声上げる秋田の低周波被害者
風車に囲まれた住宅地、これ以上犠牲者増やすな!
抜粋引用:長周新聞2024年9月25日
秋田県では、陸上で280基以上の風力発電が稼働中、秋田港・能代港の港湾内で33基の洋上風力発電が商業運転を始めた。今後200基近くの洋上風車建設が取り沙汰されており、由利本荘・にかほ市沖は国の浮体式洋上風力の実証実験場になろうとしている。こうして住民たちが巨大風車に取り囲まれた生活を余儀なくされる中、風力発電の低周波音による健康被害を訴える人が増え、2022年、被害者の会である「風力だめーじサポートの会」が結成された。国は風力発電と健康被害の因果関係を認めず、事業者は利権のために風力発電建設を止めようとしないが、その下で住民たちはどのような状況に置かれ、なにを訴えているのか。
風車と人々の生活があまりにも近い!
山を見れば、尾根沿いに風車が林立している。にかほ高原のような観光地も、舗装した道路が風車の真下を通って展望台につながっており、おかげでキャンプ場は使えなくなった。海には海岸沿いに風車が10基、20基と建っている。道路を走っていても、街中で突然、巨大風車が出現することも少なくない。コメ作りの中心地・子吉平野に水を供給するため池の周辺にも、あちこちに風車が建っていた。これだけ風車に囲まれているのだから身体への影響が出ないはずがない。
事業者や市役所からは無視され続けている!
『事業者に風車の稼働を止めてもらうしかない。みんなが安心して生活できる環境をとり戻したい』
『市役所に訴えても、なにもなかったように無視され続けている。しかし、泣き寝入りなどしたくない』
低周波で動悸や胸部痛が続く~由利本庄市に住むS・Mさん(71才)
『2012年に私の家から1.9㎞のところに風力発電1基、そして2017年、南側の自宅から2.4㎞のところに7基の風車が建った。加えて北東方向2㎞のところに2基が稼働し始めた。2020年の2月、夜中に目が覚め、突然グウングウンという音が聞こえてきて、急にドキドキした感じになり、血管が破れるんじゃないかという感じがしばらく続いた。朝まで眠れなかった。』『その後も、ドキドキ感で夜中に目が覚め、風が強い日はグウングウンの音が聞こえ、2日間ほとんど寝られなかった。』
『由利本庄市長に手紙を書き、事業者に風車を夜間だけでも止めてくれるように言ってくれないかと訴えたがわかってもらえなかった。』
『寝ている時に症状が出ることが多かったが、ここ1、2年は日中でも胸痛があり苦しい。その時私の家から南西側を見ると風が強くて海岸の風車がぐるぐる回っていた。症状は年々悪くなっている!』
『4年あまり前から風車の低周波音によってあらわれた症状を日記につけているが、風が強く風車がフル回転している冬場に体調異常を起こす日が集中しており、ほとんど風車が回っていないか、もしくはゆっくり回っている夏場は体調異常がほとんどないことがはっきりした。』
『今年1月、データを持って、市役所生活環境課および3事業者との会合を持ち、「私の体調異常は明らかに風車の低周波が引き起こしているのだから、夜間だけでも風車を停止してもらいたい」と再度申し入れたが、その後一切音沙汰がない。』
『低周波の測定器を借りて枕元に置き、体調異常をきたしたときの音の大きさを測ってみた。2023年1月25日、西北西の風19.8mという強風が吹き、風車が1分間に18回転したとき、測定器は83.6デシベルと極めて高い値を示した。特に1~4ヘルツという低周波領域で高い数値を示している。実際にこうした低周波音が出ているのに、環境省は耳に聴こえないのだから身体に害を及ぼすことはないと主張している。』
低周波音問題の難しさは、聴こえない人もいること~同じくS.Sさん(71才)
『私の家から2.5㎞のところで、風力発電7基が2017年に稼働し始めて、うるさいと感じるようになった。』『初めは何の音かわかっていなかった。空調の室外機の音かなと思っていた。』
『2019年、自宅から2.5㎞のところに、由利本庄第1、第2、第3風力発電ができた。私の家でも仕事場の事務所でも、室内にいるときブゥーン、ブゥーンという音がうるさくてわずらわしい。』『南西の風のときはもろに自宅に風車の音が響いてくる。私は左耳が難聴でよく聴こえないが、風車の低周波音はよく聴こえる。』
『低周波音問題の難しさは、聴こえる人には聴こえるが、聴こえない人には聴こえない。だから黙殺される。』
病院に行ってもムダ、市役所からは「気の病?」~同じくK.Sさん(77才)
『私は風車のそばに行くと頭痛がする。自宅から1㎞離れたところに西目川があり、その河口ではジャスパーなど海のきれいな石があるので、よくとりに行く。ここに風車が2基稼働している。そこに行くと突然頭痛がするようになった。』
『娘もここに来ると、8月なのに花粉症のように鼻水をダラダラ流す。そして、風車から離れると二人とも症状がなくなる。病院に行こうと思ったが、同じ風車病の人から、行っても精神安定剤を出されるだけだから無駄と言われたのでやめた。』
『風力発電事業者のレノバが説明会を開催したとき、自分の症状を話した。また市役所の職員が保健師を連れてきたが、「気の病じゃないか」と言われた。』
風車が回ると鼻血が止まらない!~にかほ市に住むKさん(40代)
『私の家を取り囲むように3基の小型風車が60m、80m、120mのところで稼働している。3基が半円を描くように建っていて、その中心部にあるのが我が家だ。』
『我が家は6人で暮らしているが、小型風車はそんなに害はないのかなと思っていたら、7年前に稼働し始めてから、家族の女性3人は鼻血が出るようになった。めまいと頭痛は日常茶飯事で、特に雨風の強い日はグラグラする。』『祖父は耳が遠いが、「風車の音がうるさくて眠れない」と言っていた。』
『娘は3才のときから風車と付き合ってきた。事あるごとに気管支炎にかかるし、朝起きれば「鼻血が出た」と言う。最近ではひどい筋肉痛で歩くのがつらいと言う。』
『耳鼻科に診てもらうと、聴力が落ちていると言われ、ほとんど自宅で生活しているのに、「うるさいところで生活していますか?工場で働いている?」と聞かれた。』
『市役所を通じて事業者に電話してもらい、症状を伝えてもなしのつぶてだ。その事業者は「風車を建ててみなさんに喜ばれている」と宣伝していた。』『引っ越そうかとも考えたが、主人が「今の秋田の状況ではどこに引っ越しても、風車ができるよ。」と言った。』
『新しい被害者が出ないようにするのが私の役目だと思って、会の活動をやっている。』
そのほかにも.....
『身体がこわばり、けいれんする。市役所に行っても病院に行っても、“ 高齢による健康の不具合 ” というような対応。それで仕方ないと思ってしまい、みんな我慢する。とくに年寄りは...』(海岸の風車から1.5㎞のところに住む70代女性)
「風力だめーじサポートの会」が相談窓口に
最近、「風力だめーじサポートの会」の会員が近所の人から “ この頃風車の音がうるさくてなんとかならないか ” と相談を受けるようになったという。風車の苦情を受け付ける窓口があれば相談しやすいのかもしれない。被害者の会が立ち上がったことは大きいようだ。
「風力だめーじサポートの会」代表者はこう述べる。
『私たちが目指しているのは、風車で苦しんでいる市民の相談窓口になることだ。苦しんでいても原因がなにかわからない人がいるので、“その体調不良はもしかして風力発電の低周波音かもしれないよ” と知らせながら、いつでも相談にのる。声をあげられない被害者をつなぎ、これ以上新たな被害者が出ないようにするのが私たちの目的だ。』
【ブログ作成者から】
風車病が深刻になってきました。私たちの会は野鳥に与える影響を軽減するためにこれまで活動してきましたが、人にもやさしくなければならないのは当たり前です。被害の実態について声をあげなければならないほど深刻さが増してきたようです。市役所や病院からも誠意ある対応をされていない被害者の方たちのご苦労は如何ばかりかと、お見舞い申し上げます。
ここまで健康被害の事実がわかってきたからには、秋田だけではなく、全国的な風車病被害者の会を作って、あてにならない市町よりも県から国へと、被害の実態を伝え、訴えなければならないでしょう。被害者の会が孤立しないように、私たちも支援しましょう!
我が北九州市の若松沖洋上風力発電では、民家に一番近い距離の風車は1.8㎞だと、事業者から伝えられました。そのことを知った住民の一人は不安に思い、詳しいことを知りたいと、私に資料の提供を求めてきました。例え、10人に一人、100人に一人の被害者であったとしても、事業者と自治体は親身になって対応しなければなりません。風車病対策のために、設置数削減もいとわずに!
人の健康を害する自然エネルギーなど、あってはならないでしょう!