11月6日開催予定の大和市クラス別大会が参加者少数のため中止となったが、これが「クラス別大会」特有の事情から来るものなのか、あるいは全般的に共通した事情によるものか筆者独断で一考してみた。
1.ソフトテニス地域大会参加者減少に関する考察
参加者の減少は一般・成年部門とシニア部門では原因がおのずと異なる部分があるものの、共通した部分もあると考える。
スポーツ大会の一般論で言えば、参加者減少の理由は、競技人口の減少、参加費の負担、会場へのアクセス、広報活動の不足などなど、いくつかの理由が想定されるが、ソフトテニス地域大会に関してはこれらの一般論は必ずしもあてはまらないと思われる。また、大会が競技レベルを争うことを目的としているか(多くの場合はこれ)、親睦・レクリエーションを目的としているかによっても参加者数は左右される。
大会参加のモチベーションとして考えられる要素は3つに大別できる:
1) 競技レベルを争って勝利したい
2) 競技レベル向上のため、勝敗にこだわらず実力者と切磋琢磨したい
3) 愛好者との交流 (レクリエーション)
大会参加者減少の理由として考えられること:
1) 参加しても勝ち目がない
2) これ以上の実力向上は考えにくい
3) 加齢、体力低下
『参加費を払って出場しても、どうせ勝つ奴は決まっている。そいつらの商品代を払ってやっているみたいでちっともおもしろくない』、という人がいても不思議ではない。
後述するが、かような懸念は皆無であるとは言い切れないが、杞憂と考えてよさそうである。
大和市の場合、春季大会、選手権大会、秋季オープン大会、クラス別大会、冬季大会、インドア大会と年間6つの大会がある。これは大いに誇りとして継続していきたい。勝敗や競技レベルの向上を目的とした大会あるいは交流に主眼をおいた大会や親睦・レクリエーション的要素を加味した大会(冬季大会がそれに近い)など、目的の多様化も一つの手法であろう。しかしながら、競技会の本質からすればあくまでも切磋琢磨が基本に据えられるべきであろう。議論の分かれるところである。
2.大和市の大会参加者数に関する考察
筆者の手元にあるデータ数が少ないため、データ数を増やして検証する必要はあるものの、直近のデータから読み取れることは大きくは的を外れていないと考える。
まず、大会ごとの参加者数を検証してみたい。
インドア、春季、選手権:
最少31ペア(62人)、最多49ペア(98人)がエントリーしており、過去3年の実績が比較できる選手権大会においては参加ペア数が31→36→49と増加傾向にある。
秋季大会:
オープン大会としたことによって、他の市大会に比較して参加チーム数が多い。
最少37ペア(74人)、最多72ペア(144人)がエントリーしており、過去3年の実績は37→57→72と増加傾向にある。
クラス別大会:
2015年は16ペア(32人)、2016年は実数を承知していないが、少数の為中止。
冬季大会:
最少26ペア(52人)、最多28ペア(56人)とクラス別大会を除く他の大会に比べて少ない。
注目すべきは、クラス別大会と冬季大会を除く大会においては70名前後の参加者が安定的に確保されており、オープン大会ではない選手権大会においても直近で98名の参加者を確保している。ちなみにオープン大会においては直近で144名もの参加者を確保している。
クラス別大会はリーグ戦で年齢枠を設ける工夫がなされているものの、最終的には若者とシニアが対戦することとなり、双方がモチベーションを失っている可能性がある。
冬季大会は試合ごとのペアを変えてゆき、個々人のポイント数を競う「浮動式」を採用しており、他の大会と違ってレクリエーション的要素を織り込んだ工夫がなされている。それにもかかわらず、クラス別を除く他の大会に比べて参加者数が少ないのは、12月という季節要因も考えられるが、レクリエーション的要素に対する関心がそれほど高くないことを物語っている可能性もある。ただし、早計な判断を避けるべきなのは、12月の寒い天候の下、何も手を打たなければさらなる減少が想定される中、レクリエーション的要素を取り入れたことによって減少に歯止めがかかっている可能性があるということである。大会申込みは「ペア申込み」が前提となっているが、実験的にこれを撤廃して完全なシングル申込みとしてみてはいかがなものかと考える。
3.まとめ
大会参加のモチベーションが、(1)勝敗にこだわる、(2)技術向上を図る、(3)交流を楽しむ、(4)レクリエーションとして楽しむ、これらのどれであるかは個々人の価値観にゆだねることであり、主催者としては如何ともしがたい。すべてを満足することは不可能であるし、どれか一つを優先することも好ましくない。競技会の本質は勝敗を競うことにあって、この中にあって個々人が価値観を見出してくれることを期待するしかない。しかしながら、年6大会ある中で、一つくらいレクリエーション的要素を加味してもよいと考える。冬季大会の実験には大きな喝采を送りたい。
「個々人の価値観は異なる」と言っても、それは個々人が「どの価値観に重きを置いているか」の違いであって、(1)~(4)の全てを持ち合わせていることも間違いないと考える。「誘い合って参加者を増やして」という要請に各クラブが取り組んでいければ幸いである。
本記事は考察であって、提言ではないのでなおさら具体性を欠くこととなるのをご容赦いただきたいが、最後にもう一度触れておくなら、今回の大会中止はクラス別大会特有の理由によるものであり、大和市の大会全般については足元も前途も決して暗くはない。小さな工夫でより前途が開ける気がする。
昨日、庭友会会長から会員に向けて配信されたメールをあらためて掲載いたします。
『この大会も含め、参加者が参加したくなるような仕組みを庭友会として提案できればと思います。市協会最多登録数である庭友会の果たすべき役割を再認識する機会かと思います』