「おかあさんといっしょ」
朝と夕方
同じプログラムを放送する。
その昔、
私は慣れない子育てに
不安でいっぱいだった。
そして乳幼児のいる世界に
違和感しか感じてなかった。
勇気を出して児童館に行き
買い物をして帰る。
その繰り返しで代わり映えのない日々。
子供がいて幸せなはずなのに
全然心は穏やかではなかった。
「おかあさんといっしょ」
の時間だけは
私の手を離れて画面に集中する我が子。
その時間にホッと一息ついていた。
そんなある日、ある歌が聞こえてきた。
ぼよよよ～ん、
ぼよよよ～ん、
っていうキャッチ－な歌詞と
子供番組で流れなさそうなメロディー。
なにこれ？
良くある子供向けの曲と違う！！
そう思ったのを良く覚えている。
「ぼよよん行進曲」
この曲が流れてくるのを
心待ちにしていた。
ダンスも覚え、
子供と一緒に踊って歌った。
TVで聴くだけじゃもの足りなくて
CDまで購入。
ゆうぞうお兄さんと
しょうこお姉さんが
歌うこの曲が大好きだった。
でも子供の成長と共に
おかあさんといっしょも
ぼよよん行進曲も
卒業。
思い出す事もなくなった。
昨年の年末に
ゆうぞうお兄さんが
亡くなったニュースが流れた。
一瞬、目の前が真っ暗になった。
もう何年も忘れていた
ぼよよん行進曲を急に思い出した。
聴きたい！！
CDはもう家になく
動画を探したけど
ゆうぞうお兄さんしょうこお姉さんの
歌声の音源はなかった。
しょうがなく
自分の脳内で曲を再生。
ちゃんと
ゆうぞうお兄さんとしょうこお姉さんの声が聞こえてくる。
そうだよ、
だって
何百回も聴いたもん。
その歌声を忘れる訳がない。
元気が出る明るい曲なのに
歌うとなぜか
あの頃の辛かった育児や
ニコニコしてたゆうぞうお兄さんを
思い出して胸が苦しくなる。
明るく歌えるようになるには
もう少し時間がかかるかな。
