第1期のラインハルトは、まだ人間味があった。
年相応の苛立ちや焦りを他人にぶつける事があったし、キルヒアイスやアンネローゼの愛に対して、全力で甘え、守ろうとする優しさがある。
そして、キルヒアイスとの不和からの嫉妬。
なにより、姉を取られるかもしれないというシスコン的嫉妬をもち。
キルヒアイスにわかってもらえないもどかしさ。
そしてその感情を孤立してどこにぶつければいいのか迷うような様子が、まさに当時の読者が感情移入できるキャラクターだったんだ。
新人類とか呼ばれて大人にわかってもらえない若者の典型だったからね。
しかし、キルヒアイスとの別れで、彼の意識がいち段階上がる。
悟るというか、半分自棄のように『克己的』独裁者に変貌する。
『克己的』独裁者って、現実に史上一人もいなかった。
神にも等しいキャラクターになったんだ。
人間に戻るのも、ヒルダへの告白の一瞬だけだし……
確かに主人公であり、感情移入した人物だけど……
あまりにもショッキングなショックで『飛んだ』
あとは、その乖離したキャラクターを読者の『青年ラインハルト』が見下ろすっていう展開になるんだ。
で、その状態が長かったんで、登場人物たちが『キルヒアイスが生きていれば』という作者の言葉を代弁してる」
「守護霊感覚で読んでるのかぁ……なるほど、帝国サイドの話を読んでるときの劇場感覚って、現実感が無いからなのか」
「逆に同盟側は、俗物的だろ?それこそ、現代社会をオマージュしてるから、その社会に対する毒舌や意見はすごく参考になるんだ」
「そうだね。神の子イエス・キリストで例えたけど、まさに未来永劫出ることがない独裁者だからね」
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