野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

またもやずさんなアセス

2024-10-27 22:35:53 | 日記

 Improper environmental assessment again!

勇払風力発電計画、ずさんな鳥類衝突予測

Hokkaido Yufutsu Wind Power Project Made improper Bird Collision Predictions.

またもや事業者のアセス軽視

Businesses disregard environmental assessments again.

国内有数の渡り鳥中継地の北海道厚真町・苫小牧市の勇払原野で大阪ガスの子会社が計画する風力発電事業に関し、環境アセス準備書に記載する風車への鳥類衝突確率の算出で、一部に別項目の調査で得た個体数を使っていたことがわかった。

        

2021~2023年に実施した定点観察の一部に別の数値を使い、衝突確率が年間「0.0000」など、極めて低くなっていた(表の黄色の部分)。日本野鳥の会は「ずさん!」とコメントした。

北海道の野鳥に詳しい専門家は、「渡り鳥調査ではない時期のデータで計算した衝突確率で、猛禽類調査のついでに取ったデータで渡り鳥のガン・カモ類の衝突確率を計算したことが問題になっている」と、コメントを寄せてくれました。

またもや、環境アセスを軽視した事例と言わざるを得ません。事業者は、いかに野鳥の衝突を少なく見せるかの姿勢が見え見えです。そもそも、野鳥の行動の実態を反映していない “予測衝突確率” は、事業者から都合のいいように使われているようです。北九州市の響灘に面した埋立地の風力発電では、アセスで示された予測衝突数以上の野鳥の死骸が発見されています。多くの野鳥たちが風車の羽根に叩き落されているのは間違いないです。事業者は積極的に死骸調査をせず、予防策も実施せず、野鳥の被害が闇に葬られているだけです。「国は実効性ある衝突防止策を早く義務付けしろ!」と言いたいです。

The government should make it mandatory for wind power producers to implement effective bird collision prevention measures!

勇払原野

元々勇払平野は支笏古火山、樽前山等の噴火による軽石を含む火山灰地である。さらに西側は樽前川、東側は勇払川、美々川などの複数の河川を含む湿原・湿地であった。現在、まだ自然が残っている東側を勇払原野と呼んでいるが、特に原野として当初から保護されていたわけではなく、石油危機によって開発計画が中止されて取り残された約3万6千haが勇払原野と呼ばれている。実際に、東部の植苗地区や沼ノ端地区は、かつては広葉樹からなる原生林が多く残っていたものの現在は宅地化が進んでいる。このほか、苫小牧東部開発地区に含まれていた弁天沼はウトナイ湖よりは規模が小さいとはいえ渡り鳥の中継地であるが、開発地区に含まれていたために鳥獣保護区などの指定はされていない。バードサンクチュアリ及びラムサール条約に登録されているウトナイ湖が存在し、多くの野鳥が観察されるほか、国内においてハスカップの最大の群生地である。  (引用:ウィキペディアより)

 

                   

We want wind power to be wild birds friendly.

Association to protect wild birds from wind power

 

 

 

 


人にもやさしい風力発電は当たり前!

2024-10-23 20:22:55 | 日記

声上げる秋田の低周波被害者

風車に囲まれた住宅地、これ以上犠牲者増やすな!

抜粋引用:長周新聞2024年9月25日

 秋田県では、陸上で280基以上の風力発電が稼働中、秋田港・能代港の港湾内で33基の洋上風力発電が商業運転を始めた。今後200基近くの洋上風車建設が取り沙汰されており、由利本荘・にかほ市沖は国の浮体式洋上風力の実証実験場になろうとしている。こうして住民たちが巨大風車に取り囲まれた生活を余儀なくされる中、風力発電の低周波音による健康被害を訴える人が増え、2022年、被害者の会である「風力だめーじサポートの会」が結成された。国は風力発電と健康被害の因果関係を認めず、事業者は利権のために風力発電建設を止めようとしないが、その下で住民たちはどのような状況に置かれ、なにを訴えているのか。

風車と人々の生活があまりにも近い!

 山を見れば、尾根沿いに風車が林立している。にかほ高原のような観光地も、舗装した道路が風車の真下を通って展望台につながっており、おかげでキャンプ場は使えなくなった。海には海岸沿いに風車が10基、20基と建っている。道路を走っていても、街中で突然、巨大風車が出現することも少なくない。コメ作りの中心地・子吉平野に水を供給するため池の周辺にも、あちこちに風車が建っていた。これだけ風車に囲まれているのだから身体への影響が出ないはずがない。

事業者や市役所からは無視され続けている!

事業者に風車の稼働を止めてもらうしかない。みんなが安心して生活できる環境をとり戻したい

市役所に訴えても、なにもなかったように無視され続けている。しかし、泣き寝入りなどしたくない

低周波で動悸や胸部痛が続く~由利本庄市に住むS・Mさん(71才)

2012年に私の家から1.9㎞のところに風力発電1基、そして2017年、南側の自宅から2.4㎞のところに7基の風車が建った。加えて北東方向2㎞のところに2基が稼働し始めた。2020年の2月、夜中に目が覚め、突然グウングウンという音が聞こえてきて、急にドキドキした感じになり、血管が破れるんじゃないかという感じがしばらく続いた。朝まで眠れなかった。』『その後も、ドキドキ感で夜中に目が覚め、風が強い日はグウングウンの音が聞こえ、2日間ほとんど寝られなかった。

由利本庄市長に手紙を書き、事業者に風車を夜間だけでも止めてくれるように言ってくれないかと訴えたがわかってもらえなかった。

寝ている時に症状が出ることが多かったが、ここ1、2年は日中でも胸痛があり苦しい。その時私の家から南西側を見ると風が強くて海岸の風車がぐるぐる回っていた。症状は年々悪くなっている!

4年あまり前から風車の低周波音によってあらわれた症状を日記につけているが、風が強く風車がフル回転している冬場に体調異常を起こす日が集中しており、ほとんど風車が回っていないか、もしくはゆっくり回っている夏場は体調異常がほとんどないことがはっきりした。

今年1月、データを持って、市役所生活環境課および3事業者との会合を持ち、「私の体調異常は明らかに風車の低周波が引き起こしているのだから、夜間だけでも風車を停止してもらいたい」と再度申し入れたが、その後一切音沙汰がない。

低周波の測定器を借りて枕元に置き、体調異常をきたしたときの音の大きさを測ってみた。2023年1月25日、西北西の風19.8mという強風が吹き、風車が1分間に18回転したとき、測定器は83.6デシベルと極めて高い値を示した。特に1~4ヘルツという低周波領域で高い数値を示している。実際にこうした低周波音が出ているのに、環境省は耳に聴こえないのだから身体に害を及ぼすことはないと主張している。

低周波音問題の難しさは、聴こえない人もいること~同じくS.Sさん(71才)

私の家から2.5㎞のところで、風力発電7基が2017年に稼働し始めて、うるさいと感じるようになった。』『初めは何の音かわかっていなかった。空調の室外機の音かなと思っていた。

2019年、自宅から2.5㎞のところに、由利本庄第1、第2、第3風力発電ができた。私の家でも仕事場の事務所でも、室内にいるときブゥーン、ブゥーンという音がうるさくてわずらわしい。』『南西の風のときはもろに自宅に風車の音が響いてくる。私は左耳が難聴でよく聴こえないが、風車の低周波音はよく聴こえる。

低周波音問題の難しさは、聴こえる人には聴こえるが、聴こえない人には聴こえない。だから黙殺される。

病院に行ってもムダ、市役所からは「気の病?」~同じくK.Sさん(77才)

私は風車のそばに行くと頭痛がする。自宅から1㎞離れたところに西目川があり、その河口ではジャスパーなど海のきれいな石があるので、よくとりに行く。ここに風車が2基稼働している。そこに行くと突然頭痛がするようになった。

娘もここに来ると、8月なのに花粉症のように鼻水をダラダラ流す。そして、風車から離れると二人とも症状がなくなる。病院に行こうと思ったが、同じ風車病の人から、行っても精神安定剤を出されるだけだから無駄と言われたのでやめた。

風力発電事業者のレノバが説明会を開催したとき、自分の症状を話した。また市役所の職員が保健師を連れてきたが、「気の病じゃないか」と言われた。

風車が回ると鼻血が止まらない!~にかほ市に住むKさん(40代)

私の家を取り囲むように3基の小型風車が60m、80m、120mのところで稼働している。3基が半円を描くように建っていて、その中心部にあるのが我が家だ。

我が家は6人で暮らしているが、小型風車はそんなに害はないのかなと思っていたら、7年前に稼働し始めてから、家族の女性3人は鼻血が出るようになった。めまいと頭痛は日常茶飯事で、特に雨風の強い日はグラグラする。』『祖父は耳が遠いが、「風車の音がうるさくて眠れない」と言っていた。

娘は3才のときから風車と付き合ってきた。事あるごとに気管支炎にかかるし、朝起きれば「鼻血が出た」と言う。最近ではひどい筋肉痛で歩くのがつらいと言う。

耳鼻科に診てもらうと、聴力が落ちていると言われ、ほとんど自宅で生活しているのに、「うるさいところで生活していますか?工場で働いている?」と聞かれた。

市役所を通じて事業者に電話してもらい、症状を伝えてもなしのつぶてだ。その事業者は「風車を建ててみなさんに喜ばれている」と宣伝していた。』『引っ越そうかとも考えたが、主人が「今の秋田の状況ではどこに引っ越しても、風車ができるよ。」と言った。

新しい被害者が出ないようにするのが私の役目だと思って、会の活動をやっている。

そのほかにも.....

身体がこわばり、けいれんする。市役所に行っても病院に行っても、“ 高齢による健康の不具合 ” というような対応。それで仕方ないと思ってしまい、みんな我慢する。とくに年寄りは...(海岸の風車から1.5㎞のところに住む70代女性)

「風力だめーじサポートの会」が相談窓口に

最近、「風力だめーじサポートの会」の会員が近所の人から “ この頃風車の音がうるさくてなんとかならないか ” と相談を受けるようになったという。風車の苦情を受け付ける窓口があれば相談しやすいのかもしれない。被害者の会が立ち上がったことは大きいようだ。

「風力だめーじサポートの会」代表者はこう述べる。

私たちが目指しているのは、風車で苦しんでいる市民の相談窓口になることだ。苦しんでいても原因がなにかわからない人がいるので、“その体調不良はもしかして風力発電の低周波音かもしれないよ” と知らせながら、いつでも相談にのる。声をあげられない被害者をつなぎ、これ以上新たな被害者が出ないようにするのが私たちの目的だ。

【ブログ作成者から】

風車病が深刻になってきました。私たちの会は野鳥に与える影響を軽減するためにこれまで活動してきましたが、人にもやさしくなければならないのは当たり前です。被害の実態について声をあげなければならないほど深刻さが増してきたようです。市役所や病院からも誠意ある対応をされていない被害者の方たちのご苦労は如何ばかりかと、お見舞い申し上げます。

 ここまで健康被害の事実がわかってきたからには、秋田だけではなく、全国的な風車病被害者の会を作って、あてにならない市町よりも県から国へと、被害の実態を伝え、訴えなければならないでしょう。被害者の会が孤立しないように、私たちも支援しましょう!

 我が北九州市の若松沖洋上風力発電では、民家に一番近い距離の風車は1.8㎞だと、事業者から伝えられました。そのことを知った住民の一人は不安に思い、詳しいことを知りたいと、私に資料の提供を求めてきました。例え、10人に一人、100人に一人の被害者であったとしても、事業者と自治体は親身になって対応しなければなりません。風車病対策のために、設置数削減もいとわずに!

人の健康を害する自然エネルギーなど、あってはならないでしょう!


洋上風力発電で町はどうなったか

2024-10-19 15:13:10 | 日記

洋上風力発電で町はどうなったか、秋田県

外資と大企業のみ潤う仕組み

抜粋引用:長周新聞2024年10月2日

 秋田県では陸上に風力発電280基以上が、また港湾内に洋上風力発電33基が稼働しており、加えて4海域が国の促進区域に指定されて、これから秋田県沿岸に150基以上の洋上風力発電が建とうとしている。さらに、反対していた漁協の運営委員長が亡くなったことで、5ヵ所目の対象海域として新たに浮上した。これだけ風車を建てて、果たして地元経済は活性化し、住民の生活は向上しているのか。「風力発電の固定資産税収入、新たな産業が生まれ、雇用創出」と宣伝されているが、秋田県で何が起こっているのか。

                

少子高齢化、人口減の解決策に風力発電

 以前、人口が100万人を切ったと聞いた秋田県、さらに今年7月に90万人を切った。日本三大美林の「秋田杉」も、輸入木材の影響で衰退しているという。そこで、日本一と言われる少子高齢化の解決策という名目で2000年前後から急浮上してきたのが風力発電だ。その後、再エネの導入による産業振興と雇用創出を掲げた。

高齢化した漁業者の弱みに・・・

 秋田県でも近年、漁業者の高齢化と後継者不足によって、漁業者の減少が止まらない。船はあっても漁業をしていない人が多いという。漁業者たちは、洋上風力事業者についても語った。「説明会に出席すればタクシー代、風力発電の視察旅行は事業者持ち。原発と同じで、高齢化していつやめてもいい漁業者につけ込んでくる」

促進区域は補償金なし

 促進区域という制度がいかに漁業者に不利なものかがわかってきた。洋上風力発電の促進区域を選定する再エネ海域利用法(2019年4月施行)の考え方は、「洋上風力は漁業に影響を及ぼさない海域であること」が前提だ。したがって促進区域に指定されると漁業補償金は発生しない。秋田県漁協は法定協議会に参加しているので、これを認めたことになる。

※通常、一般海域に建築物を建てるとき、その海域で操業する漁業者の漁業権を制限、または消滅させることになるため、事業者は漁業者に漁業補償金を支払わなければならない。山口県の上関町と下関市安岡では、漁業者が海を守るために補償金の受け取りを拒否したために、風力発電工事の着工ができなかった。

秋田名物ハタハタ漁に影響が出ないわけがない!

 秋田県沖に建設される洋上風力発電は、沿岸から1~4kmの至近距離に、直径8mの鋼管を砂地に打ち込み、その根元には1500トンの石材を詰めたカゴを敷き詰める。150基以上の風車の海底(水深10~30m)に敷き詰められて、それが漁業に影響しないわけがない。

 漁業者は、「ハタハタは砂地を寝床にする魚だ。沿岸の藻場で産卵し、そこで稚魚が育つ。水深10mというのは一番大事なところだ」「国は第一次産業を粗末にし、少子高齢化が進み、漁師の跡継ぎもいなくなり、その弱ったところに、今度は風車を持ってこようとしている」と話す。「漁業との共生」どころか、真逆である。

国民から徴集する再エネ賦課金は外資と大企業に

 促進区域での風力発電事業では、事業者は漁業補償金を支払わないが、20年間の売電収入額の0.5%を漁業や地域と共生するために拠出し、それを自治体と漁協で分けることが決まっている。0.5%といっても億単位かもしれないが、利益のほとんどが外資や大企業に入ることになる。原資は、国民が電気料金に含めて徴集されている再エネ賦課金だ。

地元企業は活性化しているのか

 丸紅などが事業者となっている能代港と秋田港の洋上風力発電(4200kw33基)は、建設総事業費約1100億円で、うち地元企業の関連受注率は1割程度と発表された。洋上風力発電は1基あたり2万~3万点の部品が必要とされるが、日本の大手メーカーは風力発電の製造から撤退しており、欧米企業の独壇場だ。中枢部のナセルやブレードなどはデンマークのベスタス製で、設置工事の巨大船を含め、事業費の8割は海外調達。組立も来日した外国人作業員が請け負ったという。さらに、今後20年間の風車のメンテナンスはべスタス・ジャパンや丸紅洋上風力開発が担う。地元企業が参入する余地はほとんどない。

国策に翻弄されてきた歴史

 秋田県は1960年代に原発誘致、1990年代に放射性廃棄物処分場をつくろうとしたり、国策に翻弄されてきた。そして今度は東京の大企業の儲けのために、洋上風力発電である。しかも、陸上の風力発電ですでに健康被害を訴える人が増えており、それに加えて洋上に150基以上も建てれば、秋田県沿岸で生活する約20万人の住民の中で累積的影響として健康被害が拡がりかねない。「秋田では、冬の北西の強風が常に海から沿岸住民に吹き付けて、半年は荒れる。洋上風力発電が建てば、この先数十年間は低周波音に囲まれた人体実験場になってしまう。四大公害病に続いて、秋田風車公害と言われるような事態になるかもしれない」と、県民の一人は話す。カーボンゼロ(脱炭素)を掲げる政府は、2040年までに洋上風力発電を3000万~4500万kw導入する目標だが、その中で地方がどのような扱いを受けているかを以上のことが示している。それは北海道や東北をはじめ、全国の地方都市にとっても他人事ではない。

【ブログ作成者から】

 秋田県が人口減少・少子高齢化の対策として、風力発電に着目した頃には、風力発電が及ぼす影響など考えもつかなかったかもしれません。いや、知ろうとしなかったのでしょう。私自身もそうでした。しかし、大きな過ちは、国内で自然環境や人への影響が叫ばれ始めても、国も事業者も自治体も、それに真摯に向き合わず、国が促進することだから、環境省も何も言わないからと、「イケイケどんどん」と今日まで来てしまったことです。当時から形骸化してしまっていた環境アセスも役にたちませんでした。

 2023年10月、福岡県の響灘沖は促進区域の準備段階区域に選定されています。すでに水面下で協議が行われているでしょうか。その海域に生息する野鳥たちにも知らせてあげなければです!

 公正で自然環境に影響を与えない適正な再エネになるよう、保護団体と市民団体が連携してアクションを起こさなければなりません。国会で議論が行われるように、それに積極的な国会議員を選びましょう。そんな人はいますかね?「再エネ賦課金」廃止運動も活発化させなければなりませんね。

 

 

 

 

 


響灘~売電収入は3600億円。東北~計画断念事例も

2024-10-11 11:15:49 | 日記

北九州の洋上風力「20年間で売電3600億円」

 報道によれば、建設が進んでいる北九州市若松沖の洋上風力発電「北九州響灘洋上ウインドファーム」は、2025年度中を見込む営業運転の開始後、20年間で売電収入が3600億円にのぼるとの見通しを明らかにした。事業の収益性に自信を示したという。

 年間180億円・・・設置予定数が25基なので、1基当たり約7億/年、月に6千万円......。建設費、維持管理費、出資企業への還元などを差し引くと、儲けはどのくらいでしょうか。企業ですから当然収益が見込めないと事業は続けられないでしょうが、野鳥の被害予防に儲けの一部を使うつもりは毛頭ないのでしょうね。環境アセスで野鳥への配慮を述べていますが、結局「たかが鳥のために」ですかね。

 事業を誘致した北九州市も、市の政策として掲げている「低炭(脱炭素)」の成果として、この洋上風力発電の運転開始を成果として誇るでしょうが、一方で市の方針として掲げている「生物多様性」「自然環境保全」に及ぼす影響については触れようとしていないようです。公約違反にも等しいです。市内の自然環境保全は二の次、三の次ということでしょうか。市民として情けないです。

 ところで、この売電収入における稼働率(設備利用率)をどのくらいに想定しているのでしょうか。通常、風力発電は平均30%ほどの稼働率と言われていますが、現在白島沖4kmで実証実験中の浮体式洋上風力発電の稼働率は26%程度に留まっているとのことです(NEDO2023年度成果報告会資料より)。平均風速7.3m程度のこの海域であるなら、理想的には35%近い稼働率であってほしいでしょうが、近年の異常気象を考えると、猛暑による発電機の自動出力抑制や、台風の頻発、落雷による事前停止、さらに電力会社による出力制限等を想定したうえでの3600億円でしょうか。しかし、事業者は私たちが毎月払っている再エネ賦課金のおかげで成り立つ事業であることを少しは意識しているのでしょうか。意識しているのであれば、海上で風車に弾き飛ばされる野鳥に対して、実効性ある対策実施を考えてほしいものです。野鳥被害は発生し続けているのですから。

アセスデータ改ざん疑惑の風力発電計画は断念!

 JR東日本の子会社が山形県米沢市で計画していた風力発電の建設計画について、会社側は国が求める対策を講じた場合、スケジュールの大幅な遅れとコストの増大が見込まれるため、計画を断念すると発表しました。

 JR東日本の子会社「JR東日本エネルギー開発」は、米沢市の栗子山に風力発電機最大10基の設備を計画し、国に環境影響評価準備書を提出していた。これに対し経産大臣は9月19日、イヌワシなど鳥類への影響について適切な評価や保全措置などを求める勧告を出したほか、米沢市は8月、住民の理解を得るための対応が十分ではないとして、計画の白紙撤回を求めていた。これを受けて会社側は9月27日にホームページで、スケジュールの大幅な遅れとコストの増大が見込まれ、事業として成り立たないとして計画を断念すると発表した。計画断念について米沢市長は「私たちが求めてきた事業の全面白紙撤回を受け入れたもので、地域の声を受け止めた賢明な判断だ」と話していた。

 何度か述べてきましたが、私の知る限り、事業者は計画を撤回するとき、地域の反対を理由にすることはこれまでほぼありません。(地域の分断を招き、混乱させたと謝った例はありますが)あくまでも採算がとれなくなったことを理由にすることが多いようです。また、野鳥への影響を理由にすることもほとんどありません。そうでないと環境アセスがいい加減だったことを認めることになるからでしょう。事業者同士が口裏を合わせているかのようです。風力発電事業は公正な事業とは言えないと、ますます疑念が深まるばかりです。 

 米沢市に住む私の友人は、特段に自然保護や野鳥保護に熱心だったわけではなかったようですが、響灘洋上風力発電や栗子山の建設反対に署名するなど、自然環境をないがしろにする計画に疑問を感じてきたようです。「ならぬものはならぬ!」と、共に言い合ったことが印象的でした。私たちのような保護団体が自然環境保全の危機感から、計画に異議申し立てするのは当然としても、大切なのは「自然環境や歴史・文化と人との関係、おだやかな生活」を壊そうとしている計画は容認できないということです。住民パワーに学ぶべきことは多いです。


北九州市若松沖その後、そして三重県松坂市では

2024-09-26 10:34:39 | 日記

海の景色が変わっていく響灘・・・

 “鉄の固まり”がおだやかな海に次々と置かれています。海棲動物や海上を悠々と飛び回っている野鳥たちに少しの配慮もなく、北九州市内では貴重な島が見える海域の景色が変わっていくのは、本当に見るに忍びないです。見なれた景色が変わっていくのはある程度仕方ないこともありますが、批判を受けながらも事業を進め、野鳥たちにはやさしくなく、地震や津波に対する安全性もあやしい響灘の洋上風車は仕方ないではすまされません! 海上に建てられていく巨大な風車に正義がないことを明らかにしていかなければなりません!

写真は遠く離れた皿倉山から撮影。手前に2基の風車架台(ジャケット)。左右に長いのは石油備蓄基地、その奥には実証実験中の浮体式2枚羽根洋上風車が見える。(2024年9月13日、日本野鳥の会北九州支部会員撮影)

 

三重県松坂市の風力発電計画(60基)

事業者からの「質問状への回答書」に対する意見を募集している「まつさか香肌峡環境対策委員会」に、当会から意見を送ました。2024年9月9日付

「三重県松坂蓮ウインドファーム」事業対象地域は、クマタカとイヌワシが生息し、ワシタカ類の渡りルートでもあり、生物多様性重要地域、さらに全域が自然公園となっています。自然に悪影響を与える風力発電事業としては、全国中1位と指摘されています。「まつさか香肌峡環境対策委員会」は建設反対の請願書を市議会に提出。請願は可決され、事業を進められる状況ではありませんが、事業者の「リニューアブルジャパン」は白紙撤回する様子はなく、市長も明確な反対表明はしていません。ただ、三重県知事は事業者の配慮書に対し、「計画中止または抜本的な見直し」の意見書を提出しています。市長が今後如何に対応するのか、注視が必要です。

「風力発電が野鳥に与える影響を考える会北九州」からの意見

 福岡県北九州市内における風力発電事業に10年ほど対応してきましたが、事業者は市民や保護団体からの意見、そして環境審査会委員からの意見などを一応聴くだけで、「検討します」「意見として聴いておきます」と軽視され終わりました。これまで対応してきたすべてのアセスで同様でした。事業ありきの事業者は信じるに足りないことを述べておきます。有利な売電価格と企業の利権目的以外、何もありません。事業者からの回答書全体の中から、気付いたことを意見とさせていただきます。

1)事業者が言う「CO2削減のため」「温暖化防止に寄与する」は大義名分として掲げているだけです。目的はあくまでも利権です。しかも、現在のCO2削減策は温暖化防止にはなっていません。

2)事業者は地域住民に賛同をもらえそうにないときは、「地域への還元」という利益の一部供与を持ち出します。還元話にごまかされないように気を付けましょう。                                                                                                                                                                                                 

3)事業者の環境アセスにおける調査は不十分なものが多く、アセスに時間と費用をかけたくないためか、過去の文献で済まそうとすることも容認できません。事業者は早く建設工事に着手したいために、「自然環境への影響は小さい」と結論づけます。そう言わないと事業を進められないからです。また「出来得る限りの対策を講じる」とも言いますが、その対策はまったく実効性のない対策です。「たかが鳥のため」(事業者はそう思っているはず)に手間も費用もかけたくないからです。また、机上の計算で鳥の衝突率が極めて低いことを持ち出してきますが、野鳥の行動を十分把握した上での計算とはいえないので、信じてはいけません。環境アセスは事業者の都合のいいように進められるので、本当は第三者機関が行うべきです。

4)風車の低周波音における人への健康被害については、大学の専門研究家にアドバイスをいただければと思います。以上。

 三重県では2000年前後から風力発電先進県として山地に風車が建てられ、その後、度重なる故障や土砂崩れ、騒音問題、野鳥の激減など、風力発電問題に警鐘を鳴らしていた熱心な方がいます。この度の松坂の計画を見ても、東北地方で紛糾した事例を見ても、20年以上経っても、事業者の誠意のない態度、自然環境を軽んじる姿勢は変わっていないことがわかります。中国・四国・九州でも風力発電は問題になっていますが、私たちがそれをよく把握していないだけで、国内各地で問題になっている計画や紛糾している計画は山ほどあるようです。翻弄され、孤軍奮闘されている市民団体や保護団体も多いはずです。それらを支援し、問題を共有し、政府に物申す全国的な組織を作ることが求められていると思うのですが、実現は容易ではないでしょうか。