バラには様々な分類方法がありますが、
「原種」「オールドローズ」「モダンローズ」との分け方をする事が多い。
何となく知っている部分もあるが、
区分する上での定義と言うか便宜上の定義を整理してみた。
◉原種バラは、野生のまま、人の手が加えられていないバラ
☞自然に自生している原種バラです。その中には、自然交雑で生まれたものや、人が原種の種から栽培したものから特別に変わった特徴を持つ個体を選別して品種を定めたものまで、意外と様々なルーツをもつ原種があります。
▶︎基本種
原種の中でも亜種、変種、枝変わりなどの様々な原種がある場合、基本になった原種を基本種という。
◉Rosa gallica ロサ・ガリカ Sp
長居植物園バラ園
◉Rosa canina. ロサ・カニナ Sp
長居植物園バラ園
▶︎自然交雑種
原種のバラ同士が自然に交雑してできた自然交雑種も原種に含まれます。
例えば、ロサ・ダマスケナ(Rosa✖️damascene)は、ロサ・ガリカとロサ・モスカータの自然交雑種と考えられています。ロサ・ダマスケナは多くの園芸品種の重要な親となっている原種です。
◉Rosa damascene. ロサ・ダマスケナ
◉長居植物園バラ園
◉Rosa damascena ‘Bifera’. ロサ・ダマスケナ・ビフェラ
※ダマスク・ローズで唯一返り咲き性を持つ品種です。「オータムダマスク」とも
◉長居公園植物園
◉Rosa multiflora cataensis ロサ・ムルティフロラ・カタエンシス
※チャイナローズとノイバラの自然交雑種
◉浜寺公園バラ園
▶︎亜種・変種・品種・枝変わり
基本種と少しだけ違いのある亜種(学名表記でsap又はsubsp)、変種(学名表記でvar)、品種(学名表記でf)も原種に含められます。原種の枝の一部だけが変化した枝変わりも原種に含まれます。
例えば、モッコウバラ(Rosa banksias)の基本種は白の一重咲です。
・モッコウバラの白色の八重咲き品種はロサ・バンクシアエ・バンクシアエ(Rosa banksiae var.banksias) です。var.が入っているので、これは基本種の変種です。
・モッコウバラの黄色の八重咲き品種(キモッコウバラ)は、ロサ・バンクシアエ・ルテア(Rose banksiae ‘Lutea) です。Lutea は、ラテン語で黄色の意味です。
・黄色の一重咲きロサ・バンクシアエ・ルテスケンス(Rosa banksiae ‘Lutescens’)
は、ロサ・バンクシアエ・ルテアの枝変わり品種です。
▶︎選抜個体
実生の優秀花や原種の優良花の中から、鼻の色・形・大きさなど選りずぐられた個体(セレクト個体)により作出された品種
原種は上記の様に自然に自生だけでなく、自然交雑種や亜種、変種、枝変わり、選抜個体と、原種間の交配も含まれる。
◉オールローズは、ヨーロッパで古くから栽培されてきた園芸品種
☞1867年以前の系統のバラがオールドローズです。オールドローズの特徴は、花弁の枚数が多く、香りがよく、樹形はシュラブ(半つる性)で一季咲きです。「オールドローズ」と「モダンローズ」という分け方は便宜的なもので20世紀に作出されたオールドローズも存在している。
☞オールドローズの系統は、ヨーロッパ原産の原種バラをもとに品種改良され、ヨーロッパで古くから親しまれた品種の系統(前期オールドローズ)と18世紀から19世紀にかけてヨーロッパにもたされた中国のバラの影響を受けたバラの系統(後期オールドローズ)に分けられる。
☞オールドローズで「ラ・フランス」が作出されたバラがオールドローズと思われがちですが、1867年以前に作られたばらではなく、正しくは、「1867年以前に作られたバラの系統」をオールドローズと呼びます。なので20世紀に作出されたバラにもオールドローズがあります。
◉モダンローズは、1867年以降(ラ・フランス)以降に作られた系統の園芸品種
◉ La France
フランスのギョーにより1867年に発表された「ラ・フランス」は、完全四季咲き性をもつ大輪のバラでした。この記念すべき「ラ・フランス」が登場した1867年以降に作り出された系統のバラを「モダンローズ」(現代バラ)と呼び、それまでの系統のバラを「オールドローズ」と呼び区別しています。