入れ歯の歌
83になる母がいつもしている
入れ歯をしてない。
あんた入れ歯は?
そうなのよ。
どっかいってわからん。
そんな会話より、
生まれてしまった。
入れ歯は何処へいったのだろう。
入れ歯は何処にいったのか。
そう彼女はそう言った。
「犬が持っていって
どっかいった」
「チャッピーがくわえて
もっていった~」
え?
「そんなのあるか~」
「漫画じゃないし~」
入れ歯は何処へいったのだろう。
入れ歯は何処にいったのか。
チャッピーがくわえて
もっていった~。
そんな、
歌をライブで歌った後に、
母と夕飯の時、
相続について話をした。
あと十年もすれば、
「あんたも言い年だよね。
すぐで」
「そうよ、すぐに
私も入れ歯に、なるで~。」
私には、
二人の成人した娘・息子
がいるが、
入れ歯を、
二人も抱えた未来は
なんとも、
想像したら、
可愛そうに感じた。
「それ、私の入れ歯やない?」
「いや、私のよ!」
(チャッピー)犬
「ワン!」
(ナナちゃん)猫
「シャー!」
そう、
ナナちゃんは、
「シャー」と言う。
なかなか、
なつかない猫なのです。