「昨日がなければ明日もない」 宮部みゆき先生
杉村三郎シリーズ。 読み終わりました。
今時の輩的な登場人物、そして救いの無い登場人物のお話でした。
公表されているあらすじを略すると。
「絶対零度」
→ 50代の婦人が、結婚した娘が自殺未遂をして入院したが、
面会できず、一か月以上もメールが繋がらない。
と言う事で杉村探偵事務所を訪れる。
「華燭」
→ 近所に住む知人の娘さんの付き添いで、結婚式に出席する事になり、
結婚式で想定外の事態に遭遇する。
「昨日がなければ明日もない」
→ 29歳の女性から「子供の命がかかっている」という相談を受ける。
三編の短編集です。
救いも無く、解決し難い、そしてこうしかないのか? と・・・。
あたり屋、あおり運転のように、勝手に絡んでくる。
逃げようとしても執拗に追いかけてくる。
そして、金と暴力で蹂躙していく。
そして、「昨日がなければ明日もない」では、
全ての行いが金ずるで、謝罪と賠償金を取るために、自分の都合の良いように話を解釈する。
付き合った男から、その友人にも借金を頼む、そして、借金は全て踏み倒していく。
小説は事実より奇なりと言うが、いやいや、
現代のどうしようもない「闇と抗えない力」を教えてくれているような?
それならば、「闘い方を教えて欲しい。守り方を教えて欲しい。」と思うが答えは無い。
「抗えない事」を思い知り、
そして、相手より「より深い闇を行く」しかない事を思い知る。
「戦うすべの無い日本人の叫びが聞こえる。」そんな一冊でした。
そう言えば、昔のアニメはドラゴンボールやスポコン物は「努力して力を手に入れていた。」
そして更に成長していく。
しかし、今のアニメは「天才」「ある日突然力を手に入れる。」
そこから更に成長する。
「何らかを与えられて、最初から一段高い所から始める。」と言う物。
ある意味、「容易く、手っ取り早く」が
本に出てくる登場人物の「輩」の本質なのかもしれない。
やるせない気持ちが残ります。
こういうお話の時は、「生きるか枯れるか」の状態のお花をどうぞ。
せつない・・・。 生きろ!!。
今日も読んで頂きありがとうございました。