期末試験が終わって間もない頃の事。
雄二君の家でお姉さんとのおしゃべりで、何気なく出た一言が事の始まりだった。
「かなちゃんって、普段学校とかだと何て呼ばれてるの?」
女子のおしゃべりは急に話題が飛ぶことがあるけれど、これも中々に唐突な飛び方だ。
「いやぁ、ちょっと気になっただけなんだけどね。私はさぁ、その場のノリでかなちゃんって呼んでるけど」
家だと香奈穂だし、学校の友達とかだとかなとかかなっちとかかな?
「じゃぁ、ユウからは?」
・・・
・・・・・・
ん?
呼ばれた記憶が無い?
いやいや、そんなはずは・・・
「・・・無いかもです」
短い沈黙と残念な返答にお姉さんはトーンダウンしながら「えー」と言って、一旦部屋から出て行った。
台所からお姉さんの声が聞こえて、戻ってきた時には雄二君が一緒だった。
「ユウ、ちょっとここに座りなさいな」
「俺、夕飯の準備が」
「そんな時間かかんないから」
「それより、たまには姉さんも作ろうよ。料理出来るんだから」
「シャラップ」
雄二君は何が何だか訳が分からないと言った顔をして、説明を求めるような目で私を見た。
「他人からどんな風に呼ばれてるのかって話をしてたんだけど・・・」
「ユウ!かなちゃんのこと、何て呼んでるの」
雄二は自分が何か失礼な呼び方でもしていたのかと、ここ数日の記憶を思い返して一つの結論に到る。
「うわっ!あんた、やっぱりかなちゃんのこと名前で呼んだこと無いんでしょ」
「いや、そんなことは無い・・・はず」
「だったら覚えてるでしょ!あんたって子は・・・今ここで呼び方を決めるわよ」
すごい大事になってきた。
雄二君も展開の早さについていけてなくて、言われるがままになってる。
「もちろん苗字でなんて論外よ。」
(・・・論外なんだ)
「さん付けもなんかよそよそしいわね」
(・・・確かに)
「ちゃん付け?うーん・・・かなぴょんとかも捨て難いわね」
(それは私が耐えられないです!)
「かなちゃんからリクエストとかは?」
急にこっちに振られたのでびっくりした。
私としては雄二君が呼びやすかったら、それで良いのだけれど・・・
「まぁいいわ。次からはちゃんと名前を呼ぶこと!返事は?」
お姉さんの気迫に押され、雄二君は首を縦に振るしかなかった。
「OK、なら行って良し!」
この短時間でかなり疲れた様子の雄二君は、のそっと立ち上がって台所に戻って行った。
「お姉さん、少し強引じゃないです?」
「良いのよ。名前も呼ばないなんて、あの子はあのぐらいは言っておかないとね!せっかく家に来てくれてるっていうのに」
私は好きで来ているから、そこの所は余り気にしなくても・・・
でも、雄二君がなんて呼んでくれるのかは楽しみだな!
雄二君の家でお姉さんとのおしゃべりで、何気なく出た一言が事の始まりだった。
「かなちゃんって、普段学校とかだと何て呼ばれてるの?」
女子のおしゃべりは急に話題が飛ぶことがあるけれど、これも中々に唐突な飛び方だ。
「いやぁ、ちょっと気になっただけなんだけどね。私はさぁ、その場のノリでかなちゃんって呼んでるけど」
家だと香奈穂だし、学校の友達とかだとかなとかかなっちとかかな?
「じゃぁ、ユウからは?」
・・・
・・・・・・
ん?
呼ばれた記憶が無い?
いやいや、そんなはずは・・・
「・・・無いかもです」
短い沈黙と残念な返答にお姉さんはトーンダウンしながら「えー」と言って、一旦部屋から出て行った。
台所からお姉さんの声が聞こえて、戻ってきた時には雄二君が一緒だった。
「ユウ、ちょっとここに座りなさいな」
「俺、夕飯の準備が」
「そんな時間かかんないから」
「それより、たまには姉さんも作ろうよ。料理出来るんだから」
「シャラップ」
雄二君は何が何だか訳が分からないと言った顔をして、説明を求めるような目で私を見た。
「他人からどんな風に呼ばれてるのかって話をしてたんだけど・・・」
「ユウ!かなちゃんのこと、何て呼んでるの」
雄二は自分が何か失礼な呼び方でもしていたのかと、ここ数日の記憶を思い返して一つの結論に到る。
「うわっ!あんた、やっぱりかなちゃんのこと名前で呼んだこと無いんでしょ」
「いや、そんなことは無い・・・はず」
「だったら覚えてるでしょ!あんたって子は・・・今ここで呼び方を決めるわよ」
すごい大事になってきた。
雄二君も展開の早さについていけてなくて、言われるがままになってる。
「もちろん苗字でなんて論外よ。」
(・・・論外なんだ)
「さん付けもなんかよそよそしいわね」
(・・・確かに)
「ちゃん付け?うーん・・・かなぴょんとかも捨て難いわね」
(それは私が耐えられないです!)
「かなちゃんからリクエストとかは?」
急にこっちに振られたのでびっくりした。
私としては雄二君が呼びやすかったら、それで良いのだけれど・・・
「まぁいいわ。次からはちゃんと名前を呼ぶこと!返事は?」
お姉さんの気迫に押され、雄二君は首を縦に振るしかなかった。
「OK、なら行って良し!」
この短時間でかなり疲れた様子の雄二君は、のそっと立ち上がって台所に戻って行った。
「お姉さん、少し強引じゃないです?」
「良いのよ。名前も呼ばないなんて、あの子はあのぐらいは言っておかないとね!せっかく家に来てくれてるっていうのに」
私は好きで来ているから、そこの所は余り気にしなくても・・・
でも、雄二君がなんて呼んでくれるのかは楽しみだな!