レコ大・紅白での華やかな残像もまだ目に鮮やかな2016年2月2日、Kiinaのデビュー記念日に30作めとなるシングル「みれん心」がリリースされました。
・カップリング曲が「瀬戸内ブルース」のAタイプ。https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-17119.html
・「きよしの数え唄」のBタイプhttps://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-17120.html
・「東京音頭」のCタイプhttps://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCA-17121.html
の3タイプです。
Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=WYg0w5-6-aM
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/201972/
年が明けてスタートした2016年のツアーコンサート、1月19日の川越でさっそく披露されました。
既に「靳・演コレ2」には2曲収録されていましたが、シングルとしては初となる「女唄」です。
特集を組んでくれた「歌の手帖」4月号ではインタビュアーの方が「ズンチャカ系メジャー演歌」と表現されていましたが、言うなれば「きよし版『女のみち』」でしょうか。作詞の志賀大介先生はKiinaへの提供は初めて(これ一曲のみ)。久々の水森先生のメロディーも伊戸先生のアレンジも、敢えてど演歌の泥臭さを狙っているように思います。
「男花」や「愛しのテキーロ」のようなアップテンポで華やかな曲調からの大きな揺り戻しというか、そうではない"ごくごく普通の演歌"を好むファンのことも大事にしていますよ、というアピールのようにも感じました。
もうひとつ思ったのは、「カラオケファンの受けが良い曲を」という販売戦略もあったのかな?ということです。
Kiinaもインタビューの中で「父親がカラオケで『情熱のマリアッチ』を歌ったみたいで、"難しいなぁ“と電話があった。『無理して歌わんで、じっくり聴いて』と言ったけど『みれん心』はぜひカラオケで歌ってほしい」「一般的にカラオケで歌ってもらえるような、こういう演歌路線も大切ですよね」とお話ししています。
これまで何度かご紹介していますが、この曲について、近田春夫さんが久々に連載コラム「考えるヒット」で論評してくださっていて、それが「みれん心」の曲そのものに対してというより近田さんの「氷川きよし論」になっているのが大変興味深かったです。
「きよしの『演歌の標本箱』に一つ"女歌"が入った感じ?」
※このひとだけベテランから新人まで並み居る演歌歌手勢の中で違うのだ。・・・何が違うのか?未だうまく説明できないのだ。ただ、それが演歌との距離の取り方なのではないか?ということはある時期からなんとなく見えてきた。
※ひょっとしてこの人はレコーディングをフィールドワークと考えているのではないか?もしも氷川きよしのレコーディングの目的が(演歌の)標本作りなのだとすると、色々なことの辻褄も合ってくる。
Kiinaの「演歌との距離の取り方」というご指摘は、今ならどれだけ的を射た洞察か分かります。
Kiinaがまとっていた他の演歌歌手とは微妙に違う空気感の正体が何だったのかは「歌謡界の小林秀雄」との異名を取る近田さんの特別な感性だけが捉えたもので、「限界突破×サバイバー」に出逢う前のこの時点では、きっとKiinaご本人にも師匠の水森先生にも自覚や認識はなかったのではないかとも思います。