彼はアタシとは違うのだ。
アタシは彼じゃなきゃダメ
だけど、彼は
アタシでなくてもよい。
アタシは独りぼっちで
誰かに愛されたいと
大切にされたいと
いつも願っていて。
それが彼ならいいと
思っている。
けれど、
彼は独りぼっちではないし
欲するものが
手に入ればそれでよくて。
そのために
アタシにニセモノの
愛と勘違いできるものを
適度に与えて
望むモノを手にする。
面倒なことは
無かったことにして
話題をすり替え
その度にアタシは
嫌な思いはしないけど
哀しい惨めさを痛感し
彼に詫びる。
勘違いを認め
自分は彼が必要だが
彼はアタシでなくてもよいことを
改めて自覚し、
身分を弁えることを
頭に叩き込む。
いつか彼がアタシでなくては
だめなんだと思い、告げてくれることを夢見ながら。
ありえないけれど。
いるのだろうか
いつか出逢えるのだろうか
アタシでなくてはダメだ
そういってくれる誰かに。