チャイナ系統とは?
中国には“ロサ・キネンシス”(四川省)と“ロサ・ギガンティア”(雲南省)という2種類の優れた性質をもつ原種がありこれらを元に古くから栽培された。このバラがヨーロッパに渡り、19世紀初頭に作出された中国原産の原種バラの影響を強く受けた品種群をチャイナ系統(Ch)と呼びます。バラの進化の大きく影響・貢献した2つの系統には4種類のバラがあります。其々をみてみよう。※2つの系統の4種を「フォー・スタッド・ローズ・オブ・チャイナ」と呼び、18世紀末から19世紀初頭にヨーロッパに渡り画期的な貢献をした。
■ロサ・キネンシスに由来するバラ2種類とは
［1］スレイターズ・クリムソン・チャイナ(ロサ・キネンシス・センパフローレンス)
［2］パーソンズ・ピンクチャイナ(ロサ・キネンシス・オールドブラッシュ)
この[1][2]を親とするバラの系統を「チャイナ系統」とよぶ。(チャイナ・ローズ)
このグループの最大の特徴は、四季咲き性と木立性(ブッシュ)樹形がもたらされた。
ヨーロッパでは、唯一オータム・ダマスクが返り咲きする状態だったが、四季咲き性が非常に歓迎され、中国のバラを親として様々な四季咲き性バラが生み出された。
◉ロサ・キネンシス・センパフローレンス 系統:チャイナ系統(Ch) 1789年以前
浜寺公園バラ園
◉パーソンズ・ピンクチャイナ 系統:チャイナ系統(Ch). 1793年以前
浜寺公園バラ園
■ロサ・ギガンティアに由来するバラ2種類は
［1］ヒュームズブラッシュ・ティー・センティッド・チャイナ( ブッシュ樹形)
［2］パークスイエロー・ティー・センティッド・チャイナ(つる性)
この[1][2]を親とするバラの系統を「ティー」系統と呼んでいる。
このグループの最大の特徴は、剣弁とティーの香の祖と呼ばれています。又、チャイナ系統より大型の花を四季咲きする。これまでヨーロッパでは黄色を帯びたものがなかったが、このバラにより花の色味も豊かになった。
上記が「フォー・スタッド・ローズ・オブ・チャイナ」と、ヨーロッパのバラの進歩に貢献した4種を呼ぶ。
◉ヒュームズブラッシュ・ティー・センテッドチャイナ 系統: チャイナ(Ch)
※1808年以前 ティーローズの先祖 ※ロサ・ギネンシスとギガンティアの自然交雑
◉パークスイエロー・ティー・センティッド・チャイナ 系統:つるティー(ClT)
※つる性の一季咲きは4種類の中でこの種だけだつた。淡黄色の色素が持ち込まれた
以上4種でした。
◉系統:チャイナ(Ch) ※ムタビリス 1894年以前から
◉系統: ハイブリッド・チャイナ(HCh) ※ヘルムーサ 1834年以前から
浜寺公園バラ園
■ハイブリッド・チャイナ系統とは? 重要な橋渡しの役割
◉チャイナ系統の特徴を他の系統を巻き込み次々交配が進む。
ノワゼット系統、ブルボン系統のバラに、一季咲きのガリカ系統やダマスク系統のバラを交配したのが、ハイブリッド・チャイナ系統です。
ハイブリッド・チャイナ系統はポートランド系統のバラと交配され“ハイブリッド・パーペチュアル系統“(HP)(最後のオールローズ)を生みます。
◉アメリカでは、ロサ・モスカータとパーソンズ・ピンクチャイナを交配させノワゼットが生まれます。さらに、ブルボン系統やノワゼット系統にロサギガンティア系統を交配させることでティー系統が誕生する。
◆そして、遂に、“ハイブリッド・パーペチュアル系統とティー系統を交配することで、完全四季咲きで大輪1輪咲きのモダン・ローズを代表する”ハイブリッド・ティー“が完成する。この第１号が1867年「ラ・フランス」です。これを境に以降はモダンローズの世界となる。
以上、チャイナ系統がヨーロッパのバラの育種にどれだけの画期的な効果をもたらし、現代バラの進歩に貢献したかがよくわかる。
◉チャイナローズは、ロサ・キネンシスを起源とした一群の品種です。ロサ・キネンシスは完全な四季咲き性を持ち、その性質ゆえにヨーロッパで様々な交配が試みられ、モダンローズの誕生に多大の貢献をしています。現在では当たり前の四季咲きという性質ですが、その起源の1つにはチャイナローズにあるといわれています。
花色は淡いピンクから濃い赤まで様々で、香りの強弱には幅があります。殆どが木立性のブッシュ樹形ですが、品種は少ないですがつる的に枝が伸びる品種もあるようです。
