「子と偕に…」
公明を心配する影月に「だが、ここに残っては死んだも同然だ」と張殿は言う。「どこにいてもいい。ご無事なら」と言う影月。張殿は強くうなずく。
湘湘に公明から“私の文を見て驚いただろう。これは数日前にしたためた。君に直接伝える勇気がなくてな。今回は約束を守れない。死は恐れぬが、私の死で君を悲しませるやも。許してくれ。こたびは真の別れになる”というメールが届く。
湘湘は急いで家を飛び出し、病院へ向かう。
ナースセンターで公明という患者がいないか聞くが、看護師は分からない。湘湘はあちこち見て回り、誰もいないベッドの上に、血のついた公明の着物がある病室を見つける。
ゆっくりとベッドに近づく湘湘。湘湘はひざまずくと声にならない声で公明の名を呼び涙を流す。
消沈した湘湘は、部屋を出て少し歩いたところで倒れそうになる。そんな湘湘を抱きとめたのは公明だった。
湘湘に「文を見たか?私が会いに行く前に君から来てくれるとは」と言う公明。しばらく放心状態だった湘湘は、公明の頬を叩き、何度も公明の体を殴りながら「どこに行ってたの。どれだけ心配したか」と怒りながら泣き出す。公明は湘湘を強く抱き締め「すまぬ、会いたかった」と謝る。最後に頭をよぎったのは君のことだった、どうしても一言君に伝えたかったが、その機会はないと思っていた、再会できてどれほどうれしいか、と。
湘湘は公明の顔を見ながら「ひと言って?」と聞く。「“子の手を執り、子と偕に老いん”」と公明は告げる。湘湘は「実はね、私もずっと伝えたかったの。二度と会えないと思ったわ。また会えて本当によかった。だから言わせて、愛してる」と言う。湘湘に口づけをする公明。
傷が癒えないまま公明は湘湘の家へ。
「“髪の毛1本失わないで”と約束したのに」と怒る湘湘。公明が「私とて望まなかったが他に方法がなかったのだ」と言うと、湘湘は「死んじゃったら永遠に会えなくなるのよ」と言い返す。「任務のためなら命など惜しんだりはせぬ。だが恥ずかしくも死を前にして私は生きたいと思った。生きて湘湘に会いたいと」と言う公明。
湘湘はつらそうに「歴史が変わってたわ。てっきり死んだと思った」と言う。公明は「医者によれば矢は心の蔵を外れていたそうだ」と話す。「本当?天のご加護ね」と言う湘湘。公明は目を伏せ、王莽が矢を放った時のことを思い返す。
湘湘は心配そうに「また漢に戻ったりするの?それとも私のそばに残ってくれる?」と聞く。公明は「もう戻りたくても戻れぬ。漢では死人だ」と答える。
公明を死に追いやり、王枢の罪まで許氏と公明になすりつけたと皇帝は怒りが収まらない。王莽は陛下の前にひざまずき「一番の罪は私にあります。死を賜りください」と言う。公明は私の友でした、ですが信じてやらぬばかりかこの手で殺しました、義に背いてまでどうして生きられましょう?皆の罪は幻想に取り乱したことのみ、ですから私を処刑してください、と。「濡れ衣とはいえ知己の手で死ねたのだ。諫言大夫(公明)も悔いはなかろう。そちの死など望んではおるまい」と言う陛下。
陛下は関わった王家の者を全員流刑にし、王莽には閑職を与える。
「降格させられたそうね」と王莽に言う趙飛燕。王莽が「しばらくはお目に掛かれません」と言うと、趙飛燕は「いずれは戻ってこられるとでも?女は待てぬものよ。特に権力を失った男はね」と返す。そこに侍中・衛尉の淳于長が目通りに来る。趙飛燕はすぐ案内するように言う。
「ここへ何の用だ」と淳于長に聞く王莽。淳于長は「一族より遣わされたのだ。婕妤(趙飛燕)に力を貸すようにとな」と答える。「淳于殿は王一族の棟梁。何かと頼りにしているわ」と趙飛燕が言う。調子のいい淳于長は趙飛燕をおだてたあと、王莽に「お前と公明の仲は実に興味深いな」と言い出す。面白そうだと思い「ぜひ伺いたいわ」と言う趙飛燕。「幼い頃の王莽は気性が荒く同窓の童に排除されましてな、いつも公明だけが手を差し伸べていたとか。そんな2人が敵対するとは誰が予想しましょう」と淳于長は趙飛燕に話す。そして「結局、公明がお前の前途を断つことになろうとは」と王莽に笑いながら言う淳于長。笑みを浮かべ「それはどうかな?」と王莽は返すと、その場を後にする。
将棋をしながら、目の前にいるはずのない幻の公明と話す王莽。王莽が「死んだと思うと、さすがに私も心が痛む。だが、お前は本当に死んだのか?まだ生きていて、どこかに隠れているのでは?」と言うと、怪しく笑いながら「どう思う」と返してくる公明。「やはり、まだ生きているのか。私だけでなく、陛下をも欺いたと?なぜだ、なぜ私を追い詰める?」と王莽が聞く。公明は「お前が私を先に追い詰め、今度は追い詰められる側になっただけ」と答える。王莽は「私は必ず再起する」と言い放つ。
「再起?王一族の中でも身の置き場がないのでは?幼き頃と同じだな。淳于長にそしられ、内心、憤りながら反撃できぬ。幼くして父親を失い、私を思う影月からは気にも掛けられない。気の毒に。実に哀れだ」と言う公明。王莽は公明に駒を投げつけ、幻の王莽は消える。
湘湘は金晶から急に倒れ泣き出したことを問い詰められる。「役に入り込んでたの」と湘湘がごまかすと、撮影にも来ず、家にこもっていた理由を今度は聞く金晶。湘湘は「お芝居に没頭しすぎて疲れちゃったのね。今度から気をつける」と答える。
湘湘が用意した着替えの服のポケットには玉佩が入っていた。それを見た公明は、先生(張殿)と話した時のことを思い返す。
先生は「その荒唐無稽な策で運よく生き延びたら、漢には戻ってくるな」言う。公明が理由を尋ねると「お前は死人なのだ。去ると決めた以上、女子のそばにおれ」と言う先生。公明が「しかし、また皇后が危機に陥れば…」と言いかけるが、先生は「私も手は尽くすが、最後は天命に従うほかない」と言う。そして「二度と漢のことに関わるでないぞ」と先生は念を押す。
公明は湘湘が撮影をしている間、本をたくさん読んでいた。帰ってきた湘湘に「スペインがどんな国かも分かった」と話す公明。
公明が死んだと思っている許皇后は食欲がない。心配した姉が「淳于長が力になってくれる」と話す。お会いしたのよ、信頼できそうな人だし、私たちに同情してくれたと。許皇后は「淳于長は皇太后の甥で王氏の筋の者よ。気をつけないと」と注意する。姉は「心配しないで、今は養生しないと」と食事をすすめ、許皇后は料理を口に運ぶ。しかし、もどしそうになり食べられない。
姉は許皇后が身ごもっていると気づく。しかし許皇后は「姉上、この件は絶対に他言しないで」と口止めする。まだ我らの立場は危うい、懐妊のことが知られたらどんな目に遭うか分からない、しばらく伏せておきましょうと。姉も許皇后の考えに納得する。
許皇后の侍女から懐妊したことが子修に伝わる。子修は王莽に話し「すぐにも長老たちに知らせるべきかと」と言う。間違いは許されないと思い止めた王莽は、再度、宮女に探らせるよう命じる。
湘湘は「見せたいものがあるの」とパソコンで、いい家があったと見せようとする。しかし漢のことが気になり、ぼんやりとして話を聞いていない公明。湘湘はうつむきながら「あなたの心は向こうにあるのね。私と一緒にいてくれるんじゃないの?“子の手を執り、子と偕に老いん”」と言う。公明が「そうだ。だが皇后の身が心配だ」と言うと「目の前にいる許皇后とどっちが大切?戻るなんて無茶よ。違う?」と言う湘湘。
あんまりだと思った湘湘は、玉佩を手に持ち「こんな玉佩、永遠に見たくない」と家を飛び出して行く。追いかける公明。
公明は橋の上で湘湘を捕まえる。「玉佩があるから好き勝手に去っては戻るのよ。あなたの心も定まらない。二度と行けないようにしてやる」と橋の上から玉佩を落とそうとする湘湘。「すまぬ、君を悲しませた」と公明は謝る。湘湘は玉佩を落とせず、公明に抱きつく。「もう会えないと思った。あんな経験、一度だけで十分よ。また漢に戻ったら本気で怒るからね」と湘湘は言う。湘湘を強く抱き締める公明。
金晶がドリンクを飲もうとしていると天秀が来る。戸惑う金晶に、天秀は「年下の彼氏ってどう思います?」と聞く。もし年下の男に告白されたらどうしますか?と。金晶はどもりながら「年の差なんて、もちろん気にしないわ」と答え、天秀は嬉しそうに去って行く。
「これって私に探りを入れてる?」とつぶやく金晶。
天秀は暁南のところへも行く。暁南の持っていた衣装を「俺が持とうか?」と言って取ると「今度、脱出ゲームでもしませんか?」と誘う天秀。金晶のことを気にし暁南は断わろうとするが「ゲームくらいいいでしょ」と天秀は言う。結局、暁南は「いいわ、ぜひ今度」と嬉しそうに返事をする。
公明のことで話があると言われ、影月は王莽と会う。
冷たい影月に「私が憎いか?」と王莽が聞く。「ええ」と答える影月。王莽が公明の死がつらいか尋ねると、影月はうなずき「はい」と返す。「奴は知己だ、私とてつらい。死を前にしても信念を貫くとは」と言う王莽。王莽は影月をまっすぐ見ると「公明はどこだ」と言う。一瞬、動揺する影月。ふっと王莽は笑うと「思ったとおりだ、奴は生きている」と言う。
影月は「何が言いたいのです」と言う。「ごまかしても無駄だ。本当に公明が死ねば、今頃、私を殺している。だが君はそれほど悲しんでいない」と言う王莽。つまり、奴はまだ生きていると。
王莽は「君の言うとおり、奴が死人ならば私の行いを憤ることはないはず」と言う。「死んだ人に対しても、まだ手を緩めないと?」と言う影月。王莽は「奴は死を装い私を陥れた。本当に死人なら危害は加えられん」と言い返す。
王莽が長老たちに許皇后が懐妊したことを報告する。生まれた子が皇子であれば栄華が風前の灯になってしまうと思う長老たち。
湘湘がロケに行ったあと、公明はテーブルにあった湘湘の台本を手に取る。その台本には許皇后が“懐妊しました”と書かれていた。
淳于長は許皇后を殺すことを考えるが、王莽は「今、許皇后を襲うのは賢明ではありません。まして、お子を害すは大逆。皇孫に関わるとなれば皇太后も反対かと。私に考えがあります」と長老に言う。それは流言だった。
冷宮で監禁中の許皇后は陛下以外の男と会うことは難しかった。しかし王莽は1人だけ会えたと言う。死んだ公明です、彼は頻繁に許氏の元を訪れており、彼の死後、許氏は憔悴していました、こうして流言は真しやかにささやかれ誰もが信じ込むのです、長らく子宝に恵まれない陛下は一度の寵愛で懐妊したことを疑うはず、姦通となれば公明への信頼も薄れる、と。
図書館へ行き“永始元年、長安に流言が飛び交う。許氏が冷宮にて懐妊するが父親は皇帝ではなく…”と読む公明。さらに公明は皇帝の怒りを買った許氏が子を流産し、首を吊って自害したことを知る。
長老たちは王莽に任せることにし、王莽は「尽力する所存です」と言う。
ーつづくー
矢が心臓から外れていたということは、王莽がわざと外したということなのかな?
公明を殺したくなかったのなら嬉しい。
王莽だって公明が大切だよね?
天秀が罪作り(*≧ω≦*)
金晶も暁南も喜んでたけど、絶対、何かオチがあるような気がする。
漢へ行けば死ぬかもしれないという心配ばかりしなくちゃいけないものね。
湘湘の気持ちも分かる。
でも、忠義を貫く公明を好きになったとも思うから難しい(;_;)
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お茶会の時にお聞きした、湘湘が病院で・・・
はあの場面のことだったのですね。
療養途中で退院したようでまだ傷が癒えていませんよね、
おそらく。。。
そんな身体で戻って大丈夫なのでしょうか???
王莽と影月、、、王莽の思いが叶う方向に行きませんね。。。
彼の運命なのかもしれませんが、切ないです。
公明は大丈夫なのでしょうか?
次回も気になります。