アルバムの最後を締めくくるのは、「誰か故郷を想わざる」です。
https://columbia.jp/artist-info/hikawa/discography/COCP-32843-4.html
Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=NU2DHhAoAZQ
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/20520/
昭和15年、作詞西条八十、作曲古賀政男、歌唱霧島昇という黄金トリオで日本コロムビアから発表された、まさに名曲中の名曲です。
この曲の大ヒットにまつわる有名なエピソードがありますね。
この曲が発表された昭和15年は、日本が太平洋戦争に突入する前年、日中戦争は泥沼のまま出口を見出せず国民は国家総動員法の下で厳しい耐乏生活を強いられていました。
そうした風潮の中で発表されたこの曲は当初、「軟弱」とソッポを向かれ、さっぱり売れなかったそうです。
コロムビアは在庫処分の一策として、中国戦線にいる兵士に送る慰問袋にこのレコードを入れたところ、故郷を偲ぶ兵士たちの間で大人気に。大陸からの逆輸入の形で国内でも大ヒットしたのだそうですね。
そうした時代背景を知らなかったとしても、この曲は故郷を想うすべての人の心に響く名曲だと思います。
そして、Kiinaの歌唱です!
しっかりとリズムに乗って、明るくどこまでも伸びやかに歌い上げるKiinaの声に惚れ惚れします。
こうして音源で聴くのもいいのですが、何千人という聴衆の手拍子の中で晴れがましくこの曲を歌い上げる姿こそKiinaに相応しいような。Kiinaの歌声には、そんな求心力と華やかさがあります。
どんな曲でも見事に歌いこなすKiinaですが、この「誰か故郷を想わざる」の歌声こそ、Kiinaの真骨頂。
この2枚組18曲入り大作アルバムの掉尾を飾るのに相応しい、素晴らしい歌唱だと、この時制作に当たったスタッフの皆さんも大満足だったのではないでしょうか。
時代を超えて多くの方に愛唱される名曲ですが、26歳のKiinaが歌った「誰か故郷を想わざる」が、どんな名歌手の歌唱より(さらに言えば、後にカバー集でKiinaご本人が歌い直した歌唱よりも)私の中では絶対的なナンバーワンです。何度聴いても、この類い稀な歌声と才能に惚れ惚れします。