シゲマツです。
環境大臣の不勉強の話も気になるのですが、イメージだけが先行しているように思える
【穴あきダム】のことを少し書きます。私も、つい最近まで穴あきダムの内容がよく分
かっていませんでした。どこかの偉い人がまた、不確かな情報で発言しないために、僭
越ながら少々解説です。
地元では、ダム推進と反対との論争に嫌気がさした市民が『ダムも半分つくれば?』な
どと冗談で言うこともありました。また、矢上村長も“中庸をとる”という趣旨で、≪
穴あきダム≫を随分前ですが口にしたことがあったように記憶しています。そのように
【穴あきダム】という言葉は、弱くしたダム(影響も構造も半分?)かのようなイメー
ジがあります。
しかし実際の穴あきダムとは、ダム壁の河床近くに、穴が開いているもの。インスタン
ト焼きそばの“湯きり口”が、ダム壁下部にある構造の立派なダムです。その小さな穴
よりも水位があがると、穴から水は流れ続けるものの水も溜まるという構造だそうです
。『人為的なゲート操作を行わない』ということが特徴的ではあるようですが、しかし
、見た目は普通のダムらしいダムに変りはありません。
考えてみたら、川辺川ダムを穴あきで造るとしても、国交省の河川整備基本方針によれ
ば84000千㎥の水を貯める能力が必要なので、それを支えるだけの巨大なコンク
リートの壁を持つ必要があります。水が貯まった時の水圧に負けないようにするには、
巨大な基礎部分も必要ですし、開ける穴は小さくないといけませんし、通常のダムと同
じだけの高さもあるのです。鮎が登れないどころか、もちろんカヌーもできませんし、
土砂もゴミも溜まります。ダム湖になる部分はもちろん立ち入りできないし冠水する部
分の木は枯れます。スリット型の砂防ダムや鉄格子のイメージ、はたまたサンダーバー
ドの基地のように巨大な穴や扉が開閉するイメージとは、全く違うのです。(みなさん
どんな穴あきダムを想像してました?)
また、洪水調節として穴あきダムを考えるには致命的な問題もあるようです。人為的に
調節しないことが特徴ですから、国交省さんお得意の市房ダムと統合した≪流量調節≫
ができないのです。下流で水があふれている時でも、湯きり口からの水は止まりません
。また、通常大雨をダムに貯めた際にはすぐ次の雨に備えるためにゲートを開け、なる
べく早くダム湖の水位を下げる必要がありますが、穴あきダムにはゲートがないため、
積極的な放流ができません。今回の河川整備基本方針で7000t/sの根拠にされたような
、二つの降雨ピークを持つような場合には、役に立たないのです。
***
イメージの説明をこんこんとしてしまいましたが…。
力学的というか、構造的な問題として、アーチ型ダムでは穴あきは無理なのです。アー
チ型にすることで水圧を分散させ、やっとのこさ壁を支えてるんですもの。もし穴あき
を計画するなら、洪水調節容量自体を減らして小さなダムにする必要がありますが、そ
うなるとせっかく辻褄を合わせた河川整備基本方針がぶっ飛んでしまいます。
ということで…。
マスコミの皆さん、穴あきダムだなんてイメージいっぱいの言葉を流行らせるのは止め
ましょう。
☆ シゲマツタカコ ☆
takataka-shige@nifty.com
環境大臣の不勉強の話も気になるのですが、イメージだけが先行しているように思える
【穴あきダム】のことを少し書きます。私も、つい最近まで穴あきダムの内容がよく分
かっていませんでした。どこかの偉い人がまた、不確かな情報で発言しないために、僭
越ながら少々解説です。
地元では、ダム推進と反対との論争に嫌気がさした市民が『ダムも半分つくれば?』な
どと冗談で言うこともありました。また、矢上村長も“中庸をとる”という趣旨で、≪
穴あきダム≫を随分前ですが口にしたことがあったように記憶しています。そのように
【穴あきダム】という言葉は、弱くしたダム(影響も構造も半分?)かのようなイメー
ジがあります。
しかし実際の穴あきダムとは、ダム壁の河床近くに、穴が開いているもの。インスタン
ト焼きそばの“湯きり口”が、ダム壁下部にある構造の立派なダムです。その小さな穴
よりも水位があがると、穴から水は流れ続けるものの水も溜まるという構造だそうです
。『人為的なゲート操作を行わない』ということが特徴的ではあるようですが、しかし
、見た目は普通のダムらしいダムに変りはありません。
考えてみたら、川辺川ダムを穴あきで造るとしても、国交省の河川整備基本方針によれ
ば84000千㎥の水を貯める能力が必要なので、それを支えるだけの巨大なコンク
リートの壁を持つ必要があります。水が貯まった時の水圧に負けないようにするには、
巨大な基礎部分も必要ですし、開ける穴は小さくないといけませんし、通常のダムと同
じだけの高さもあるのです。鮎が登れないどころか、もちろんカヌーもできませんし、
土砂もゴミも溜まります。ダム湖になる部分はもちろん立ち入りできないし冠水する部
分の木は枯れます。スリット型の砂防ダムや鉄格子のイメージ、はたまたサンダーバー
ドの基地のように巨大な穴や扉が開閉するイメージとは、全く違うのです。(みなさん
どんな穴あきダムを想像してました?)
また、洪水調節として穴あきダムを考えるには致命的な問題もあるようです。人為的に
調節しないことが特徴ですから、国交省さんお得意の市房ダムと統合した≪流量調節≫
ができないのです。下流で水があふれている時でも、湯きり口からの水は止まりません
。また、通常大雨をダムに貯めた際にはすぐ次の雨に備えるためにゲートを開け、なる
べく早くダム湖の水位を下げる必要がありますが、穴あきダムにはゲートがないため、
積極的な放流ができません。今回の河川整備基本方針で7000t/sの根拠にされたような
、二つの降雨ピークを持つような場合には、役に立たないのです。
***
イメージの説明をこんこんとしてしまいましたが…。
力学的というか、構造的な問題として、アーチ型ダムでは穴あきは無理なのです。アー
チ型にすることで水圧を分散させ、やっとのこさ壁を支えてるんですもの。もし穴あき
を計画するなら、洪水調節容量自体を減らして小さなダムにする必要がありますが、そ
うなるとせっかく辻褄を合わせた河川整備基本方針がぶっ飛んでしまいます。
ということで…。
マスコミの皆さん、穴あきダムだなんてイメージいっぱいの言葉を流行らせるのは止め
ましょう。
☆ シゲマツタカコ ☆
takataka-shige@nifty.com