一般には床ずれとも呼ばれる「褥瘡」は、長時間同じ姿勢を保ち続けることによって生じる皮膚やその下の組織の損傷である。特に介護が必要な高齢者や長期間ベッドにとどまる人々にとって、褥瘡の予防とケアは重大な課題となる。褥瘡予防とケアの基本知識について、ためになりそうな情報をお伝えしよう。
褥瘡の予防には、まず定期的な体位変換が非常に重要である。長時間同じ部位に圧力がかかり続けることが褥瘡の主な原因であるため、2〜3時間おきに患者の体位を変えることが推奨される。しかし、単に体位を変えるだけではなく、皮膚への圧力を均等に分散させる工夫も必要である。例えば、特殊なクッションやマットレスを使用することが効果的である。
それから栄養管理も褥瘡予防には欠かせない。タンパク質やビタミンCなど、皮膚の健康を支える栄養素を十分に摂取することが、褥瘡の予防につながる。このため、バランスの良い食事が重要となる。
ほかには、皮膚の清潔さを保つことも予防には大切である。汚れや湿度は褥瘡の発生リスクを高めるので、定期的に皮膚を清潔にし、適切なスキンケアを行うことが推奨される。
もし褥瘡が発生してしまった場合、早期発見と早期治療が鍵となる。褥瘡の初期段階では、赤みや熱感といった症状が現れる場合があるので、これらを見逃さず、早めに対応することで、症状の悪化を防ぐことができる。治療する際は、清潔な環境を保ちながら、適切な医療製品を用い、患部にかかる圧力を軽減するための工夫も必要である。
褥瘡予防とケアには、患者一人ひとりの状況を理解し、その人に合った方法を選択する柔軟性が求められる。褥瘡は、適切な予防とケアによって、その発生を大きく減らすことが可能なため、日々の注意とケアが、大きな差となるのである。褥瘡について理解を深めたい方は、「介護に必須の<褥瘡>基本知識」も併せて一読してみてほしい。