2022年12月2日(金)
病気で自宅療養中の3日目の12月1日、ソムポップ師を手伝って、TikTok法話の第一話が完成した。
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https://www.tiktok.com/@luangpeetabtim/video/7172172489647246618?_r=1&_t=8XodPX5vFhq&is_from_webapp=v1&item_id=7172172489647246618
「上座部仏教の紹介を『日本語』でできればいいよね~」と、以前から話していたのだが、ラムパーン着任後は倍速モードで人生が走り始めたので、11月末のチェンマイ訪問時にも具体的な話はできなかった。「落ち着いたら、そのうちに・・」と、話だけに終わっていた。ソムポップ師と協力して日常の中に仏教を広めたい。人々は今、仏教が遠いところにあると思っているが、仏教は実践の宗教なのだ。
ここでまず、ソムポップ師を簡単に紹介しておきたい。以後、このblogに登場するメインキャラクターのお一人なので、小出しだよ~😊
師の正式な呼称は、「プラマハー(偉大な僧)ソムポップ」、僧歴11年、パーリー語の最高学位「9級」を修めた少壮気鋭の僧侶である。ちなみに3級以上を修めた僧侶はプラマハーと呼ばれる。パーリー語の試験は一年に一度しか実施されず、そして、もちろん簡単な試験ではない。能力の天井を破れず、あきらめる僧も多いと聞く。
私の記憶では師は一回落ちたみたい(ソムポップ師、個人情報なのにゴメンね~)。10年、お寺の仕事もこなしながら、彼はずっと勉強し続けていた。頬はこけ、顔は青ざめ、痩せるほど、毎日毎日、寝る時間を惜しんで勉強していた。パーリー語はお釈迦様が話していた言葉とかなり近いらしい。一般的にサンスクリット語が文語、パーリー語が口語とされている。サンスクリット語は書き言葉、パーリー語は話し言葉と、簡単にいえば分かりやすいかもしれない。
タイの上座部仏教でパーリー語が重視されるのは、仏教はそもそも口伝だったからだ。現代の日本でもお寺参りの後、お坊さんが日常生活に役立つ法話を、分かりやすく話してくださることがあるよね、ま、あんな感じだったのかもしれない(あくまで想像)。しかし数千年前の言葉だからもちろん難しい。現在、上座部仏教の経典と儀式はすべてパーリー語が用いられている。口語であるパーリー語は文字を持たない言語なので、タイではタイ語で表記されている。格変化があって、語順はだいたい日本語と同じらしい。
コロナ禍の年にその10年がようやく終わり、ソムポップ師はバンコクの名刹、テープシリンタラワート寺院からチェンマイの森林寺院へ庵を移した。その後しばらくして、後輩僧にパーリー語を教えることになり、森林寺院の本部であるワット(寺院)・パーダラピロムへ庫裡を構えられた。
ソムポップ師は好奇心旺盛、国内海外問わず、旅行も大好き。厳しい勉強の合間にも、何度か訪日された。できる人ほど、オン・オフの切り替えが上手なのかもしれない。
前回の訪タイ時、3級の受験勉強中のお坊さんと並んで、パーリー語の勉強をさせていただいた。もちろん、チンプンカンプンだったが、語学の好きな私は、発音の音色、語順の推測、文法の推定、等々、文字を追って考えることがとても楽しく、飽きることはなかった。ソムポップ師は現在、お寺で第三位の地位にある。第二位のお坊さんに、「女性をあの建物に入れることは、本来できないんじゃないのか?」と問われると、「この人は、勉強したいという清い考えを持って、同席された。元々、語学の先生であり、言葉に興味を持っている。それのどこがいけないのか」と説明なさった。説明が的を射たのか、先輩僧は私を見て「じゃ、いいよね」と言っていた。一緒に勉強したお坊さんは、離れていたとはいえ外人女性と並んで座り、自分の本読みをチェックされて(私には上手下手は分からないんだけど!)、かなり気まずい思いだったんじゃないでしょうか(笑)。たぶん彼の人生で、最初で最後のことでしょう。ちょっと、かわいそうだったかもね~(再笑)。
病気とはいえ、体調は、日本だったら薬を飲んで仕事に行けるレベル。新種のウィルス感染かもしれないと、かなり用心深く療養していたので、授業で大声を出して消耗しなければ、普通の生活はできる。気になっていた台所まわりと食器棚の整理、枕の洗濯などができるぐらいに回復していた。在宅時間がかなりあったので、ソムポップ師に電話して雑談。ソムポップ師も最近は働きすぎてお疲れモードで、在クティ(庫裡)。
で、しばらくするとタイ語のタンマ(法話)がラインで送られてきた。読んでみて、「最近、話したことと似ているな、偉いお坊さんが作った名言を、励ましに送ってきてくれたのかな?」「これで精神を磨き、元気を出せということかな?」と思ったが、実は違った。送られた法話を訳し、「この法話にはここが足りないんじゃない」と偉そうに話している途中、「あれっ⁉これって、借りものじゃないよね!?」と薄っすら分かってきたのだ。「心を逃がすとはどんなことか分かりにくい。記述が物足りない、輪廻転生の前にもう一文、あったほうがいいよね~」等と厳しいかもしれない指摘をしてしまったが、もう遅い。え~、申し訳ない~・・・でも本当にそう思うので、言った言葉を引っ込めなかった。そして、彼は「心を好転させる」という言葉を紡いだ。「心」と「精神」の違いもゆっくりと話し合った。日本の皆さんはこの違いをどう考えますか?
そう、これは彼が自分で作った法話だったのだ。そうだ、仲良くしていただいて忘れていたけど、彼は偉いお坊さんなのだ!!彼は毎週、自身の法話を作っているというのも初めて聞いた。Facebookやタイムラインを通じて、彼自身が毎週つくるタンマ(法話)を広めているという。
皆さん、心の逃がし方のコツ、分かってくれた??
上座部仏教で輪廻転生から抜け出すためには、「三界」の欲を捨てなければならない。『女、三界に家なし』の三界だ。私が食欲さえも否定できるのは死ぬ直前かな?できないかな?これはかなり難しい実践。ソムポップ師もまだ食欲はあると思う。人間も動物なので生きていて食欲を持たないのは、かなり難しい。
タイ人は食べ物をよく捨る。とても残念な習慣だ。おいしいタイ料理を食べたいので、今は食欲は捨てられない。せめていつも、命をくれた生き物、牛豚魚鶏野菜に「命をくれてありがとう」と思う。そして、できるだけ全部食べる。そんな考えをチットアリー福祉教育校でも広めたい。そして心を好転させる技も磨きたい。
まだ、時間はありそうだ。
私が生きるために命を懸けてくれた生き物、全てに感謝(拝)🌄