが、能の「綾鼓(あやのつづみ)」です。
女御に身分違いの恋をした庭掃きの老人に、女御は鼓を渡し「鼓を打つ音が自分の耳に届いたら、もう一度姿を見せてあげよう」と伝えます。
老人が力の限り打ち鳴らそうとしても、皮の代わりに綾布を張った鼓は鳴りません。悲嘆にくれた老人は池に飛び込んで死んでしまいます。
恋の妄執を描いた世阿弥の作品です。鼓を嗜む女性なら、きっと「綾鼓」を思い浮かべながら一心に鼓を打ったのではないかなと、これは私の想像の飛躍です。