連載コラム～抗がん剤後の脱毛と医療用かつらの準備ポイント

抗がん剤後の脱毛と医療用かつらの準備ポイント

11年前、私が抗がん剤治療を伝えられた時、頭の中は真っ白、とにかく病気や治療について調べなければと、本を読んだりインターネットで情報を探索したりの毎日で、脱毛対策は後回しになってしまいました。
同じように治療開始まで数日しかなく、医療用かつらをいつ、どこで用意すればいいか、お困りの方も多いと思います。

今回は、知識を持って治療に向かうことで、少しでも不安が軽減できるよう脱毛の予備知識と医療用かつらの揃え方についてお伝えします。



■抗がん剤治療から脱毛まで
抗がん剤治療には、手術の前に抗がん剤治療をする「術前化学療法」と手術の後に行う「術後化学療法」があります。
術前ですと、がん告知を受けて間もなく開始、術後ではまず手術を行い、病理検査を行ってからの開始となりますので、少しだけ時間的に余裕があります。
どちらの場合も、抗がん剤治療が始まると、大体2～3週間で少しずつ髪の毛が抜けて来ます。
薬の種類にもよりますが、多くの場合頭頂部から始まり、もみあげと襟足部分が少し残る事もあります。
この少し残った髪の毛が、意外と重要で、かつら以外の帽子などをかぶった特に少し覗くと自然な感じなのです。
切ってしまわずに、残しておきましょう。



これは自作のケア帽子。治療時、寝る時に頭を保護する為にかぶっていました。
もみあげの毛が少し覗いています。

■脱毛時に注意したいこと
よく、「脱毛前にスポーツ選手のように短くカットした方がいいですか？」というご質問をお受けする事がありますが、
あまりに短くしてしまいますと、抜けた短い毛が服や帽子、タオルなどに刺さってチクチクしてしまう事もありますので、注意が必要かもしれません。
また、逆にロングヘアの場合、髪が抜け始めるとシャンプー時にからまってしまい、お団子のような固まりになってしまう事もあります。シャンプー前にブラッシングをしておいたり、少し短めにカットしておくと良いかもしれませんね。



■医療用かつらを用意する時期と選び方のポイント
「医療かつらは、いつ頃準備したら良いでしょう？」これもよくお受けするご質問です。

できれば、治療前の体調の良い時に、実際にフィッティングのできるお店やサロン数カ所で比べて下見をするのが理想的だと思います。

治療が始まってから再度購入の為に外出するのが不安な方は、何点か比べてからその日に購入しても良いと思います。
また、治療中でも比較的体調が戻る時期もありますので、脱毛が始まってから体調の安定した日に購入される方もいらっしゃいます。

ここで覚えておいていただきたい知識は、サイズの問題です。
脱毛前の頭のサイズは、ご自分の髪の分量のため大きめですが、脱毛時には数センチサイズダウンします。
ですから、それを見込んで、サイズ調整機能がついているかつらや、脱毛時のサイズ変化に対応してサイズ調整をしてもらえる所で選ぶ事はポイントのひとつです。

サイズの他に、かぶったときのフィット感、イメージ、自然さ、価格などをポイントに、ご自分らしくいられるかつらをみつけてください。
自信を持って外出できるかつらは、治療中の気持ちを前向きにしてくれるでしょう。




著者情報
河野こずえ
所属
NPO法人　日本ヘアエピテーゼ協会　本部広報
業種
医療用かつら・ヘアエピテーゼを活用した再現美容、抗がん剤治療前後の髪のケア、再現美容師の育成、患者様向け美容セミナー
名前
河野こずえ
専門
医療用かつら
一言
出版社でファッション雑誌のエディターを経て独立。雑誌や広告のスタイリング、ブランドのコーディネーターなどファッション畑で20年以上働いて来た私が、2003年乳がんに罹患し、治療の副作用で脱毛経験をしてから「女性の外見は服より髪！」と開眼しました。抗がん剤治療中でもいつもの自分らしく、おしゃれも楽しめるよう、医療用かつらに関する知識や活用法をお伝えして行ければと思っています。
どうぞ、よろしくおねがい致します！

NPO法人日本ヘアエピテーゼ協会
http://www.hair-epithese.com/